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大好きなんだ
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しおりを挟むそう、イノシシのごとく体当たりをしてやってきたのはトゲトゲ大好きナライちゃん。手に持っている3号くらいの鉢を高々と掲げる。
寄せ植え?ひ、暇だったからって。底に穴が開いた浅い缶詰には彼女らしい、独創的なペイントがされていて。すぐ上には多肉植物の月兎耳、セダム、十二の爪なんかがまとめられている。
その中心にはサボテン。これってもしかして、サボ君?何だろう?嬉しそうな、でもちょっとイライラしてるような雰囲気というかオーラみたいなのを感じるんだけど。
「昨日作ったんだけどぉー、サボが『他の奴と一緒にすんじゃねぇ!しかもサバ臭ぇんだよ!』ってうるさいの。ま、無視するけどぉー」
あ、これサバ缶なのね。でも、寄せ植えを初めて作ったにしては上手だわ。土の表面は白の化粧砂利で覆われていて綺麗だし、センスあるわね。
サボ君とも仲良くできているみたいだし、良かった。良くないのはアソラさんの腰?
「あれ、お兄さんどっかでかけるの?ていうかこの人誰ぇー?」
一気ににぎやかになったわね。アソラさんの荷物を見て、背後で異生物でも見るような目で見ている藤の君さんに目を向けるナライちゃん。
ごめんね、説明してたらアソラさんが旅立てなくなっちゃうから。またあとで、ね?
「遠くにある会社に戻ってくるんだよ。大事な用事を済ませて、ここに帰ってくる。ミサキをお嫁さんにするために」
瞬間、ナライちゃんの表情が変わった。お、お嫁さんだなんてっ。嬉しいですけど!
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