惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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親友

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 今は何時くらいか。夜中、日付が変わったくらいか。歳のせいかただの飲み過ぎのせいか、話の途中で眠ってしまったヤモリを置いて俺は家の外に出ている。


「こんな時間に何か用か?またドジをしてすっこけでもしたか?ケガをしているだろう、血の匂いがするぞ」


 気配がしたのだ、心も体も弱っている、キツネの。小娘の最期を看取った時以来、キツネとは会っていない。


 1人になって気持ちの整理をしたかった。もしくは、小娘を見殺しにした俺と距離を開けたかった。どんな理由にせよ、気配から察するにキツネはまだ立ち直れていない。


「……旦那。お願いじゃ、助けてくれよ……」


 木の陰から姿を現したキツネは、全身傷だらけ。頭からも大きく切った腕や足からも血が流れ、この前戦った時よりも酷い姿だ。


 しかしこの傷、誰かに傷つけられてできたものではないのだろう。ユラユラと歩いてきたキツネは俺を見つめ、赤い瞳に大粒の涙を浮かべる。


「今すぐ僕を殺して!自分で傷つけても崖から飛び降りても死ねない、何度も何度も。痛くて苦しいだけじゃ。嫌……もう嫌なんじゃ、こんな、苦しい思いをするのは……」


「死んであの小娘の元に逝くというのか。それほどまでに想っておったのだな。だが、俺はお前を殺してはやらん。死にたくば勝手に俺の知らぬところで死ね」


「何でじゃっ!そこまで僕のことをわかっているんなら、友達なら助けてよ!あ……そっか、旦那は僕のこと、友達だって思ってないんじゃったな……」


 キツネは本気で小娘を想っていた。成就することのない恋だとしても、片思いのままずっとその熱い想いを胸の内に秘め続けていた。


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