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3-Love doesn't stop-
75高塚くんの愛の証明①
お付き合いが始まってからお互いに用事がない日は今までと同じように放課後のデートを重ね、ようやく休日となった今日。
待ち合わせの駅前に向かうと、すでに着いていた高塚くんが人の視線を集めて時計塔の前に立っていた。
紺のアンクルパンツと白シャツにネックレスに指輪、時計をしているだけのシンプルな出で立ちなのにオーラがでており、相変わらずの美貌で周囲がキラキラして見える。
好きを自覚してから初めての休日デートはやはり特別で、前日から服装を悩みに悩み、楽しみなのと同時にひどく緊張した。結局選んだのは、ふんわりとしたシフォン素材のプリーツスカートと白のカットソー。
短いスカートは気合が入りすぎかなとか、タンクトップも肌が見えすぎかなとか、カジュアルすぎてもとかいろいろ悩んだ末、初デート服っぽいと自分で納得して家を出たのだが、高塚くんの前だとどれも霞む気がしてちょっと気後れしてしまう。
莉乃が二の足を踏んでいると、すぐに莉乃に気づいた高塚くんが笑顔を浮かべた。
「りの!!」
「……千歳くん、待った?」
嬉しそうにこちらに寄ってくる高塚くんの姿に、莉乃も自然と笑みが漏れる。
先ほどまでは近寄るなオーラを出していたのに、莉乃の顔を見た瞬間相好を崩され、莉乃の些細な不安はあっさりと飛んでいった。
莉乃を捉えようとする力強い眼差しに、好きだと隠さないその顔を直視できずに誤魔化すように前髪を触る。
「時間通りだし。それに待っている間も楽しかった。今日もりのが可愛い。白がとても似合うよ」
「……っ、……ありがとう」
当たり前のように褒められて、伸びてきた腕が莉乃の手を捕まえる。ふわり、と香る高塚くんの爽やかな匂い。
暑くなってきたはずなのに、まったくべとつかず体温さえも気持ちが良い。愛おしそうに見つめられながら、解けないように指を絡められる。
「………………」
「千歳くん?」
すっごく長い間、絡められたまま上からじっと穴が開くかと思うほど見られている。ぱちぱち、と瞬きを繰り返し、戸惑いながら声をかけると、ようやく高塚くんが動き出した。
「……可愛すぎだろ、食べたい。──っ、ああ、ごめん。行こうか」
「うん」
前半はぼそっと言ったので聞こえなかったが、にこっと微笑まれ「こっち」と高塚くんが反対の方を向いたので、莉乃も優しく引かれながら歩き出した。
駅前で人が多いので何人かはこっちを見ている気がするけど、関係がはっきりした今は以前ほど気にならなくなった。
そして、証明とやらに連れてこられた場所。
現在は外の光が漏れ入り、壁は黒く塗られているせいか明るいけれど落ち着いた空気が流れている。
社会人が出入りするおしゃれなカフェそのままの雰囲気のお店は、高校生では少しばかり敷居が高いけれど、躊躇いもなく扉を開けると勝手知ったるといったふうに、自分で席に座る高塚くんに連れられて戸惑う暇もなかった。
ここは夜はバーになるらしい。確かに、照明を絞ったらそれっぽくて、カウンターにはお酒類が置かれているので納得だ。
そこのカップル席の奥に座らされ、「少し待ってて」と知り合いの元へと話しに行って戻ってきたと思ったら、横にピタリとくっつくように座る高塚くん。
二人分の体重でわずかに沈むソファ。思わず身体を横にずらそうとすると、即座に腰を掴まれた。
「……千歳くん」
「りの。逃げたらだめだよ」
「これは逃げるとかじゃなくて」
「なら、なに?」
「だって、そこそこスペースあるのにくっつく必要ないかなぁって」
しかも、二人っきりならまだしも公の場。そして、初私服デート。ちょっとしたことでも反応してしまうから、あまり刺激しないでほしい。
「こうしていたら、りのは俺のだって誰が見てもわかるでしょ?」
さも当たり前のように、至極真面目に告げる高塚くん。そのセリフに羞恥するよりも、すん、と冷静になる。
ものすごい美形に、俺のものだって全力で主張されても、むしろ逆だよねって思う。こっちが必死になって数多の誘惑が多いだろう彼氏に、心移りされないようにアピールするならまだしもって思う。
今までの人生でモテたことなんてないって言っているのに、高塚くん的には莉乃に他の男が目をつけないか心配でしょうがないらしい。
今日のここも、連れて行きたいけど私服姿を他のやつに見せるのもったいないとか、よくわからないことをぶつぶつ言っていたし。
「……それとこれとは違うような」
「違わないよ」
いや、違うでしょう。
この美形の頭の中はいったいどうなっているのだろうか? 不思議で仕方がないと、思わずまじまじと見てしまう。
むしろ、ここまでくるのに高塚くんへ向けられる特に女性の視線の多さといったら。
それらのどんな視線も無視して、高塚くんは莉乃だけを見て話しかけていたから気づいていたのかはわからないけど。
学校でもそうだけど、見られることに慣れた高塚くんは堂々としており、他人の視線なんかで自分の行動を制限するような人ではなかった。
今も莉乃の頬にかかった横髪を取ると、そこに口づけてくる。
その際に上目遣いでじっと視線を莉乃に向けたままだったが、莉乃が少し顔を引きつらせると、にこりと笑う。
いったい、どこの貴族令息だ。
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