15 / 574
襲撃者
襲撃者 1
しおりを挟む
「お目覚め下さいムツヤ殿」
そんな声で起こされたムツヤが目にしたのはエプロン姿で長い栗色の髪を後ろで結ったモモの姿だった。
「おはようございます、お食事の準備が出来ましたのでこちらにお越しください」
柔らかな表情で微笑んでモモは部屋を出ていく。
ムツヤが後に連れられて出ると、美味しそうなスープの匂いが漂ってきた。
ヒレーとも朝の挨拶を交わしムツヤは椅子に座る。
「お口にあうかわかりませんが、どうぞお召し上がり下さい」
ムツヤの目の前には豆と野菜を煮込んだスープ、丸いパンと何かの果実のジャムが置かれていた。
「美味じそうですねー頂ぎます」
ムツヤはスプーンでスープを口に入れる。
柔らかく煮込まれた豆と溶け込んだ野菜と崩れかけのジャガイモがコンソメスープによく合っていた。
「本当に美味しい、モモさんはお料理が上手ですね」
「あ、いえ、それほどでも」
ムツヤに料理を褒められるとモモは顔を赤くして視線を逸らす。
そんな二人を見てヒレーはずっとニヤニヤと笑っていた。
「それで、ムツヤ殿。大きな街までの案内の話なのですが」
言いにくそうにモモは話を切り出す、何となく悪い話なのだろうなとムツヤも感じ取る。
「私としてもムツヤ殿にご恩返しをしたいのですが、村でこれ以上犠牲者を出すわけにもいかないのです。大きな街まで歩いても1日はかかります。その間村を留守にする訳には……」
「そうですか……」
「もしお待ちいただけるのであれば犯人を捕まえるか、治安維持部隊が来るその日まで私の家でお世話をさせて頂くのでお待ちいただけないだろうか」
」
最寄りの治安維持部隊の駐在所へは使いを出した。
早ければ今日、遅くても明日には腕の立つ者が来るだろう。
治安維持部隊にオークの問題だと戦力を出し渋る者がいなければの話だが…… いずれにせよそれまでは自警をする他は無い。
モモの職業は猟師兼この村の警備だ。
モモは流石に力のぶつけ合いでは負けるが、剣を持たせればこの村の戦士として戦うオーク達の中ではかなりの実力者だった。
そんなモモが今この村を離れるわけにはいかない。
「そんな事情があるのでしたら待つのは良いんですけど…… そうだ、その犯人がわかれば良いんですよね? それじゃあ俺も手伝いますよ」
ムツヤの提案にモモは目を丸くする。その提案は嬉しいものだった。
「それはありがたいのですが、これ以上ムツヤ殿にご迷惑をお掛けするわけには」
心の何処かでまだムツヤに助けを求める卑しい気持ちが無かったわけではない。
だがここまで簡単に快諾されてしまうとやはり申し訳ない気持ちが出てくる。
「良いんですよ、このまま放っておけないし」
そうだ、ムツヤには放っておけなかったし、犯人が何を思いこの様な事をするのかが知りたかった。
この村のオークに、少なくともモモとヒレーに何か非があるとは思えない。オークを助けたいし、何故こんな事が起こるのかを知りたい。そう思った。
準備を整えてムツヤが外に出ると、日が登ったというのに外に出ている者は少ない。
モモによると襲撃があったため警備以外の用事がない者は外に出ないようにしているらしい。
その警備も森の中や高台等で監視をしているので、村の中心にはオークが少ない印象を受けた。
そんな中、一人のオークが乱暴に声を掛けてきた。ムツヤを、人間を敵視している例のバラという名前の母親を殺されたオークだ。
「おい!」
「何だお前か」
モモは面倒臭そうにそう言った、バラが人間という種を憎む気持ちは分かるし自分もそうだった。
しかし、ムツヤへの非礼は許すことが出来ない。
「お前、オークの男に相手にされないからって…… まさか人間の男とくっつきやがるなんてな」
バラは鼻を鳴らしながらモモを小馬鹿にしてそう言う。
てっきりまたムツヤに喧嘩を売りに来たものだろうと考えていたモモは、想像とは違う発言に頭の切り替えが追いつかなかった。
「な、いっ、いきなり何を言うか貴様は! 断じてムツヤ殿とはそんな関係で無い!」
モモは必死に言われたことを顔を赤くしながら思い切り否定する、それにムツヤも乗っかっていく。
「お前、モモさんに酷いことを言うのはやめろ! それとオークと人間が異性として相手を意識するのは物語の中だけらしいぞ、俺はハーレムを作りたいがモモさんをそんな目では見ていない!」
自分を庇ってくれたし、至極正論を言って悪気もないはずの言葉だったが、モモは軽く血の気が引くような、喪失感を覚えた。
そして、ちょっとだけムツヤのお尻あたりでもつねりたくなる。
そんな次の瞬間だった、バラが倒れ、後ろに人影が見えた。
そんな声で起こされたムツヤが目にしたのはエプロン姿で長い栗色の髪を後ろで結ったモモの姿だった。
「おはようございます、お食事の準備が出来ましたのでこちらにお越しください」
柔らかな表情で微笑んでモモは部屋を出ていく。
ムツヤが後に連れられて出ると、美味しそうなスープの匂いが漂ってきた。
ヒレーとも朝の挨拶を交わしムツヤは椅子に座る。
「お口にあうかわかりませんが、どうぞお召し上がり下さい」
ムツヤの目の前には豆と野菜を煮込んだスープ、丸いパンと何かの果実のジャムが置かれていた。
「美味じそうですねー頂ぎます」
ムツヤはスプーンでスープを口に入れる。
柔らかく煮込まれた豆と溶け込んだ野菜と崩れかけのジャガイモがコンソメスープによく合っていた。
「本当に美味しい、モモさんはお料理が上手ですね」
「あ、いえ、それほどでも」
ムツヤに料理を褒められるとモモは顔を赤くして視線を逸らす。
そんな二人を見てヒレーはずっとニヤニヤと笑っていた。
「それで、ムツヤ殿。大きな街までの案内の話なのですが」
言いにくそうにモモは話を切り出す、何となく悪い話なのだろうなとムツヤも感じ取る。
「私としてもムツヤ殿にご恩返しをしたいのですが、村でこれ以上犠牲者を出すわけにもいかないのです。大きな街まで歩いても1日はかかります。その間村を留守にする訳には……」
「そうですか……」
「もしお待ちいただけるのであれば犯人を捕まえるか、治安維持部隊が来るその日まで私の家でお世話をさせて頂くのでお待ちいただけないだろうか」
」
最寄りの治安維持部隊の駐在所へは使いを出した。
早ければ今日、遅くても明日には腕の立つ者が来るだろう。
治安維持部隊にオークの問題だと戦力を出し渋る者がいなければの話だが…… いずれにせよそれまでは自警をする他は無い。
モモの職業は猟師兼この村の警備だ。
モモは流石に力のぶつけ合いでは負けるが、剣を持たせればこの村の戦士として戦うオーク達の中ではかなりの実力者だった。
そんなモモが今この村を離れるわけにはいかない。
「そんな事情があるのでしたら待つのは良いんですけど…… そうだ、その犯人がわかれば良いんですよね? それじゃあ俺も手伝いますよ」
ムツヤの提案にモモは目を丸くする。その提案は嬉しいものだった。
「それはありがたいのですが、これ以上ムツヤ殿にご迷惑をお掛けするわけには」
心の何処かでまだムツヤに助けを求める卑しい気持ちが無かったわけではない。
だがここまで簡単に快諾されてしまうとやはり申し訳ない気持ちが出てくる。
「良いんですよ、このまま放っておけないし」
そうだ、ムツヤには放っておけなかったし、犯人が何を思いこの様な事をするのかが知りたかった。
この村のオークに、少なくともモモとヒレーに何か非があるとは思えない。オークを助けたいし、何故こんな事が起こるのかを知りたい。そう思った。
準備を整えてムツヤが外に出ると、日が登ったというのに外に出ている者は少ない。
モモによると襲撃があったため警備以外の用事がない者は外に出ないようにしているらしい。
その警備も森の中や高台等で監視をしているので、村の中心にはオークが少ない印象を受けた。
そんな中、一人のオークが乱暴に声を掛けてきた。ムツヤを、人間を敵視している例のバラという名前の母親を殺されたオークだ。
「おい!」
「何だお前か」
モモは面倒臭そうにそう言った、バラが人間という種を憎む気持ちは分かるし自分もそうだった。
しかし、ムツヤへの非礼は許すことが出来ない。
「お前、オークの男に相手にされないからって…… まさか人間の男とくっつきやがるなんてな」
バラは鼻を鳴らしながらモモを小馬鹿にしてそう言う。
てっきりまたムツヤに喧嘩を売りに来たものだろうと考えていたモモは、想像とは違う発言に頭の切り替えが追いつかなかった。
「な、いっ、いきなり何を言うか貴様は! 断じてムツヤ殿とはそんな関係で無い!」
モモは必死に言われたことを顔を赤くしながら思い切り否定する、それにムツヤも乗っかっていく。
「お前、モモさんに酷いことを言うのはやめろ! それとオークと人間が異性として相手を意識するのは物語の中だけらしいぞ、俺はハーレムを作りたいがモモさんをそんな目では見ていない!」
自分を庇ってくれたし、至極正論を言って悪気もないはずの言葉だったが、モモは軽く血の気が引くような、喪失感を覚えた。
そして、ちょっとだけムツヤのお尻あたりでもつねりたくなる。
そんな次の瞬間だった、バラが倒れ、後ろに人影が見えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる