別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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田舎町

違和感

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「ラミッタ、私達は王都から結構な距離まで来たよな」

 マルクエンは何気なくラミッタに話しかける。それに対し、ラミッタはレモン水を飲みながら言った。

「別の世界から来ているんだから、それに比べりゃなんてことは無いわよ」

「王都といえば、シヘンさん大丈夫だろうか?」

「シヘンね……」

 まだ二人はシヘンの安否を知らない。心配するマルクエンにラミッタが言う。

「まぁ、大丈夫でしょ。護衛にはケイもリッチェさんもいる。そして王都まで行けばスフィン将軍がいるのよ?」

 ラミッタの言葉を聞いてマルクエンは力強くうなずいた。

「それもそうだな」

 そんな他愛もない雑談をしていると、店員がこちらへやって来る。

「お待たせいたしました。なそてこのシチューランチです!」

 パンにサラダ。そして大盛りのシチュー。マルクエンは目を輝かせていた。

「美味しそうだ。イタダキマス!」

「はいはい、いただきます」

 ラミッタは丸ごと一本、いや、三本もシチューに入れられているナス。なそてこの笑顔と目があった。

 食欲を失わせるが、気付かれないようにスプーンでなそてこをほぐして口に入れる。

「あら、美味しいじゃない」

 ふんわりとしつつも、しっかりとした食感のそれは、ラミッタの口に合ったようだ。

「おぉ、美味いな!」

 マルクエンも絶賛している。

 二人は食事を終えて、宿屋へと戻った。

「おかえりなさいませ、勇者様!!」

「はは、ただいま戻りました」

 マルクエンは恥ずかしがりながら、宿屋のおかみに言い、部屋のドアを開ける。

 その瞬間、マルクエンは目の前の光景を疑った。

 部屋の窓は円形状に切り取られており、風がカーテンをなびかせている。

 ラミッタもその光景を見て、一瞬あっけにとられたが、すぐに冷静に言う。

「宿敵!! 部屋に誰かいるかもしれないわ!!」

「あぁ!!」

 マルクエンは拳を構え、ラミッタは魔力で剣を作る。

 慎重に部屋の隅々まで見るが、人は見当たらない。

 代わりに一つ気付いた事があった。マルクエンはラミッタにそれを告げる。

「武器と防具が無くなっているな」

「えぇ、泥棒かしらね」

 騒ぎを聞きつけた宿屋のおかみと主人が走ってやって来た。

「どうなさいました!?」

 マルクエンは神妙な顔でおかみと主人に言う。

「どうやら、泥棒のようです。武器と防具が無くなっています」

 それを聞いたおかみは口に手を当てて目を丸くし、主人は膝から崩れ落ちた。

「な、なんてことだ……。泥棒が、よりによって勇者様の物を……」

 主人はそのまま額を床に付けて謝る。

「申し訳ございません!! 勇者様!!!」

 マルクエンは慌てて主人の肩に手を置いて言った。

「頭を上げてください」

「で、ですが……」

「大丈夫です。ともかく、ご主人は治安維持部隊に連絡を。ラミッタ、空を飛んで怪しい奴が居ないか見てくれ」

「わかったわ!」

 ラミッタは外に飛び出て上空から怪しい人影を探す。
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