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1-something quite unexpected-
33高塚くんと気まずい②
しおりを挟む1日時間をおき、客観的に高塚くんのこと、自分の今の状態を少しは見直す余裕はできたように思う。
莉乃は単純に気後れしたのだ。
学校では考えられない会話を耳にして、今までの高塚くんとの時間が幻のように思えてしまって、自分はどうしていいのかわからなくなった。
『好きな女はいない』
高塚くんは電話の相手に確かにそう言った。
「好きな人はいない、か」
なんとなく、繰り返す。自分の言葉に、胸がぎゅっと苦しくなった。
莉乃は、彼の言葉になぜかショックを受けた。ショックを受けた自分にショックを受けるというダブルパンチ。
だったら、毎日迎えにくるのはどういうことなの? メールは? 電話は?
まるで少しでも長く一緒にいたいとばかりの彼の行動は、莉乃がそう思っただけで勘違いってこと? と好き勝手振り回す高塚くんを憎くさえ思って。
きっと、そういう姿に振り回されてきた女性は数多もいて、強引すぎるとこもあるけれど、それさえも魅力の一つとして許されてきたのだろう。
「そんな相手に、太刀打ちできるわけないじゃない……」
携帯を額に当て文句を言う。
大事だとばかりに優しく触れスキンシップを求められ、様子を見ながら徐々に増やされ。
いつも別れの時に見せるあの寂しくてでも餓えたような光さえも、自分の勘違いで、いつも別れを引き止めようとする行動にも意味がないと思うと虚しくなって。
好きな女がいないのなら、莉乃には何を思ってそんな態度を見せるのか。惚れさせて、莉乃が絆されたらおしまい? 何か賭けでもしているの?
そして、ずっとずっと付きまとう最大の疑問。
──────どうして私なの?
答えなんて出ないのに、ぐるぐると渦巻く思考。
一人になると考えてしまって、忘れよう、考えまいと楽しく過ごしていたはずなのに、ちょっとでも時間ができると考えてしまう。
なんか、自分が自分でイヤになる。
勝手に聞き耳を立ててしまったこともそうだし、いろいろ想像しちゃっていることもそうだし、そもそも自分の立場でこんなことを考えるのはおこがましいというか。
彼女でもないのに……。
それに尽きる。
莉乃はどこにでもいる女子高生だ。誰ともお付き合いなんてしたことのない、そこらへんにいる若いことが取り柄の女の子。
もちろん、いつかは恋人が欲しいなとは思うけれど、やっぱりまだ想像の域なので、まだまだお子様な自分は高塚くんの会話は刺激的すぎただけ。
彼との時間は、そういったことに経験のない莉乃にとっては甘い夢のようなもの。
「あぁぁぁー。私もわかってるんだって」
ぐりんぐりんとベッドに懐く。
なんか、恥ずかしい。もどかしい。
勝手に期待して、勝手に落ち込んで。
放課後を一緒に過ごす、スキンシップの激しい変わった友人関係なんだってわかっていたはずなのに、高塚くんの恋愛のことなんて莉乃には関係ないはずなのに、妙に会話がこびりついて離れない。
やっぱり遊びなんだって気持ちが消えない。
それは遊びに行っているのだから、遊びなんだけど。そうじゃなくて。
毎日、毎日、メールをもらい、必ず会いに来て、先日は休みの日も会おうと誘ってくれた。
誘ってくれたのを断ったのは莉乃の方だ。申し訳ないなとは思ったけれど、人気者の高塚くんは空いた時間はきっと友人だとか高塚くんのことを好きな女性を誘うのだろうとは思った。
思ってはいたけど、具体的に想像していなかった。
『学校』では、高塚くんの中で特別なのは私。『外』の様子は知らないし、匂わせないから莉乃は気にせずに済んでいた。
毎日、毎日、メールをもらい会いに来られたら、高塚くんの中で私はそこそこ存在しているものだと勘違いしてしまっていたんだ。
だって、莉乃も過ごしていくうちに、メールや話をしていくうちに、高塚くんのことを考える時間が増えていったから。
だから、自然と高塚くんが『枠』を関係なしに優先するのは私だって。いつの間にかそう思っていたことに気付かされた。
『外』では違うかもって思いながら、もしかしたら連絡するのも会いに来てくれるのも私だけなのかもって。誘われたことが、余計にその気持ちを大きくした。
とんだ思い上がりだ。
自分が恥ずかしい。それと同時に高塚くんのことを考えると苦しい。
莉乃は右手に持ったスマホをぷらぷらと揺らしながら、放り出すこともできない自分に憂鬱になる。
「しんどいなぁ」
どうしたらいいの?
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