セリフ一言令嬢なのに、攻略対象者が求婚してきます

橋本彩里(Ayari)

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攻略対象者の策の中3

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 ・*~*~*・


 ぼんやりと意識が覚醒し、朝の光がやけに白く感じそうっと瞼を開けると、こちらを覗き込んでいるオズワルド様の美しい顔がありました。

「……おずわ、るどさま」

 声がひどくかすれ、あれだけ喘がされたら仕方がないと話すことを諦めます。ついでに、あちこち、特に腰がだるくて起き上がる気力もありません。
 時間の感覚がありません。夜が三回くらいきたところまでは数えられましたが、押し倒されてから何日後かもわかりません。

 学園も卒業し、晴れて夫婦になり、少しばかり羽目を外してもいいとしても限度というものを超えています。
 すぎる快感はつらいというのを初めて知りました。

「おはようございます。私のヴィア」
「……よう、ございっ、こほっ、す」
「無理をさせてしまいましたね。できる限り治癒魔法をかけておきましたが、起き上がれますか?」

 すっきりした瑞々しいお顔のオズワルド様は、腕枕をしていた腕で私の顔を近くに寄せるとちゅっと音を立ててキスをしました。
 その際に当たった下半身は、まだまだ元気です。
 身体をぎくりと強張らせると、ふふっと苦笑とともに口づけがまた落ちてきます。

「さすがにこれ以上はしませんよ。ヴィアを壊したくありませんから」

 オズワルド様はそっと私の身体を起こすと、サイドテーブルのほうに手を伸ばします。

「水を用意しています。飲みますか?」
「……は、い」

 当然のようにオズワルド様がコップに口づけ、それを口移しで飲ませられます。
 それを何度か繰り返し、ようやく人心地がつくと、また横たえられ髪を優しく梳かれました。

「あとでマッサージでもしましょう」
「おずわるど、さま、がですか?」
「ダメですよ、ヴィア。さっきから呼び方が変わってます。なんて呼ぶのでしたか?」
「…お、おず」

 喘がされながら散々言わされた名を慌てて呼ぶと、オズワルド様は頬を撫でながら口の端を上げました。

「そうですよ。もう正式に夫婦となったのですからこれからはそう呼んでください。ヴィアが快適に過ごせるようにするのも夫の務めですから、マッサージは私がいたします」
「あ、ありがとう、ございます」

 正直、彼女たちはそれが仕事とはいえ、使用人に情事後の身体を見られるのは恥ずかしいです。もともと己のことは自分でしていたので、人に肌を見られたり触れられたりするのは慣れていません。
 旦那さまにしてもらうのもどうかと思うが、本人がそう言っているのだから今回は甘えることにします。

「いいえ。私が無理をさせたのですから。それと、ここが新居でこの部屋が私たちの寝室です。お気に召していただけたらいいのですが、また少しずつでもヴィアの好きなように変えていってください」

 い、いつの間に新居を?
 えっ?

 ゆっくりと周囲に視線を走らせます。
 連れられた時は詮索する暇もなく押し倒されたので、このやたらと大きなベッドは私たち夫婦のものなのだそう。
 調度も派手さはなく落ちつくものではありますが、ずっとこの部屋にいたのにもかかわらずしっかりまだ見ておりません。

 声に出さない疑問を、オズワルド様は的確に読み取り答えてくれます。

「婚約したと同時にです。卒業までは待つと言いましたので、こうして使える日がきて嬉しい限りです」

 確かにそのようなことはおっしゃっていました。純潔約束通り確かに卒業まで守られておりました。
 何度も言いますが、よく無事であったなと驚きのほうが大きいくらいぐずぐずにされてきましたので、ある意味オズワルド様の鉄の意思に感服です。

「ここまで長かったですよ。あなたを腕に抱けるのに最後まではもらえない日々はひどく我慢を強いられました。ですので、今回は多少羽目を外した自覚はありますが、可愛く泣くヴィアのおかげでなんとか抱き潰さずにいけました」

 続くオズワルド様の言葉に、どこかぼんやりだった思考が一気にクリアになりました。パシパシと驚きで瞬きを繰り返します。
 多少どころではありません。あれで、たしょう?

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