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ほこほこ日和
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しおりを挟む大和はこちらに無理に干渉するつもりはなかったようだ。ただ、気になったから声をかけた。随分さっぱりした人間だ。
これがカワジと会話を成り立たせる、触ることのできる初めての人間。
カワジはじぃっと見つめた。コンはこれも縁だと言っていたが、どうだろうか?
「大和はよく妖と話をするの?」
「ん? 全くないわけではないが、滅多にない。基本見えるだけだし、あっちもこっちも関わろうとは思ってないから。そもそもこの間もカワジが食い意地張っているのと、よくわからない会話を繰り返すから反応してしまった」
あれは迷惑だったと、大和は大きく溜め息をつく。
そこで、カワジは首を傾げた。
周りから食い意地張っていると言われるが、初対面でそれを言われるほどではないはずだ。
──むしろ、そっちがぱくぱく取っていったのにぃぃぃ~。
人間にとって物質が減るわけではないのだから、先に食べさせてくれてもいいはずだ。そしたら、カワジだってムキにならなかった。
やっぱり意地悪だっ!!
あの時のことを思い出して、ぷっくぅっとカワジは頬を膨らませた。
「食べたかった……」
「まだ、言うか」
呆れたような言葉に、カワジはきっ、と見上げる。
「だって、とっても美味しそうだったんだもの」
「他にもあっただろ?」
「そうだけど、大和の前に置かれたものが食べたかったの」
「へぇ?」
そこで大和は眼鏡の奥の目を細めた。そうされると、カワジは急にまたドキドキしてきたのでそっと視線を外し、まだ怒ってることがあるとごまかすように告げた。
「それに姐さまの講義は有意義なんだから」
「姐さまねぇ。あれでか?」
「そうだよ!! 姐さまはとてもすごいの!!」
「ずいぶんと適当だったと思うけどな」
確かにあの日は大和が指摘して、姐さまも納得していたのでちょっと間違っていたのかもしれないがっ。
「でもでも、いつも楽しいしためになるよ」
「確かに、楽しそうではあったけどな」
姐さまのお話はとても面白くわかりやすい。わからないと思うことはそれはカワジの理解力がないだけだ。
それをよくわからないと言われてもそれこそよくわからない。カワジはなんとか姐さまの凄さをわからせようと言葉をあれこれ重ねたが、大和はわかってくれなかった。
はいはいとばかりに、頭をポンと叩かれる。
──あっ、また頭を触られたぁ~!!
一瞬だったけど、まだ頭に大和の手が乗っている気がしてカワジは小さな手を頭に乗せた。うん。ない。ないけど……、なんだろう??
前回は卒倒するほどびっくりしたけれど、今はほわほわそわそわする。
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