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遠い昔の思い出
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しおりを挟む「すまんが俺は、まだ、死ぬわけにはいかないのだ。殺したいのなら他を当たってくれ。どうしても俺を殺したいのなら…………俺も、手加減はしない」
もう塞がってしまったらしい背中の傷は痛まない。右腕は絶賛再生中で動きにくいが、立ち上がり距離をとった俺は護身用にいつも持ち歩いている小刀を構えた。
何だこれは?腕が、足がほのかに光を帯びている。もしかして全身か?あぁそうか、前にも1度こうなった。鬼になった時だ。
鬼は人間と比べて尋常なく怪我の治癒が早いし、体が頑丈。いちいち力も強いし、身体能力が飛躍的に上がる。
この鬼の力を使えば、この男だって撃退できるかもしれない。ついさっきまで絶望しきって死のうとしていたのに、今は自信に満ち溢れている。
派手な男は驚いた顔で立ち上がり、俺を指さした。口の端を釣り上げて嬉しそうに笑い、長く伸びた爪が短くなる。
「なんだ、あんたも鬼だったんだな。心配するな、同族は食わねぇよ。俺のことを知らねぇってことは新人か。あんた、名前は?どこに住んでいる?」
「ということはあんたも鬼か。俺は橘時久、人里離れた山奥に住んでいる。あんたは?」
「ククッ、聞いて驚くなよ?俺は泣く子も黙る鬼の頭領、酒呑童子様だっ!!」
そう1歩踏み出して威張ると、男の体は金色に輝いた。首から下は俺と同じように鬼化し、髪が異様に伸びるまでは同じ。
酒呑童子と名乗る男は俺と違い、額に真っ白な2本の角がある。太さは俺のより細いが、その分長さがある。
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