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真実の嘘
3P
しおりを挟む「あはは、っ、ゴホッゴホッ!んんっ……あの人達も必死なんだよ、お役目なんだし」
「クロポンの情報をちぃが手に入れたらあちらさん、大金積んでくるかしらね?一体いくら貢いでくれるのかしら?あら冗談よ、本気にしないで。じゃあまたね、クロポン」
途中までは真剣みを帯びた雰囲気だったのに、途中からはなんだか楽しそうな雰囲気に変わった。
部屋を出る千歳はすれ違い様、小紅に微笑みかけ「またね」と小さく手を振って出て行った。この前の幽霊みたいねキツネが肩に乗っていた。
やっぱり目で追ってしまう。黒鷹からの視線に気づきハッと我に返ると、赤面しつついそいそと枕元に腰を下ろす。
持ってきた湯呑みを手に「飲みますか?」と問いかければ首を横に振られ、残念そうにシュンとうなだれる小紅。
おぼんを脇に寄せて姿勢を正し口を開くも、息を吸い込んだだけで言葉が出ないまま閉ざしてしまう。何を話せばいい?
いや、というか黒鷹は具合が悪いんだし寝かしてやろう。そっとしておこう。何もしゃべらなくていいぞ。
「さっきの威勢はどこへやら。言い過ぎたって反省した?でも、それじゃあ紅ちゃんらしくないかなぁ」
静かに見守っていようと決めた小紅の思いを知ってか知らずか、きっと知っているな。黒鷹は悪戯っぽく笑いながら布団の中から小紅を見上げた。
「……黒鷹様こそ、話し相手が欲しいのなら素直にそうおっしゃってください。珍しく静かですし、他の皆さんは外に出かけているのでしょう?」
力を抜いて呆れながらもそう言った小紅は外に目を向ける。口を閉ざせばシンとしていて確実に、高遠がいないことがわかる。
いつもの倍以上休んでいて退屈なのだろう。言い当てられてしまった黒鷹は「まいったなぁ」と苦笑を浮かべ、小紅から目を反らした。
「私のこと、結論は出ましたか?」
「さて、どうだろうねぇ?」
話をしたいのか眠りたいのか、目を閉じている黒鷹は口元に笑みを浮かべて呟いた。その言葉にはどんな意味が含まれているのか?
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