別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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勇者とは

立ちはだかれ!

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「ち、違う。違わないが……。コイツは魔人だけど違うんです!!」

 支離滅裂な言葉を出す事しか出来ないルサークに、マルクエンは大声で命令をする。

「そこをどいて下さい!!」

「まさか、あなた魔人に操られでもしているの?」

 ラミッタもマルクエンの隣に立ち、剣先をルサークに向けながら言った。

 ルサークは首を横に振って否定した後に、また話し続ける。

「違うんです!! 勇者様!! コイツは魔人かもしれないが、悪い奴ではない!!」

 あまりに必死にかばう様子を見て、マルクエンは少し困惑した。

 なぜ庇っているのか、ルサークは自分自身でも分からない。

 だが、体が、口が、勝手に動いてしまうのだ。

「宿敵、私がやるわ」

「お願いです!! やめてくださっ……」

 ラミッタの手から赤い閃光が走り、スパチーを貫く。

 ルサークもデルタも、レモーヌも、その光景を見る事しか出来なかった。

 ガクリと倒れるスパチーを見てルサークとデルタは駆け寄る。

「スパチー!!!」

 抱き抱えてルサークは揺さぶるが、反応は無い。

 元々、勇者に引き渡そうとしていたのに、何だこの感情はとルサークはこみ上げる涙と喪失感を感じていた。

「スパチー……」

 ルサークが、小さく名前を呼んだその瞬間、スパチーはピクリと動いて、顔を振って金髪のツインテールをフリフリと揺らす。

「スパチー!! あっ、逃げろ!!!」

「ルサー……ク……、体が変だぞ」

 勇者が近付いてくる。どうすれば良いとルサークは考えていた。

 そんな様子を察して、ラミッタは片目を閉じてため息を吐く。

「殺しゃしないわ。そいつは生け捕りよ」

「えっ!?」

 ルサークは思わず間の抜けた返事をする。

「生きて捕らえられるなら、その方が情報を吐き出させやすいからね。しばらく魔力は封じさせてもらうけどね」

 ともかく、スパチーの命を奪われないという事で、ルサークもデルタも安堵した。

 だが、安心したのもつかの間、ラミッタは二人に対して尋問を始めた。

「それで、アンタ達は何なの? なぜ魔人と一緒に?」

「それは……」

 ルサークとデルタは、勇者のフリをしていた事と、スパチーと一緒に居た理由を白状した。

 近くに居たレモーヌも、その話を聞いて驚く。

「なるほど、アンタ達が私達の偽物ってワケね」

「申し訳ありません!! 俺はどんな罰でも受けますので!! どうかデルタは見逃して頂けませんか!!」

 その言葉に思わずデルタは名前を呼ぶ。

「ルサーク!!」

 だが、ラミッタは冷たく言い放つ。

「ダメよ。魔人共々、二人とも連行していくわ」

 観念したようにルサークとデルタは頭をもたげた。

「そして、あなた。レモーヌって言ったかしら? あなたも知りすぎてしまったわ。一緒に来てもらうわ」

 空気の様になっていたレモーヌは突然名前を呼ばれてびっくりする。

「そ、そんなぁ!?」

 マルクエンは少し笑顔を作り、言う。

「安心してください。悪いようにはしない」

 ちょっと動けるようになったスパチーはこんな状況で、座りながら言った。

「ルサーク、お腹空いたぞ……」

「おまっ!? 状況分かってんのか!?」

 思わず、そのやり取りにマルクエンは大声で笑ってしまう。

「そうだな、もう何だかんだ良い時間ですしね」

 ラミッタも同じく、少し呆れつつも、笑う。

「腹が減っては戦も出来ぬ、お昼にしましょう」
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