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悪鬼羅刹
6P
しおりを挟む床を踏み鳴らし、つまらなそうに溜め息を吐く羅刹。藍色の長髪が風になびいて鬱陶しいのか、鬼のような長い爪を器用に使って首のあたりでバッサリ切った。
「覚悟をするのはお前達だ、人間ども」
ハラリと舞い落ちる藍色の髪が、羅刹の手の動きに合わせて複数の針を形成する。飛んできた!避ければ確実に後ろにいるカレス達を狙われる。
だからマクベスは突き進む。迫りくる針を斬りながら、斬った針をまた動き出すことのない真っ白な灰へと変えていく。
晴明様から分けてもらった力。羅刹はどんな技を使ってくるかわからないから、効果があるかはわからないけど彼の退魔の力が鬼斬り丸に付与されているの。
効果がある。ということは、羅刹はもはや神ではなく“魔”になってしまっているのね。
今度はこっちから行くわよ。羅刹の真ん前まで踏み込み、鬼斬り丸を一気に振り上げる。当たらなくてもいいわ。視線を奪えるならね。
「くっ!?」
バンッ!って、あたしの銃が火を噴くから。ティンさんにチューニングしてもらったあたし専用の黒い銃。弾丸には退魔の力を練り込んであるから効くでしょ。
マクベスの右肩からあたしの腕を伸ばして撃ったの。銃の腕は自信がないんだけど、羅刹の右腕に命中。
退魔の力が効いて、殺傷能力はなくても普通よりも治癒が遅くなっている。このまま押し切っていくわよ、マクベス。
足に、腕に、目に力を注ぎ込む。どんどん力が湧いてきて、その全てをマクベスに与えると彼がそれに応えてくれる。
加速し、力強く一閃する鬼斬り丸は羅刹の腕を、足を斬りつける。まだだ、もっと力をってマクベスの意思が言葉にしなくても伝わってくる。
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