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終末の先の景色
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しおりを挟む光りの塊が消えた後、1人の青年が顔を真上に上げた。両腕を伸ばして「うーん」と、まっすぐ伸びをする。
そのまま、12秒くらい止まってたかしら?歩けるまで回復したナナシ君と、晴明様があたし達の隣に立った。
「やっぱり人間の力はスゲェな。晴明が言う通り、てめぇらに賭けてみて良かったぜ」
「まさか本当に羅刹を元に戻してしまうとは。おかげで僕達も片目と心を取り戻すことができた。感謝している」
聞こえてきたのは晴明様でもナナシ君でもない声。晴明様の中からスゥっと出てきた2人の体は、後ろがうっすら見えるほどに透けていた。
明るく笑いながら晴明様の肩を叩くのは酒呑童子。鬱陶しそうに晴明様に扇子で手を叩かれる彼の双眼は輝く銀色。
そんな酒呑童子を苦笑しながら見つめるのは茨木童子。彼の双眼もまた、輝く銀色をしている。
酒呑童子の左目と茨木童子の右目はあるべき場所に帰り、2人は羅刹から心を取り戻した。
右手でマクベスの頭を、左手であたしの頭を乱暴に撫でまわした酒呑童子と、微笑んでくれた茨木童子が同じ方向に目を向ける。
ついさっきまで自分達の片目と自由を奪っていた彼を見る。あたし達も、アキラさん達もつられて目を向けた。
あたし達の熱い視線に気づいた?伸びをしたままゆっくり深呼吸をした彼は「クスッ」と笑って、クルッと振り向く。
「あーあァ、残念だったなァ。あと少しでこの世界を終わらせることができたのにィ。こんなことになるなら、歴代の大型鬼達を全員呼べばよかったなァ…………なんて、ね」
金色で装飾された真っ黒い着物に身を包んだ彼は、藍色の短い髪には白っぽい青のメッシュが入っている。
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