216 / 288
聖女様
ペンダント
しおりを挟む
行く当てもないので村へと帰るアザミヤ。
タカセの家を訪ねようとするが、また「しつこい」と言われたらどうしようと、思わず戸の前で立ち止まってしまう。
「何か用か?」
突然後ろから声を掛けられ、アザミヤはビクリとする。
「あっ、タカセっ……」
二人は気まずい沈黙があったが、アザミヤが話し始めた。
「タカセ、本当にまた冒険者目指すの?」
「あぁ、俺の夢だからな」
「そっか……」
言葉を聞いたその瞬間。アザミヤの中に黒い感情が渦巻く。
「でもね、ダメだよ。冒険者は危ないよ?」
「危険は承知の上だ」
見慣れないペンダントが光りだし、タカセは何だと目を凝らす。
「タカセはどこにも行っちゃダメ。もうどこにも行けないようにしてあげるから……」
そう言ってアザミヤが右手を斜め下に振ると、魔法でできた赤黒い剣が現れる。
「なっ、お前どこでそんな技を!?」
「手も足も取ってどこにも行けないようにしてあげる」
アザミヤはタカセに襲い掛かった。思わず剣を避け、距離を取るタカセ。
村人たちは何事だとそちらを見ていた。
「ふざけるな!!!」
タカセが叫ぶも、アザミヤは止まらない。
「待ってよタカセ。私、タカセの事が好きなの。ずっと一緒に居たいの」
アザミヤは剣を振り続ける。避けきれずに一発、右腕に深い傷を負った。
「あぐううっっ」
思わず右手を抑えるタカセ。黒く長い美しい髪を振り乱し、アザミヤは優しい笑顔を向ける。
「惜しかったぁ、もう少しだったね」
「くそっ、何なんだ!!」
タカセは一旦引こうとするが、アザミヤは逃さない。
「まずは足から逃げられないようにしようね」
まずいと思った、その時だ。
「貴様!! 何をしている!!」
タカセの前に村人から呼ばれたスフィンが立ちはだかった。
「聖女様!!」
「出たな……。泥棒猫!!」
凄まじい形相をするアザミヤを前に、スフィンは冷静だった。
「誰が泥棒猫だ」
剣をアザミヤに向けたまま後ろに下がり、タカセの腕を治してやる。
「スフィン将軍!!」
ラミッタが空を飛び、援護へと駆け付けた。
「邪魔しないで!!」
赤黒い剣をぶんぶんと振り回して暴れるアザミヤに、ラミッタは雷撃を飛ばす。
「やめて!!」
アザミヤは魔法の防御壁を貼ってそれらを防いだ。
「やるわね。こんな逸材が村に居たなんてね」
「いえ、アザミヤは戦いなんて知らない。様子がおかしいです!!」
タカセの叫びを聞いてラミッタは魔力探知を行う。
すると、胸元のペンダントから高く、禍々しい魔力が感じ取れた。
「遅くなってすまん!!」
「宿敵、遅いわよ!!」
魔力の正体を知ると同時に、マルクエンが走って増援にやって来る。
「どうやら、あのペンダントが怪しいわね」
タカセの家を訪ねようとするが、また「しつこい」と言われたらどうしようと、思わず戸の前で立ち止まってしまう。
「何か用か?」
突然後ろから声を掛けられ、アザミヤはビクリとする。
「あっ、タカセっ……」
二人は気まずい沈黙があったが、アザミヤが話し始めた。
「タカセ、本当にまた冒険者目指すの?」
「あぁ、俺の夢だからな」
「そっか……」
言葉を聞いたその瞬間。アザミヤの中に黒い感情が渦巻く。
「でもね、ダメだよ。冒険者は危ないよ?」
「危険は承知の上だ」
見慣れないペンダントが光りだし、タカセは何だと目を凝らす。
「タカセはどこにも行っちゃダメ。もうどこにも行けないようにしてあげるから……」
そう言ってアザミヤが右手を斜め下に振ると、魔法でできた赤黒い剣が現れる。
「なっ、お前どこでそんな技を!?」
「手も足も取ってどこにも行けないようにしてあげる」
アザミヤはタカセに襲い掛かった。思わず剣を避け、距離を取るタカセ。
村人たちは何事だとそちらを見ていた。
「ふざけるな!!!」
タカセが叫ぶも、アザミヤは止まらない。
「待ってよタカセ。私、タカセの事が好きなの。ずっと一緒に居たいの」
アザミヤは剣を振り続ける。避けきれずに一発、右腕に深い傷を負った。
「あぐううっっ」
思わず右手を抑えるタカセ。黒く長い美しい髪を振り乱し、アザミヤは優しい笑顔を向ける。
「惜しかったぁ、もう少しだったね」
「くそっ、何なんだ!!」
タカセは一旦引こうとするが、アザミヤは逃さない。
「まずは足から逃げられないようにしようね」
まずいと思った、その時だ。
「貴様!! 何をしている!!」
タカセの前に村人から呼ばれたスフィンが立ちはだかった。
「聖女様!!」
「出たな……。泥棒猫!!」
凄まじい形相をするアザミヤを前に、スフィンは冷静だった。
「誰が泥棒猫だ」
剣をアザミヤに向けたまま後ろに下がり、タカセの腕を治してやる。
「スフィン将軍!!」
ラミッタが空を飛び、援護へと駆け付けた。
「邪魔しないで!!」
赤黒い剣をぶんぶんと振り回して暴れるアザミヤに、ラミッタは雷撃を飛ばす。
「やめて!!」
アザミヤは魔法の防御壁を貼ってそれらを防いだ。
「やるわね。こんな逸材が村に居たなんてね」
「いえ、アザミヤは戦いなんて知らない。様子がおかしいです!!」
タカセの叫びを聞いてラミッタは魔力探知を行う。
すると、胸元のペンダントから高く、禍々しい魔力が感じ取れた。
「遅くなってすまん!!」
「宿敵、遅いわよ!!」
魔力の正体を知ると同時に、マルクエンが走って増援にやって来る。
「どうやら、あのペンダントが怪しいわね」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる