惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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不和歌麿呂

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 俺は歌磨呂のことを考えないように団子を食う。味が、わからぬ。頭が混乱しすぎて、ゆっくり味わえない。


 きっと美味いのだろう。和比呂が目を輝かせてガツガツ食らいつくくらいだ、きっとかなり美味いのだろう。俺にはただの、柔らかく味のない団子だ。


 俺達はひたすらに食べ、一言もしゃべることなく食べ終わった。最後に残しておいた薄茶を、これは味わえるといいが。抹茶は好きなんだ。


 白い、キメ細かい泡がまんべんなく広がる茶碗を持ち、一気に飲み干す。泡をもズズッと飲み切り、口をつけた茶碗の縁を指で拭って置く。


 ふぅ。だめだ、やはり味も何もわからぬ。落ち着いたら、また来たいな。今度こそじっくり味わいたい。


 歌磨呂が点てた薄茶を飲んでみたい。もしもお粗末なものなら、特別に俺が教えてやってもいい。これでも俺は、その時代を生きていた鬼だからな。


 あぁ。あんみつを食べている時の和比呂が、あまりにも幸せそうで可愛く見えたなんて。本人に言えば成敗されそうだな。和比呂ごときに俺を成敗できるとも思えんが。


 こういうきちんとしたところでは食べ方や作法もきちんとすべきだとは思わんか?


 本来、抹茶は点てている間に出される菓子を食べてから飲むものだ。それを知らないで、現代の人間は菓子も抹茶も同時に出し、抹茶を飲んでから菓子を食う。


 和比呂は家柄のためかその手の作法に詳しく、正しく食っていたが。時代が変わると作法も軽んじられるのか。悲しいな。


 歌磨呂の昼休みまでにはまだ少し時間があるので、和比呂は先に勘定を済ませに行った。もちろん、俺は現代の金など1円も持っておらぬ。


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