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試練の塔

最上階!

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 部屋の奥には大きな噴水が見えていた。

「この先に待ち構えているのかしら?」

「あぁ、気を引き締めて行くぞ」

 一歩一歩、噴水へと近づくマルクエンとラミッタ。

 眼前まで来ると、噴水から光が溢れ、宙を舞う。

 警戒して剣を引き抜くが、その光は一点に集中し始め一際眩しく光ったかと思うと、次の瞬間には目の前に長い金髪の美女が現れた。

「なっ!?」

 驚くマルクエンへ宙に浮かぶ美女は優しく微笑みかける。

「よくぞここまで辿り着きました。異世界からの勇者よ」

「あ、あなたは!?」

 マルクエンに問われると、美女はニコリと笑い返す。

「私はこの塔の女神。これより、あなた方に力を授けます」

「力をくれるってんなら、最初っから素直にここまで通してほしかったわね」

 ラミッタが悪態をつくと、女神は悲しそうな顔をする。

「それは出来ないのです。この塔は試練の塔です」

「なるほど、試練を突破しなくてはと言うことですか?」

 マルクエンが言うと、なんと女神は首を横に振って否定した。 

「いいえ、それよりも大事なことがありました」

「そ、それは……!?」

 試練よりも大事な事と聞いて、マルクエンは何だろうと考える。

「それは、何か二人の関係性がじれったいので、この際くっつけてやろうかと思いましてね」

 女神の言葉に静寂が流れる。マルクエンは理解が追いつかなく、言葉の意味を考えていた。

 ラミッタは顔を赤くしてプルプル震えながら女神に噛み付いて言う。

「なっ、なにいってるのかしらこの女神はぁ!!!!」

 声が裏返っていた。

「くっつけるとは、つまり……」

 マルクエンが思考の答えに辿り着きそうになるので、慌ててラミッタは妨害する。

「違う、違うから、それはこの女神の勘違い!! ほら、さっさと力を寄越よこしなさい!!」

「強情ですね……。しかし、今は世界の危機。あなた方の事はその内、解決できると信じて力を授けましょう」

 女神が両腕を天に上げると、ラミッタは赤い光に、マルクエンは青い光に包まれた。

「私が力を与えるまでもなく、マルクエンさんは既に覚醒の片鱗を見せていましたが、これで真に覚醒した力が使えます」

「お、おぉ!?」

 マルクエンは体が青白く光り、力がみなぎるのを感じている。

「そして、ラミッタさん。あなたは魔力で空を飛べるようになりました」

「空ぁ!?」

 マルクエンとラミッタは驚いて、同じ言葉を叫ぶ。
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