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海へ行こう!

食ってみな

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「今日こそ奴を私の下僕にしてやるわ……」

 色白の肌と対照的な黒いビキニを着た黒魔術師のシチ・ヘプターだ。

「姉御!! やっちまいましょう!!」

 手下の女は全身を覆う紺色の水着を着ている。

「えぇ、行くわよ」

 シチ達はマルクエンの前におどり出て高らかに笑う。

「ハーハハハ!! ここで会ったが百年目!! 今日こそ我が下僕になってもらうわよ!!」

「なっ、貴様はシチ・ヘプター!?」

 マルクエンに名前を呼ばれて少し赤面するシチ。ラミッタは面倒くさそうに彼女達を見ていた。

「アンタ達懲りないわねー……」

 はぁーっとため息をついて立ち上がり、足元の砂をラミッタは踏みしめる。

 砂が触手のように素早く動いてシチ達をふっ飛ばした。

「いやー!!!」

 そんな声を上げながら海へドボーンと落ちる。

「何だったんスかね、アレ……」





 夕暮れになり、すっかり遊び疲れてしまったマルクエン達。海に太陽が沈んでいく様を眺めていた。

「太陽は海に入って行くって本当だったんですね」

 綺麗な夕暮れを見てマルクエンはため息をつく。

「えぇ、何だかちょっぴり切ないですけど、綺麗ですよね」

「うーん、今日は存分に羽を伸ばせたわね」

 ラミッタはそんな事を言っていた。

 太陽が海の中へと隠れ、辺りは暗くなる。

 着替えた一行は火を囲んでバーベキューの準備をしていた。

「いやー、海を見ながらのバーベキュー!! 最高ッスねー!!!」

 月明かりが海を照らし、さざ波の音が聞こえる。マルクエン以外は酒を片手に持ち乾杯をした。

 網の上には肉の他にもエビやイカ、貝類といった海の幸が並ぶ。

「マルクエンさん。この貝よく焼けてますよ」

 シヘンが笑顔で言ってきたが、マルクエンは「えーっと」と言い頭をかく。

「申し訳無い。私はどうも貝類が苦手でして……」 

「あれ、そうだったんですか?」

 不思議そうにシヘンが言うと、マルクエンは答える。

「えぇ、何ていうか、見た目が得体の知れない物に見えて……。苦手なんです」

「好き嫌い言うんじゃないわよ宿敵」

 ラミッタはマルクエンの取皿にホタテを入れた。

「食べてみなさい。飛ぶわよ」

「う、うむ……」

 渋い顔をしながらマルクエンは恐る恐る口をつける。

「むっ!? 美味い!!」

 貝の甘みと旨味を感じてマルクエンは驚いた顔をした。

「何でも食わず嫌いは良くないわよ、宿敵」
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