パーティー中に拉致ってみた

那月

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あなたがほしい

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 情けない。どうやらイった直後に意識を飛ばしてしまったらしい。気が付いたら昼だった。


「十和?」


 やっと思い出した愛しい恋人の名前を呼べば、隣にいない。起き上がって、家の中を探す。


 そういえばあいつ、寸前に「やっといける」って「ありがとう」って言っていたような。なんだか嫌な予感がする。


 家の中には十和の姿も衣服も靴もなかった。帰ってしまったのか?どうして?


 とりあえずシャワーを浴びて着替え、十和が言っていたタイムカプセルが気になって庭に出た。


「は?」


 見えたのは十和の警備員の帽子。でもおかしい。昨日見たものよりもかなりボロボロで、まるでめちゃくちゃに壊されたみたいな。それが、地面の上に。しゃがんで拾い上げると、まだ下に何かがある。


 それは地中に埋まっているはずのもの。早く開けろと言わんばかりに。ドクンドクンと鼓動が大きくなる。手が震える。


 これは十和と一緒に開けるんだ。でもなぜか、今俺様1人で開けないといけない気がするんだ。


 両手で持ち上げ土を払い、ゆっくりと蓋を開ける。笑顔の俺様達が写っている写真と、手紙が2つあった。1つは「10年後の賢司さんと十和へ」という2人で書いたらしい手紙。


 10年後もラブラブで一緒に愛し合って幸せに暮らしていることを願っている。というような内容が書かれていた。あわよくば時代が進んで、結婚出来たらって。


 涙がにじんだ。こんなに愛し合っていたのに、どうして忘れていたんだろう。


 もう1枚の手紙を手に取ると暑くもないのに汗が噴き出た。こめかみから流れ落ちていく。濡らさないように開き、その最初の言葉に俺様の呼吸は止まった。


 十和、21歳の時に警備員の勤務中に暴漢に襲われ死去。



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