巻き込まれモブは静かに学園を卒業したい【後日談追加】

橋本彩里(Ayari)

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眩しすぎて *sideラシェル②

 
「ごめんね。これはルーシー限定だから直しようがないかな。髪色が違っても、目鼻立ちが違っても、ルーシーだから好きなんだ。俺もどうしたらとかどうすればとかわからない。ただ、想いを伝えずに誤解されたりするのは嫌だから、今後も敢えて控えるつもりはないよ」

 そして、いつしか自分の愛情に埋もれて抜け出せなくなればいい。
 優しいルーシーなら、きっとラシェルがへまをしない限り、付き合うと決めた相手を簡単に見限ることはしないだろうと思っている。

 そんなことさえ考えている自分は、ルーシーと違って打算的だ。
 計算しているわけでもないけれど、伝えたい気持ちのまま伝えてしまうのなら、どうせならと考えてしまうことは止められない。

 ルーシーに向き合うなら、少しでも綺麗な気持ちでいたいと思う。
 なのに、そうなれない自分にげんなりしながらも、ルーシーだけは失えないと強く思う気持ちはあれこれと思考するのを止められない。

「ルー。キス、してもいい?」
「えっ?」
「したい。ダメ?」

 キスだけ。
 汚れていない唇くらいは求めても許されるのではないかと、ルーシーまで汚してしまわないからと思っている。
 逆に言うと、それだけ。ラシェルがルーシーにできることは少ない。

 ルーシーは眩しすぎて、可愛いすぎて、汚したくなくて、それでも触れたくて。
 好きだと、ルーシーだけだとわかってほしくて、意識してほしくて、結局ねだることを止められない。

 じっと見つめると、ぼっ、とルーシーの頬が赤くなる。
 その姿が愛おしくて、ラシェルは腕を上げるとルーシーの髪を耳にかけた。

「好きだよ」

 顔を近づけささやくと、ふるふる震えていた瞼をルーシーはゆっくりと伏せる。
 いいよの合図に嬉しくて、ラシェルは触れるだけのキスを、まずは瞼の上に落とした。

 ひとつ、またひとつ、許される場所に口づけを落としながら、触れてもいい場所を広げていく。
 頬、鼻、耳の下、触れるたびにルーシーが緊張するのが伝わり、ラシェルのすることに神経を向けているのがわかり、嬉しくて仕方がない。
 伝わるように、見捨てられないように、ギリギリの範囲で触れていく。

「もう、多いです」
「ごめん」

 首へと顔を下ろしたところで苦情を受け、ラシェルは苦笑とともに謝罪をした。それから、ルーシーの唇をひと撫ですると、そっと柔らかな唇の上に重ねる。
 ふわっとした感触が気持ち良くて、何度もちゅっちゅっと戯れるように繰り返した。

 ――いつの間にこんなに好きになっていたんだろう。

 自分でもよくわからない。
 もう引き返しが利かないほど、ラシェルの胸のど真ん中にはルーシーがいて、もっと欲しいのに嫌われたくなくてこれ以上手が出せない。

 信用とはどれくらい時間をかければ、どれほどのことをすれば、してもらえるものだろうか。
 ルーシーはいつ自分を認めて、好きになってくれるのだろうか。ゴールが見えないけれど、どうしても手に入れたくて諦める気もなくて、一緒に居ることを願うことをやめられない。

「もう。ラシェル様、しつこい」
「しつこいのはダメ? キスは嫌?」

 ちょっと怒らせてしまったけれど、その顔は笑っているので許容されている。
 それを確認して、ラシェルは甘えるようにルーシーの頬をそっと撫でながら、顔を近づけてじっと見つめる。

「嫌ではないですけど……」
「ん。ルー。好き」

 気持ちを素直に話してくれるルーシーに、嫌ではないとちゃんと伝えてくれるルーシーが好きだ。

 ――早く俺を好きなって。

 いろいろ思うことはあるけれど、それがラシェルの一番の願い。
 その口から、いつしか好きが聞けるように、もう一度好きのキスを落とす。

 恋人となったことで、ラシェルはさらにルーシーへの思いを募らせた。



Fin.


ラシェルsideはもう少し端的する予定だったのですが、長くなってしまいました。
最後までお付き合い、お気に入り、エールや感想など本当にありがとうございました。゚(゚ノ∀`*゚)゚。
またお会いできることを。

感想 44

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