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第二章(下)
第4話
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前回のあらすじ、宿の主人の変死。
「なあ親父い!生地とリボンが欲しいんだ、売ってくれ!」
あれから、奇抜な格好をした三人の少女は一つの店に来ていた。壁には様々な生地が所狭しとかけられ、棚にあるたくさんの糸巻きには、レースやリボンが巻かれている。
奥から出てきた店主は、気難しそうに見える腰の曲がった老人だが、三人を一瞥すると目を細めて笑う。
「どんな生地を探しているんだい?」
「今私が着ているような服を仕立てたいのですが、そのための生地と... 後は、この紙に書かれた物をお願いします」
「うん... これだったら用意出来るよ。うちで仕立ててもいいけど」
メイド服の少女が遠慮げな笑顔を返すと、店主は棚の方へ向かう。
「そこのお嬢さんの服も直してあげるのかい?最近の子供は余程激しく遊んでいるんだね。喧嘩でもしたのかい?」
「アン様さえよろしければお直ししますが... そうですか、ではこれに似た生地をお願いします」
目の隠れた幼女が頷くと、嬉しそうにソワソワし始める。店主の動きを注意深く見ているようだった。
「よろしければ、既成品の子供服も何着か見させて頂けませんか?」
「奥の部屋だよ、こっちは準備してるから好きに覗いてくれていいよ」
「うおおおお!アンを着せ替えて遊ぶぞ!」
どこか、目の隠れた幼女よりもはしゃいでいる大剣持ちの少女。二人を置き去りに鳥の羽のように両手を広げ、奥の部屋に駆けていく。
残された二人が後について行った時には、すでに大剣持ちの少女が何着か服を手にしていた。
「申し訳ありませんアン様。タイランお嬢様がこういう性格であったことを失念しておりました。小一時間は覚悟をお願いします」
「ふふふ、楽しそうだし、大丈夫だよ」
*********
町長の屋敷から駆け出すと、全員で一目散に走り出す... と、俺が置いて行かれてしまうので、他二人は小走りで駆けていく。
「懸念すべきは、朝の私とメイの会話を聞かれたかどうかです。私たちが固まっているときに攻撃をして来なかったということは、恐らく奇襲をかけようとしているのでしょう」
「し、四天王の一人目には私の能力が知られていたので、奇襲をかけるとしたら私からではないでしょうか」
まあ、ヒーラーから潰すのは基本中の基本だもんな。
「とにもかくにも、まずは合流しましょう。メイが、店で生地を買った後に、宿に荷物を置いてから噴水で合流すると言っていました。宿に向かいますよ」
感情を読めるリリーならともかく、他の三人がスズと別行動をとっている時に奇襲されるのはまずいもんな...
すまん、ちょっとだけペース落としてくれ...
*********
「やっぱり白なのか、メイ!やっぱり白なのか!」
「タイランお嬢様、もう少しおとなし目にしましょう」
目の隠れた幼女を着せ替え始め、どのくらい経っただろうか。大剣持ちの少女と、メイド服の少女が持つ熱は、一向に収まる気配が無かった。かと言って、幼女は嫌そうな顔はせず、柔らかい笑顔で二人のやり取りを見ている。
「もうそろそろお昼時になるし、どうだい?そこら辺に出してあるのを買ってくれれば、商売としても嬉しいんだがね」
ただ、店としては迷惑だったのか、店主に制され我に返る二人。
「失礼しました、ではそのようにお願いします」
「メイ!この服も頼むぞ!」
とっとと会計を済ませると、店を後にする三人。
新しい白い服を風になびかせ、袖越しに持った杖を一振りすると、目の隠れた少女がくるっと二人の方を振り向き、ニッコリ笑う。
「ふふふ、すごく楽しかったよ!あと、お洋服もありがとうね!」
大剣持ちの少女とメイド服の少女が顔を見合わせると、大剣持ちの少女はぐにゃりと顔を歪め... 幼女に抱きつく。
「うおおおお!うちの子にならないかああアンンッ!」
「タイランお嬢様、不審者として通報されてしまいます」
大剣持ちの少女が剥がされると、手足をジタバタさせて抵抗する。実にコミカルなその様子に、通行人達は微笑む。
「荷物がかさばりますが、時間がないのでこのまま噴水前に行きましょうか。少し早く着きますが、そこでのんびりしましょう」
「タイランお姉ちゃん、もう一回肩車して」
「おうよ!昼飯にいくぞお!」
*********
「ゆ、勇者様。申し訳ありませんが、あまり離れないでください... 」
ゆるく描かれた豚の看板のそばの窓から、ちらっと宿の中を覗くと、リリーが階段を登っていくのが見える。
「わ、悪い、少し気になって... 実際の所、メイとタイランなら四天王相手にも勝てるものなのか?」
スズがアゴに手を当てながら目をそらす。空中から言葉を選ぶように、何を言うか迷っているようだった。
「まず... ですが、タイランさんの事はなにも言えません」
キリッと真正面から言い切ったぞ。タイランが能力をとっとと明かさないから、面倒なことになってる。
「次いでメイさんに関してですが、世の中に完璧な人なんていませんし、そう見えてもどこか欠点があるのが普通です」
まあ、欠点の無い人間なんていないっていうのは前世でも言われていた話だしな。
「ですから、メイさんという例外を見たのは初めてでした。お淑やかで、主人であるタイランさんをしっかり支える。欠点なんて無いように見えるんです」
人差し指をピンっと掲げ、顔をぐいっと近づけてくるスズ。
「でも人間ですから、やっぱり欠点はあるんです。メイさんの欠点、それってなんだと思いますか?」
「え?なんだろうか... 戦闘面も強そうだし、目に見える欠点なんて... 」
するとスズはニコっと笑い、人差し指を掲げたまま、顔を遠ざける。
「タイランさんなんですよ、タイランさんが弱点なんです」
「え?」
少し含みのありそうな言い方に考えさせられるが、答えが見えない。
続けないスズに質問をしようと言葉を探すが、そんなことをしていると、宿の出入り口の扉が音を立て、勢いよく開く。
「怪しい人物はいませんし、メイは荷物を置いていっていないようです。何かあったか、直接噴水に向かったのでしょう... 何ですか、その感情は?」
そんな不思議そうな顔で見られても、俺にも訳が分からないのだからしょうがない。
ーーーーーーーーーー
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「なあ親父い!生地とリボンが欲しいんだ、売ってくれ!」
あれから、奇抜な格好をした三人の少女は一つの店に来ていた。壁には様々な生地が所狭しとかけられ、棚にあるたくさんの糸巻きには、レースやリボンが巻かれている。
奥から出てきた店主は、気難しそうに見える腰の曲がった老人だが、三人を一瞥すると目を細めて笑う。
「どんな生地を探しているんだい?」
「今私が着ているような服を仕立てたいのですが、そのための生地と... 後は、この紙に書かれた物をお願いします」
「うん... これだったら用意出来るよ。うちで仕立ててもいいけど」
メイド服の少女が遠慮げな笑顔を返すと、店主は棚の方へ向かう。
「そこのお嬢さんの服も直してあげるのかい?最近の子供は余程激しく遊んでいるんだね。喧嘩でもしたのかい?」
「アン様さえよろしければお直ししますが... そうですか、ではこれに似た生地をお願いします」
目の隠れた幼女が頷くと、嬉しそうにソワソワし始める。店主の動きを注意深く見ているようだった。
「よろしければ、既成品の子供服も何着か見させて頂けませんか?」
「奥の部屋だよ、こっちは準備してるから好きに覗いてくれていいよ」
「うおおおお!アンを着せ替えて遊ぶぞ!」
どこか、目の隠れた幼女よりもはしゃいでいる大剣持ちの少女。二人を置き去りに鳥の羽のように両手を広げ、奥の部屋に駆けていく。
残された二人が後について行った時には、すでに大剣持ちの少女が何着か服を手にしていた。
「申し訳ありませんアン様。タイランお嬢様がこういう性格であったことを失念しておりました。小一時間は覚悟をお願いします」
「ふふふ、楽しそうだし、大丈夫だよ」
*********
町長の屋敷から駆け出すと、全員で一目散に走り出す... と、俺が置いて行かれてしまうので、他二人は小走りで駆けていく。
「懸念すべきは、朝の私とメイの会話を聞かれたかどうかです。私たちが固まっているときに攻撃をして来なかったということは、恐らく奇襲をかけようとしているのでしょう」
「し、四天王の一人目には私の能力が知られていたので、奇襲をかけるとしたら私からではないでしょうか」
まあ、ヒーラーから潰すのは基本中の基本だもんな。
「とにもかくにも、まずは合流しましょう。メイが、店で生地を買った後に、宿に荷物を置いてから噴水で合流すると言っていました。宿に向かいますよ」
感情を読めるリリーならともかく、他の三人がスズと別行動をとっている時に奇襲されるのはまずいもんな...
すまん、ちょっとだけペース落としてくれ...
*********
「やっぱり白なのか、メイ!やっぱり白なのか!」
「タイランお嬢様、もう少しおとなし目にしましょう」
目の隠れた幼女を着せ替え始め、どのくらい経っただろうか。大剣持ちの少女と、メイド服の少女が持つ熱は、一向に収まる気配が無かった。かと言って、幼女は嫌そうな顔はせず、柔らかい笑顔で二人のやり取りを見ている。
「もうそろそろお昼時になるし、どうだい?そこら辺に出してあるのを買ってくれれば、商売としても嬉しいんだがね」
ただ、店としては迷惑だったのか、店主に制され我に返る二人。
「失礼しました、ではそのようにお願いします」
「メイ!この服も頼むぞ!」
とっとと会計を済ませると、店を後にする三人。
新しい白い服を風になびかせ、袖越しに持った杖を一振りすると、目の隠れた少女がくるっと二人の方を振り向き、ニッコリ笑う。
「ふふふ、すごく楽しかったよ!あと、お洋服もありがとうね!」
大剣持ちの少女とメイド服の少女が顔を見合わせると、大剣持ちの少女はぐにゃりと顔を歪め... 幼女に抱きつく。
「うおおおお!うちの子にならないかああアンンッ!」
「タイランお嬢様、不審者として通報されてしまいます」
大剣持ちの少女が剥がされると、手足をジタバタさせて抵抗する。実にコミカルなその様子に、通行人達は微笑む。
「荷物がかさばりますが、時間がないのでこのまま噴水前に行きましょうか。少し早く着きますが、そこでのんびりしましょう」
「タイランお姉ちゃん、もう一回肩車して」
「おうよ!昼飯にいくぞお!」
*********
「ゆ、勇者様。申し訳ありませんが、あまり離れないでください... 」
ゆるく描かれた豚の看板のそばの窓から、ちらっと宿の中を覗くと、リリーが階段を登っていくのが見える。
「わ、悪い、少し気になって... 実際の所、メイとタイランなら四天王相手にも勝てるものなのか?」
スズがアゴに手を当てながら目をそらす。空中から言葉を選ぶように、何を言うか迷っているようだった。
「まず... ですが、タイランさんの事はなにも言えません」
キリッと真正面から言い切ったぞ。タイランが能力をとっとと明かさないから、面倒なことになってる。
「次いでメイさんに関してですが、世の中に完璧な人なんていませんし、そう見えてもどこか欠点があるのが普通です」
まあ、欠点の無い人間なんていないっていうのは前世でも言われていた話だしな。
「ですから、メイさんという例外を見たのは初めてでした。お淑やかで、主人であるタイランさんをしっかり支える。欠点なんて無いように見えるんです」
人差し指をピンっと掲げ、顔をぐいっと近づけてくるスズ。
「でも人間ですから、やっぱり欠点はあるんです。メイさんの欠点、それってなんだと思いますか?」
「え?なんだろうか... 戦闘面も強そうだし、目に見える欠点なんて... 」
するとスズはニコっと笑い、人差し指を掲げたまま、顔を遠ざける。
「タイランさんなんですよ、タイランさんが弱点なんです」
「え?」
少し含みのありそうな言い方に考えさせられるが、答えが見えない。
続けないスズに質問をしようと言葉を探すが、そんなことをしていると、宿の出入り口の扉が音を立て、勢いよく開く。
「怪しい人物はいませんし、メイは荷物を置いていっていないようです。何かあったか、直接噴水に向かったのでしょう... 何ですか、その感情は?」
そんな不思議そうな顔で見られても、俺にも訳が分からないのだからしょうがない。
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