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約束
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しおりを挟む朔に初めて会ってから2年ほど後のこと。その日は突然やってきた。
陰陽師の秋月朔は鬼と、それも酒呑童子と仲が良く、鬼達と結託して都を我が物にしようと企んでいる。
そんな根も葉もない噂が、町に広まってしまった。その噂は当然お偉いさん方の耳にも入ったわけで、これを機に朔を改心させると見せかけて利用し鬼をせん滅してしまおうとなったわけだ。
安倍の次に腕が立つ朔を殺してしまってはもったいない、そういうことだろう。
卑怯な奴らは安倍晴明に酒呑童子の居場所を探らせ、討伐部隊を派遣した。その時、偶然にも俺は酒呑童子の家に泊まりに行っていた。
日が落ちた頃、むさくるしい男が5人ほどやってきて「秋月朔の友だ、妙な噂が広まってしまった礼に酒をふるまいたい」とやってきた。
明らかに戦う気満々の出で立ち、甲冑姿だった。それに殺気も抑えられていない。
なのに酒呑童子は外に火を焚き宴を開いた。嘘だ、騙されているとわかっていたんだろう。それでも招き入れた彼が何を考えていたのか、俺にはわからない。
酒呑童子は宴が始まる前、俺を自分の家に帰らせたのだから。戦うことになるのはわかっていたはずだ。だからこそ、まともに戦えぬ俺を逃がした。
もちろん俺も戦うと言ったさ。けど、彼に真顔で低く「帰れ」と睨まれると思考が停止したんだ。
彼には何か特別な力があるようで、彼の目を見た瞬間、俺の体は俺の意思に関係なく家へと向かった。口を開くこともできなかった。
長い距離を歩き家に戻ると反抗期の体は元に戻り、自由になった。すぐに引き返した。全力で走り、頼むから生きていてくれと願いながら。
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