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エピローグ③
しおりを挟む「公私はわけている。お前たちだから私は私らしくいられる」
「はぁ、本当ディース様には敵わないな」
止めることができないと宣言通り、フェリクス様はあっさりと押されてしまった。
ディートハンス様がゆるく鮮やかに笑みを浮かべる。
「リア。こんなにも存在を愛おしいと思える人に出会えて、私もこの衝動を抑えきれない。悪いがただのふぬけにならないよう、私のためにもなるべく一緒にいてくれないか?」
そう言いながらも、騎士団を大切にし国を思う責任感がある人だ。
ふぬけになんてなるはずもないのだけど、これはこれで半ば本心なのだろうなとわかるので恥ずかしがっている場合ではない。
真剣な気持ちには真剣に応えたい。
それに求められることや、一緒にいれることが嬉しいのは私も同じだ。
「はい。私からもよろしくお願いします」
世間では孤高の騎士団総長が実は過保護で甘やかしたがりだったとしても、その甘やかしが気を引き締めないといけないレベルだったとしても、私はどんなディートハンス様も好きだ。
「隙あらば口説くの、もうあれは天性のものだよな。手に負えない」
「ディース様にはミザリアしかいないし、口説いて気持ちを伝えること自体は悪いことではないだろう。こっちが恥ずかしいだけで」
「激甘」
アーノルド団長が肩を竦めながらの発言に、次々と騎士たちが声を上げた。
「そうだ。想像以上に激甘だったとしても、ディース様が最強なのは変わらない。自然と溺愛を見せつけられるこっちの気にもなってほしいが、そこは通じないとこも総長だ」
「べったりでうっとうしいかもしれないけれどミザリアなら受け止められると信じている」
「今までの反動と、ミザリアしか見えていない一途さは他の女性を寄せ付けず余計なトラブルも少なくてすみそうだ」
「どうか愛想を尽かさないでくれと願うばかりだが、それも含めて俺たちも見守るしかないな」
騎士たちが口々に言いたい放題言っているが、それも信頼と好意があるゆえだ。
それらの応酬も温かみを感じる。皆がディートハンス様のことを大事に思っているのが伝わってくる。
私たちのやり取りに反応されるのも、見守られる雰囲気なのも恥ずかしいけれど、ディートハンス様と周囲の騎士たちの関係性はとても好ましい。
ディートハンス様が周囲に視線を向けて、ふっと柔らかに笑う。
やっぱり感情が以前よりよく見えて、居心地がよく気持ちにも余裕ができたのかと思える反応を見ると心がくすぐられる。
もっともっと、ディートハンス様が我慢せずリラックスして過ごせるように、その横にずっとともにいられるようにと願わずにはいられない。
「周囲も見守ってくれるようだ。これからは私が、私たちが守る。だからずっとそばにいて」
「はい。ディース様とともに、そしてこの騎士団寮で帰りを待っていたいです」
ディートハンス様の大事なものも私は守る手伝いをしていきたい。それが伝わったのかディートハンス様は目を丸くすると、ふっと笑った。
頬を撫でられ、額にキスをされる。それからぎゅっと抱きしめられた。
ドキドキする胸を持て余しながら、ディートハンス様の背中に手を回す。
それからは、周囲に見守られディートハンス様に過保護に甘やかされながらも、家政婦業とお世話係、そして時には聖力を使ってお手伝いをし充実した日々を過ごした。
騎士たちの関係が羨ましく、私にもいつか信頼できる相手ができたらと思ったことがあるが、その関係はオリビア様と築くようになる。
ディートハンス様のことやオリビア様の想い人、恋の話をしたり、王族のしきたりについて教えてくれたり、ディートハンス様も常に寄り添ってくれるけれど、同じ女性として随分と助けられた。
ディートハンス様を通じて、かけがえのない、家族で親友とも呼べる人と私は知り合うことができた。
そんなある日のこと、今日も黒狼寮で私は顔を熱くさせてディートハンス様に訴える。
「ディース様。自分で歩けます。甘やかさないでください!」
「わかってる。私がしたい」
仕事が終わると判断されると、ひょいっと抱え上げられ抱っこされた。
慌てて首に手を回すと、嬉しそうにぎゅっと力を込められる。そうじゃない!
確かに公私はわけてはいるけれど、プライベートと判断されると途端に甘くなる。今も蕩けるような笑みとともに、額にキスを落とされる。
「そういうことじゃなくて」
「一緒にいたくない? 私のことが嫌い?」
「好きです!」
「ああ。私も好きだ。結婚しよう」
不安そうに首を傾げられて、思わず叫んでしまった。
すると、嬉しそうに返されてさっと唇を奪われる。
互いの告白する声がホールに響き、祝福ムードに変わる。
それから、事あるごとに強い魔物を狩っては魔法を付与されたプレゼントを妻に贈る溺愛ぶりと過保護ぶりは、第二王子の最強説とともに語られ広まるのだった。
FIN.
✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.
後半の甘さを書きたいがために、書き始めた今作。
ディースが慎重すぎて描いていた展開通りに進まず二人分の事情からかなり長くなりましたが、無事完結です。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
途中大事なデータが飛び書き直しという悲しき事態も発生しましたが(泣)、付き合ってくださっている皆様がいると励みをいただき途切れずに無事書き上げることができました。
そして、今作完結と同時に新作短編を公開しました。
そちらの表紙は友人絵師kouma.に描いてもらい、ポップ仕様で最後までテンポよく読めるものを目指しましたので、興味がある方はそちらもお付き合いいただけたら幸いです。
見つけていただき、お付き合いありがとうございました(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡❀.
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イチャコラ甘々ごちそうさまでした。ψ(´ڡ`❤)
とまとさん
わぁ、お久しぶりです!
今作もお付き合いいただいてたんですね⤴︎
嬉しいです✨
最後まで見守っていただきありがとうございますヾ(*≧∀≦*)ノ
可愛いエピローグにニヤニヤして読みました。
ありがとうございました( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
ちょぼりさま
最後までお付き合いありがとうございます゚+.゚(´▽`人)゚+.゚!!
途中の感想もとっても嬉しかったです✨
㊗️完結!! (〃・ω・)ノ🎉・:*:・。パーン
無事甘々になってよかった..(´>ω<`)
お疲れ様です(^_ _^)
ともこさん
おお〜。今作もお付き合い♡
嬉しいです✨ やったぁ⤴︎
最後まで見届けていただきありがとうございます (*´□`)ノ!!