男装王女と、冷酷皇子の攻防 設定集

𝑹𝑼𝑲𝑨

文字の大きさ
9 / 14

ゼイン(長兄)が語る話※おまけ

しおりを挟む




「さぁアメリア。そこに座るといい。兄様がお話を聞かせてあげよう」


久しぶりに入った兄の部屋にあるソファに腰掛ける

やっと目的地に着けた安心感が込み上げてくる


「どんなお話?兄様!早く聞きたいわ!」



うーん…どんなお話を兄様はしてくれるのかしら!

やっぱり冒険物語かな?

蜂と蟻が恋に落ちる、『しゅ』?を超えた恋愛物語?

それとも、兄様の恋話かしら?



色々と考えて話し始めるのを待っていたけれど、まだ始まらない

どうしたのかしら?


「兄様?どうしたの?」


「少し待ってね…」


「…泣いてる?」
「泣いてないね」


即答だったわ

ルーク兄様は疲れてたのよ、きっと

お話はいつでも聞けるわ

また尋ねてみようかな?

きっと歓迎してくれるはずだわ!



「よし、準備出来た」


そう言って兄は机に何かを置いた

手元に見ると人形が2つ置いてある


…あ、3つね


「…兄様、私はもう6つよ」


「ん?それがどうしたんだ?」


「立派なしゅくじょなのに…」


人形が無いと物語を理解できないと思われているのかしら

私はもう理解出来るわ…


「いや、アメリアを馬鹿にした訳じゃない。これは私の物語を語る上での必需品なんだ。気にしなくていいよ」


「必需品?」


物語は声で伝えて頭に入るわ

文字で理解することこそ物語を読むことになるのに

それを見て理解するの?


「アメリア、私は長兄なんだ。それも1番早くに産まれたんだよ」


「知ってるわ」


「だから兄弟達には全員お兄ちゃんとして色々やってきたんだ」

やってきた?


「何を?」


「そうだな…例えば、シエルにはこの人形で一緒に遊んであげたよ」


「え、姉様に?!いつも刺繍か、本しか読まないのに?」


「…あぁ。そうだね」


顔が引き攣ってるみたい

最近多いのよね…なんでかしら…


「あ、じゃあリリお姉様には?」


これはとても気になるわ!

お姉様にはあまり昔のことを聞いたことがなかったし!

ゼイン兄様から聞けるかもしれない!


「リリは………あまり…人形とか、そういうのが好きじゃなかったんだよ。昔はね」


「え?でも、人形劇に見に行くって言ってたわ?」


「ん?それは本人が言っていたのかな?」


あ、笑った

ちょっと怖い


「うん…そうよ」


「そうか。リリには問い詰めないと」


お姉様ごめんなさい

私何か大変なことをしてしまったのかもしれないわ

帰ってきたら謝るから許して

ね?




「ふぅ…まぁいい。じゃあ人形はいいみたいだし、早速話していこうか」






………




ーある国には王子が暮らしていた

兄弟はいるんだけど、特に仲がいいという訳でもない

母親が異なる場合が多くて、それぞれが仲があまり良くなかった


『母さん。僕は初めに産まれたから王太子になるのかな?』


『まぁ…家のことを考えるとそうして欲しいけれどね。別に無理をしなくてもいいわ。貴方が王になってもさほど意味は無いもの』


それぞれの母親…つまり側妃が王子、王女を嫌っていることが多かったが、
その王子は幸いにも母が嫌うという訳でもなく、また権力にあまり関心が無かったため比較的自由に暮らしていた


だが彼は第1王子

王太子でなくともそれ相応の対応が求められた


学術

武術

魔術


などなど


沢山の知識、技術が必要だった



彼は幼少期にゆったりとした生活を送っていたせいで、かなり厳しい日々を送っていたのだった



そんなある日、その国で王子と王女のお披露目があった

母も父もそこまで興味が無い



別に何をしても問題ないだろうと、彼は気を抜いていた

彼が披露した剣舞は失敗

練習していない

当然だった


とりあえず謝罪の言葉を王である父親に伝え、その場を早々に去ろうとする


すると…


『そのザマはなんだ』


『…え?』


突然父に声をかけられた


『第1王子ともある者がその程度か』


『…申し訳ございません』


『……………………』


その場に静寂が訪れる


これ・・は誰の責任だ』


『…え?』


父の発言にその場の者たちはみな困惑した

特に気にもかけない息子の失態

恥をかいているのは本人のみだというのに、妙に失態に固執する


『………王妃』


突然母の名前を出され王子はより、困惑する


『なんでしょうか、陛下』


母親は王の呼び掛けに答える

困惑している様子はなかった


『今このときをもって、王妃の地位を剥奪する』


ーー


そこからは追われる日々が続いた

母が城を追い出され、王子は後ろ盾を失ったのだから

1人で全てに立ち向かわなくてはいけない


まだ6歳の幼い王子は周りの悪意に対抗しなくてはならなくなった



もちろん不服を父に伝えたが、『気まぐれだ』と言うのみ

母親に関しては王子に関心が無いようだった




………



「え、王子…6歳だったの?!…同い年だわ…」


「そうだね。その歳で丸裸で戦場に出されたようなものだよ」


「…私なら一撃ね…」


………




だから見返す………と言うよりは自分が生き残るために、王子は力をつけることにしたんだ


今まで疎かにしていたものに真剣に取り組み、数々の成績を残した

たった2年で、その存在を無視は出来なくなるようにしたんだ

そして母親をまた元の地位に戻すよう父に頼み、結局また別れてから3年後に再度母親は王妃になった




後にこれが母親が王に王子のために頼んだことだと明らかになるのだが





そうして思わぬ成長を遂げた王子だったが、何でもこなせるようになってしまったおかげで
何をしても気乗りしなくなってしまった

普段笑顔を貼り付けて、愛想を振りまく

そんな日々



そんな日々にある知らせが届く


『………もう1人の妹?』


『はい……。陛下の婚外子だとか』


『第3王子と同い年でもあるみたいですよ王子』


(第3王子は先日双子の妹を亡くしていたな…)


それ自体はあまり気にとめなかったが、何となくその新たな妹が気になった王子は

弟の第3王子と共にその妹の部屋を訪ねることにした




侍従が扉を開け、部屋の中には少女が1人

儚げな雰囲気が漂っており、白銀の髪の毛が相まっている


それに彼女を纏う空気は異質だった

妖精………いや、精霊のような少女


明らかに自分とは違う



ーー




王子の新たな妹は冷たかった


『ねぇ、外に行かないかい?空気を吸いに行こう』


『近づかないで』


『そんな硬いことを言わずに』


『出てってって言ってるでしょ!』


『うーん…君からも何か言ってよ』


隣にいる弟にも援護を求めるが、無反応


まるで巨塔だった

絶対に崩せない強固な城



彼女は婚外子

母親は外にいる

母親と一緒にいられないのが辛いのだろう


そうして、王子は男装をさせ母親に会わせることにした



そしたらすこぶる元気になって

周りに色んな話をするようになった



特に王子に懐いていって

王子と妹、兄弟達は幸せに暮らしましたとさ




………





「無理やり終わらせたのね、兄様」


「もう少し語りたかったけどね。大変だから省略したんだ」


「でも、ほんの少しだけ面白かったわ!」


「それは良かった」


アメリアは大変満足したようだ

このまま話していたら、本当に語れない






本当に大変な物語だからな…………










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

一条さん結婚したんですか⁉︎

あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎ 嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡ ((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜 ⭐︎本編は完結しております⭐︎ ⭐︎番外編更新中⭐︎

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ

海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。 あぁ、大丈夫よ。 だって彼私の部屋にいるもん。 部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。

処理中です...