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変身
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しおりを挟むだから止まってくれたんでしょ?カレスに振り下ろしていた拳を風圧だけ残し、ブンッ!と横に振り払い羅刹を殴り飛ばしてくれたんでしょ?
あたしの声が聞こえたから。強大なドラゴンの力に抗おうって戻ってきてくれたんでしょ?
ドラゴンが吠えた、マクベスが叫んだ。空気も大地も揺るがすほどに。地面を殴りつけ、殴って、殴って、殴って……
苦しそうに叫びながら何度も、拳が血にまみれても殴り続ける。おかげで立っていられないほどの地震が発生し、羅刹がヨロヨロと近づいてきても睨み付けることしかできない。
「クソが。邪魔だァッ!!」
キレた血だらけの羅刹が5本同時に雷を落とす。立て続けにもう5本、さらにもう5本、絶え間なく何度も落雷がドラゴンを襲う。
けれど、どれもドラゴンには当たらない。
「させんよ」
ドラゴンの巨体を、白く発光するドームが包み込んでいてそれが全ての落雷を防いでいるの。どこからか聞こえた声の主は、カレスを担ぎ上げてあたしの元へ。
「ミケオプスさん……あっちは、鬼死団は大丈夫なのっ!?」
「案ずるな。羅刹がこっちに集中しすぎて鬼の出現が止まったのじゃ。もう数える程度しか残っておらんよ」
そっか、鬼を生み出していたのは大型鬼を呼び出していた羅刹なのよね。ということは、呼び出す余裕はもうないってこと。
それくらい、ドラゴンとあたし達は羅刹を追い込んでいる。実感するわ。倒せる、全てを終わらせる自信が湧いてくる。
あっちの鬼が全て片付き次第。アキラさんやお兄ちゃん達もこっちに来てくれるって。
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