343 / 574
災厄の壺
災厄の壺 9
しおりを挟む
ムツヤは屈んでウートゴの足元に蹴りを入れるが、それは飛び退いて躱されてしまう。
魔剣ムゲンジゴクに魔力を込めて炎の斬撃を飛ばす。
ウートゴはムツヤにも匹敵する速さでそれを避け、5体に分身した。
東洋の術で全てに実体があることは、アシノに教えてもらったので知っている。それぞれがムツヤを取り囲んで手裏剣を投げた。
ムツヤがダンっと足元を踏んで土壁を呼び出すと、ザクザクっと土壁に手裏剣が刺さる。
この中のどれか1つが本物の裏の道具のはずだと、ムツヤは近くの1枚を手に取ろうとした瞬間。
「無駄だ」
止まっていた手裏剣がグルグルと回り始めた、わずかだがムツヤは手のひらを切ってしまう。
手を握りしめて回復魔法を使ったので傷はすぐ塞がったが、外の世界に出て初めてまともな『攻撃』によってムツヤは傷を負った。
ウートゴはしばらくムツヤを眺めて、その後ケタケタと笑った。
「かすっただけで死ぬ毒を塗っておいたんだがな、なるほど、お前には効かないようだ」
ムツヤの体は裏の道具や裏の魔物による毒以外ほぼ効くことが無い。
「諦めて降参しろ!!!」
だが勝機はある。ウートゴはそう思った。この眼の前のガキは確かに強い、恐らくは自分よりもずっとだ。
しかし、殺すということを未だにためらっている。ならばそこを突けばいい。
3体の分身が背中の刀を抜いてムツヤに走り寄った。1体はそのまま真っ直ぐ来て袈裟斬りをする。
ムツヤはそれを剣で受け止めると、空いた左手でみぞおちを殴る。体に仕込んである鉄板にあたったのでそこまで手応えは無い。
まだ、残る2体が両側からやってくる。いったんムツヤは剣をしまって集中した。
両腕をそのまま斬りかかる分身へと横に伸ばす。すると、ムツヤの手から衝撃波が出て分身を吹き飛ばした。
遠くから手裏剣とクナイが飛んでくる。ムツヤは飛び退き、地面を転がり、逆立ちのようになり、片手だけの力で空へ跳んだ。
ウートゴはしめたと思い空中で身動きが取れないムツヤの軌道を読んで手裏剣を投げた。
しかし、それはムツヤの罠だった。月明かりに反射したそれを見てムツヤは空中に魔法の壁を作り、それを蹴る。
手裏剣はムツヤを追尾するが、ウートゴの元に飛びながら剣で弾き飛ばす。
ムツヤは片手に力を込めてウートゴを思い切り殴り飛ばそうとした。
「だからお前は甘いんだ」
殴り飛ばしたのは分身だった、それと同時にムツヤの後ろに本体が現れ、刀をムツヤの背中に突き刺した。
――
――――
――――――――
ムツヤと一緒に行動していたヨーリィは何をしていたのかと言うと、キエーウのメンバーに囲まれていた。
ナイフと木の杭を構えて応戦の意思を示す。ヨーリィだけでない、他の仲間たちも同じ状況だ。
アシノ達は皆行動を共にしていたが、主戦力であるはずのヨーリィとはぐれて厳しい状況である。
「こんな奴ら、私の精霊で倒してあげるわ」
ルーが精霊を召喚してキエーウのメンバーに牽制をする。
モモは剣と盾を構えて、ユモトも杖を強く握りしめた。
アシノは馬車の上に乗ってビンのフタをそこら中に飛ばす。
「かかれー!!!」
その声と同時にキエーウ側が攻め込んでくる。ルーの精霊は強く、何人かは既に動けないように痛めつけていた。
弓兵がアシノを狙い始め、馬車から飛び降りた。
その瞬間、膝に矢を受けてしまい、アシノはゴロンと地面に寝転んでしまう。
魔剣ムゲンジゴクに魔力を込めて炎の斬撃を飛ばす。
ウートゴはムツヤにも匹敵する速さでそれを避け、5体に分身した。
東洋の術で全てに実体があることは、アシノに教えてもらったので知っている。それぞれがムツヤを取り囲んで手裏剣を投げた。
ムツヤがダンっと足元を踏んで土壁を呼び出すと、ザクザクっと土壁に手裏剣が刺さる。
この中のどれか1つが本物の裏の道具のはずだと、ムツヤは近くの1枚を手に取ろうとした瞬間。
「無駄だ」
止まっていた手裏剣がグルグルと回り始めた、わずかだがムツヤは手のひらを切ってしまう。
手を握りしめて回復魔法を使ったので傷はすぐ塞がったが、外の世界に出て初めてまともな『攻撃』によってムツヤは傷を負った。
ウートゴはしばらくムツヤを眺めて、その後ケタケタと笑った。
「かすっただけで死ぬ毒を塗っておいたんだがな、なるほど、お前には効かないようだ」
ムツヤの体は裏の道具や裏の魔物による毒以外ほぼ効くことが無い。
「諦めて降参しろ!!!」
だが勝機はある。ウートゴはそう思った。この眼の前のガキは確かに強い、恐らくは自分よりもずっとだ。
しかし、殺すということを未だにためらっている。ならばそこを突けばいい。
3体の分身が背中の刀を抜いてムツヤに走り寄った。1体はそのまま真っ直ぐ来て袈裟斬りをする。
ムツヤはそれを剣で受け止めると、空いた左手でみぞおちを殴る。体に仕込んである鉄板にあたったのでそこまで手応えは無い。
まだ、残る2体が両側からやってくる。いったんムツヤは剣をしまって集中した。
両腕をそのまま斬りかかる分身へと横に伸ばす。すると、ムツヤの手から衝撃波が出て分身を吹き飛ばした。
遠くから手裏剣とクナイが飛んでくる。ムツヤは飛び退き、地面を転がり、逆立ちのようになり、片手だけの力で空へ跳んだ。
ウートゴはしめたと思い空中で身動きが取れないムツヤの軌道を読んで手裏剣を投げた。
しかし、それはムツヤの罠だった。月明かりに反射したそれを見てムツヤは空中に魔法の壁を作り、それを蹴る。
手裏剣はムツヤを追尾するが、ウートゴの元に飛びながら剣で弾き飛ばす。
ムツヤは片手に力を込めてウートゴを思い切り殴り飛ばそうとした。
「だからお前は甘いんだ」
殴り飛ばしたのは分身だった、それと同時にムツヤの後ろに本体が現れ、刀をムツヤの背中に突き刺した。
――
――――
――――――――
ムツヤと一緒に行動していたヨーリィは何をしていたのかと言うと、キエーウのメンバーに囲まれていた。
ナイフと木の杭を構えて応戦の意思を示す。ヨーリィだけでない、他の仲間たちも同じ状況だ。
アシノ達は皆行動を共にしていたが、主戦力であるはずのヨーリィとはぐれて厳しい状況である。
「こんな奴ら、私の精霊で倒してあげるわ」
ルーが精霊を召喚してキエーウのメンバーに牽制をする。
モモは剣と盾を構えて、ユモトも杖を強く握りしめた。
アシノは馬車の上に乗ってビンのフタをそこら中に飛ばす。
「かかれー!!!」
その声と同時にキエーウ側が攻め込んでくる。ルーの精霊は強く、何人かは既に動けないように痛めつけていた。
弓兵がアシノを狙い始め、馬車から飛び降りた。
その瞬間、膝に矢を受けてしまい、アシノはゴロンと地面に寝転んでしまう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる