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聖女様
本音
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アザミヤは歩いていたが、段々と小走りに、あてもなく村はずれまで来てしまった。
「ちょっとお嬢さん?」
声を掛けられてビクリとする。声の主を探すと、長いくすんだ金髪の女が立っていた。
「あ、あなたは?」
「ははっ、心配しなくてもいいさ。僕はただの行商人だよ。なんだか浮かない顔をしていたから声掛けさせて貰っただけさ」
女と目が合う。アザミヤが金色の瞳を見つめた。
その瞬間、自分の中で抑えていた感情が緩む気がし、止めどなく涙が溢れてくる。
「あらら、どうしたのかな? 僕で良ければそこに座って話聞くよ?」
金髪の女は敷物を敷いて「こちらへどうぞ」とアザミヤと隣同士で座る。
アザミヤはしばらく泣いていて話が出来なかったが、少し落ち着くと、話し出す。
「私には、幼馴染が居ました。彼は……。冒険者になるって言って小さいころから修行をしていました」
「そうなんだ」
「出発を控えていた日に、魔物が村を襲い。彼は戦ったのです。その時、片足を失いました」
「それはお気の毒に」
泣きながらアザミヤは話し続ける。
「私のせいで、私を庇って、彼は冒険者の夢を失いました」
「そっかー、それは責任感じちゃうよね」
「でも、村に来た聖女様に足を治して貰って、彼は……。タカセはもう一度冒険者になるって……」
「良かったじゃん。嬉し泣きかな?」
言葉ではそう言っていたが、金髪の女はアザミヤの心を見透かしていた。
「そうです、私良かったって……」
「嘘だね」
金髪の女にそう言われ、思わずアザミヤは彼女の顔を見る。
「本当の事、話してみなよ」
しばらく沈黙した後、またも女と目が合う、何だか心の奥にしまってフタをしておいた事を言わなければいけない気がした。
「私、私、最低な女なんです」
開口一番に言ったのはそれだった。
「最低? 最低って言うと?」
「私、幼馴染が、タカセが好きだった。村から出てほしくなかった。だから、怪我したときは死んじゃうんじゃないかって思っていたけど」
そこまで言うと、アザミヤは黙り、また覚悟して話す。
「怪我が治って、冒険者を諦めて。村に居てくれるのが嬉しかった。私がずっとそばに居てお世話できるのが嬉しかった」
泣きながら続ける。
「私のせいで夢を諦めたのに、私のせいで失ったのに、それなのに私は心の底で嬉しいって思っちゃった」
なりふり構わず「うわああああ」と声を荒げてアザミヤは涙を流す。
「私、最低だ。最低だ……」
「ううん、最低なんかじゃないよ」
金髪の女は優しく言って笑顔を向ける。
「好きな人と一緒に居たいってのは普通の感情だよ」
「だ、だけど、私の場合は!!」
「ずっとお世話してた彼がどこかに行っちゃうのが怖いんだね?」
その言葉にアザミヤは小さくこくりと頷く。
「よーし、出血大サービスだ!! この恋愛成就のお守りあげちゃう!!」
金髪の女は懐から赤い宝石のペンダントを取り出した。
「えっ? で、でも」
「お金はいいよ。私は恋する女の子の味方だからね」
そう言って金髪の女は顔を近づけアザミヤにペンダントを付けてやる。
「似合っているよ!! それじゃ私はもう行かなくちゃ!!」
金髪の女が立ち上がり、アザミヤも慌てて立つ。
「それ持ってればどうにかなるよ。頑張ってね、応援しているよ」
金髪の女は手をひらひらと振って歩いて行ってしまった。
「ちょっとお嬢さん?」
声を掛けられてビクリとする。声の主を探すと、長いくすんだ金髪の女が立っていた。
「あ、あなたは?」
「ははっ、心配しなくてもいいさ。僕はただの行商人だよ。なんだか浮かない顔をしていたから声掛けさせて貰っただけさ」
女と目が合う。アザミヤが金色の瞳を見つめた。
その瞬間、自分の中で抑えていた感情が緩む気がし、止めどなく涙が溢れてくる。
「あらら、どうしたのかな? 僕で良ければそこに座って話聞くよ?」
金髪の女は敷物を敷いて「こちらへどうぞ」とアザミヤと隣同士で座る。
アザミヤはしばらく泣いていて話が出来なかったが、少し落ち着くと、話し出す。
「私には、幼馴染が居ました。彼は……。冒険者になるって言って小さいころから修行をしていました」
「そうなんだ」
「出発を控えていた日に、魔物が村を襲い。彼は戦ったのです。その時、片足を失いました」
「それはお気の毒に」
泣きながらアザミヤは話し続ける。
「私のせいで、私を庇って、彼は冒険者の夢を失いました」
「そっかー、それは責任感じちゃうよね」
「でも、村に来た聖女様に足を治して貰って、彼は……。タカセはもう一度冒険者になるって……」
「良かったじゃん。嬉し泣きかな?」
言葉ではそう言っていたが、金髪の女はアザミヤの心を見透かしていた。
「そうです、私良かったって……」
「嘘だね」
金髪の女にそう言われ、思わずアザミヤは彼女の顔を見る。
「本当の事、話してみなよ」
しばらく沈黙した後、またも女と目が合う、何だか心の奥にしまってフタをしておいた事を言わなければいけない気がした。
「私、私、最低な女なんです」
開口一番に言ったのはそれだった。
「最低? 最低って言うと?」
「私、幼馴染が、タカセが好きだった。村から出てほしくなかった。だから、怪我したときは死んじゃうんじゃないかって思っていたけど」
そこまで言うと、アザミヤは黙り、また覚悟して話す。
「怪我が治って、冒険者を諦めて。村に居てくれるのが嬉しかった。私がずっとそばに居てお世話できるのが嬉しかった」
泣きながら続ける。
「私のせいで夢を諦めたのに、私のせいで失ったのに、それなのに私は心の底で嬉しいって思っちゃった」
なりふり構わず「うわああああ」と声を荒げてアザミヤは涙を流す。
「私、最低だ。最低だ……」
「ううん、最低なんかじゃないよ」
金髪の女は優しく言って笑顔を向ける。
「好きな人と一緒に居たいってのは普通の感情だよ」
「だ、だけど、私の場合は!!」
「ずっとお世話してた彼がどこかに行っちゃうのが怖いんだね?」
その言葉にアザミヤは小さくこくりと頷く。
「よーし、出血大サービスだ!! この恋愛成就のお守りあげちゃう!!」
金髪の女は懐から赤い宝石のペンダントを取り出した。
「えっ? で、でも」
「お金はいいよ。私は恋する女の子の味方だからね」
そう言って金髪の女は顔を近づけアザミヤにペンダントを付けてやる。
「似合っているよ!! それじゃ私はもう行かなくちゃ!!」
金髪の女が立ち上がり、アザミヤも慌てて立つ。
「それ持ってればどうにかなるよ。頑張ってね、応援しているよ」
金髪の女は手をひらひらと振って歩いて行ってしまった。
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