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飲みに行こう
飲みに行こう 2
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4人はまた街を出て、周りに誰も居ないことを確認してからモモが話し始めた。
「ヨーリィと私達の関係をどの様に皆に説明するか考えないといけません」
「さっき起きたことをそのまま話すのはダメなんですか?」
えぇ、と返事をしてモモは右手を頬に当てて悩ましげな顔をする。
「我々新米の冒険者がA級クラスの魔物と戦ったなんて言っても誰も信じないでしょう。それにヨーリィの正体をよく思わない者も多いでしょう」
「確かにそうですよね」
ユモトもこの1件については何かを考えなくてはいけないと思っていた所だ。
そして「そうだ」と言ってある提案をする。
「ヨーリィちゃんは記憶喪失になっているって事にしませんか?」
うーんとモモは手を組んで唸る。少し無理のある言い訳だと思ったが、それ以上の案は何も思い浮かばない。
「後は、ムツヤさんとヨーリィちゃんは髪の色が似ていますし、妹って事にするのはどうでしょう?」
「それもありだな」
その後も数回言葉を交わしたが、話し合いの結果、ユモトの提案通りヨーリィはムツヤの妹だが、記憶喪失だという設定で通す事にした。
それならば多少街で不自然な行いをしても強引に通すことができる…… と思う。
「かしこまりました。私はムツヤ様の記憶をなくした妹という事にするのですね」
「えぇ、よろしくおねがいします」
ムツヤがペコリと頭を下げるとヨーリィは癖なのか顔を近づけて言葉を出す。
「ご主人様、私に敬語は不要です」
「あー、それじゃえーっと…… ヨーリィそれでよろしく」
ムツヤが目線を外してしどろもどろに言うと、抑揚のない声で「かしこまりました」とヨーリィは言った。
「あのー、人前ではご主人様でなくて『お兄ちゃん』って呼んだほうが良いかもしれません」
「わかりました、ムツヤお兄ちゃんですね」
ユモトの提案に素直に従うヨーリィ、外の世界で呼ばれたい言葉の上位に入る『お兄ちゃん』を言われてムツヤはニヤケ顔になる。
「大部屋は空いてないねぇ、というよりお兄ちゃんその女の子はどうしたんだい?」
メガネを掛けた白髪の老婆、グネばあさんはまるで生きた人形の様なヨーリィを見て言った。
「えーっとですね…… 俺の妹なんでずが、記憶喪失になっていまして」
「それで記憶が戻るまで一緒にこの街に居ることにしているんだ」
「ヨーリィと言います」
メガネの位置を手で調整し、改めてグネばあさんはムツヤとヨーリィを交互に見て言う。
「お兄ちゃんねぇ、確かに髪の色は似ているけど顔は似ないもんだねぇ」
ケタケタとグネばあさんは笑い、そして部屋の鍵を2つ用意する。
「ベッドが2つの部屋と、1人用の部屋だよ。どう使うかはお兄ちゃんしだいだけど、面倒事はよしてくれよ?」
「なっ、だからそういう事は言わないでくれ!」
また部屋割りで悩むことになってしまった3人だが、常識的に考えれば女であるモモとヨーリィが2人用の部屋を使うべきなのだろう。
しかし、そこで少し問題が発生する。
「私はお兄ちゃんから魔力を頂かないといけません、なので同じ部屋に居た方が良いかと思われます」
「うむ…… 確かにそうだな」
兄妹で同じ部屋を使うというのは充分に自然だったが、モモは何かが起きてしまうのではないかと少しだけ心配した。
「モモさん、悪いんでずが疲れたので夜の飲み会まで寝ていても良いですか?」
ムツヤの提案は最もだった、迷い木の怪物と戦い、山道を抜けて、魔力をヨーリィに与えていたのだから無理もない。モモも若干の疲れを感じている。
「そうですね、わかりました」
ヨーリィの提案通りムツヤとヨーリィが同じ部屋に泊まり、モモは1人部屋を使うことになった。
それではまた夜にとムツヤとヨーリィは部屋の中に消える。
「うー、疲れたもおお!!」
ムツヤは革の防具を脱ぐとベッドにどかっと座った。
「ヨーリィも寝て休んだほうが良いべよ」
敬語を使わなくても良いと言われたムツヤは思い切り訛りが出ていた。そんなムツヤを立ったまま見つめるヨーリィ。
「お兄ちゃん、申し訳ないのですが魔力の補給をお願いできますか?」
「じゃあこっちに来で」
ムツヤはベッドの右隣をトントンと叩くとヨーリィはそこにちょこんと座った。そして2人は手を握り合う。
「ありがとうございます」
ヨーリィは手からじんわりとした温かい魔力が体にみなぎっていくのを感じていた。
ムツヤからの魔力を受け取ると頭の奥底に沈んでいる何かが戻ってくるような気がする。
「ちょっと横になってもいいがな」
ムツヤはベッドに腰掛けたまま上半身だけを倒して左腕を頭の上に投げ出した、完全に寝るための体制だ。
「お兄ちゃんは横になってお休みになられても大丈夫です、私も魔力を頂いたら休ませて頂くので」
ムツヤの手に柔らかなヨーリィの手の感触が伝わる。
少し体温が低いのか握った感じはひんやりと冷たかった。
マヨイギの魔力も優しさを感じたが、それとは別の何かをムツヤからは感じる。
「ヨーリィと私達の関係をどの様に皆に説明するか考えないといけません」
「さっき起きたことをそのまま話すのはダメなんですか?」
えぇ、と返事をしてモモは右手を頬に当てて悩ましげな顔をする。
「我々新米の冒険者がA級クラスの魔物と戦ったなんて言っても誰も信じないでしょう。それにヨーリィの正体をよく思わない者も多いでしょう」
「確かにそうですよね」
ユモトもこの1件については何かを考えなくてはいけないと思っていた所だ。
そして「そうだ」と言ってある提案をする。
「ヨーリィちゃんは記憶喪失になっているって事にしませんか?」
うーんとモモは手を組んで唸る。少し無理のある言い訳だと思ったが、それ以上の案は何も思い浮かばない。
「後は、ムツヤさんとヨーリィちゃんは髪の色が似ていますし、妹って事にするのはどうでしょう?」
「それもありだな」
その後も数回言葉を交わしたが、話し合いの結果、ユモトの提案通りヨーリィはムツヤの妹だが、記憶喪失だという設定で通す事にした。
それならば多少街で不自然な行いをしても強引に通すことができる…… と思う。
「かしこまりました。私はムツヤ様の記憶をなくした妹という事にするのですね」
「えぇ、よろしくおねがいします」
ムツヤがペコリと頭を下げるとヨーリィは癖なのか顔を近づけて言葉を出す。
「ご主人様、私に敬語は不要です」
「あー、それじゃえーっと…… ヨーリィそれでよろしく」
ムツヤが目線を外してしどろもどろに言うと、抑揚のない声で「かしこまりました」とヨーリィは言った。
「あのー、人前ではご主人様でなくて『お兄ちゃん』って呼んだほうが良いかもしれません」
「わかりました、ムツヤお兄ちゃんですね」
ユモトの提案に素直に従うヨーリィ、外の世界で呼ばれたい言葉の上位に入る『お兄ちゃん』を言われてムツヤはニヤケ顔になる。
「大部屋は空いてないねぇ、というよりお兄ちゃんその女の子はどうしたんだい?」
メガネを掛けた白髪の老婆、グネばあさんはまるで生きた人形の様なヨーリィを見て言った。
「えーっとですね…… 俺の妹なんでずが、記憶喪失になっていまして」
「それで記憶が戻るまで一緒にこの街に居ることにしているんだ」
「ヨーリィと言います」
メガネの位置を手で調整し、改めてグネばあさんはムツヤとヨーリィを交互に見て言う。
「お兄ちゃんねぇ、確かに髪の色は似ているけど顔は似ないもんだねぇ」
ケタケタとグネばあさんは笑い、そして部屋の鍵を2つ用意する。
「ベッドが2つの部屋と、1人用の部屋だよ。どう使うかはお兄ちゃんしだいだけど、面倒事はよしてくれよ?」
「なっ、だからそういう事は言わないでくれ!」
また部屋割りで悩むことになってしまった3人だが、常識的に考えれば女であるモモとヨーリィが2人用の部屋を使うべきなのだろう。
しかし、そこで少し問題が発生する。
「私はお兄ちゃんから魔力を頂かないといけません、なので同じ部屋に居た方が良いかと思われます」
「うむ…… 確かにそうだな」
兄妹で同じ部屋を使うというのは充分に自然だったが、モモは何かが起きてしまうのではないかと少しだけ心配した。
「モモさん、悪いんでずが疲れたので夜の飲み会まで寝ていても良いですか?」
ムツヤの提案は最もだった、迷い木の怪物と戦い、山道を抜けて、魔力をヨーリィに与えていたのだから無理もない。モモも若干の疲れを感じている。
「そうですね、わかりました」
ヨーリィの提案通りムツヤとヨーリィが同じ部屋に泊まり、モモは1人部屋を使うことになった。
それではまた夜にとムツヤとヨーリィは部屋の中に消える。
「うー、疲れたもおお!!」
ムツヤは革の防具を脱ぐとベッドにどかっと座った。
「ヨーリィも寝て休んだほうが良いべよ」
敬語を使わなくても良いと言われたムツヤは思い切り訛りが出ていた。そんなムツヤを立ったまま見つめるヨーリィ。
「お兄ちゃん、申し訳ないのですが魔力の補給をお願いできますか?」
「じゃあこっちに来で」
ムツヤはベッドの右隣をトントンと叩くとヨーリィはそこにちょこんと座った。そして2人は手を握り合う。
「ありがとうございます」
ヨーリィは手からじんわりとした温かい魔力が体にみなぎっていくのを感じていた。
ムツヤからの魔力を受け取ると頭の奥底に沈んでいる何かが戻ってくるような気がする。
「ちょっと横になってもいいがな」
ムツヤはベッドに腰掛けたまま上半身だけを倒して左腕を頭の上に投げ出した、完全に寝るための体制だ。
「お兄ちゃんは横になってお休みになられても大丈夫です、私も魔力を頂いたら休ませて頂くので」
ムツヤの手に柔らかなヨーリィの手の感触が伝わる。
少し体温が低いのか握った感じはひんやりと冷たかった。
マヨイギの魔力も優しさを感じたが、それとは別の何かをムツヤからは感じる。
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