裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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災厄の壺

災厄の壺 8

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「降参しろ!!」

 少年は足と手といった動くための骨が折れていたが、まだ息はある。

 土くれの化け物の中でまだ生きていた。

「こんな戦いの中で降参だなんて随分悠長じゃないか」

「お前は負けだ、降参しろ!!!」

「しないよ」

「どうしてだ!!」

 ムツヤと少年の押し問答が始まる。

「ムツヤ、君はキエーウのメンバーを殺したことがあるね?」

「っ!! それは……」

 大爆発でキエーウのメンバーを殺めてしまった事をムツヤは思い出した。

「僕はね、僕の考えを間違っていると思わない。変える気も無い。だったら亜人の敵になる僕を君は殺さなきゃならないんだ」

 ムツヤは言葉に詰まってしまい、なんて言い返せば良いのかわからない。

 何か良くない予感がして土くれの化け物に食われたままの少年から距離を取る。

 その口からは毒が漏れ出ていた。

 魔法を解くと化け物はただの土に変わり、ボロボロと崩れ落ちた。その中から出てきた少年は既に。

 死んでいた。毒を吸って自害していたのだ。

「何が……」

 ムツヤはダンっと地面を踏んで言う。

「何が人をここまでそうさせるんだ!!!」

「答えてやろう、憎しみだよ」

 声のする方に目をやるとキエーウの幹部であり、ムツヤの裏の道具を盗んだ犯人であるウートゴが居た。

 ムツヤはウートゴを睨めつける。まるで彼がこの世のすべての悪を背負い込んでいるような気がした。

「俺達はみんな亜人に憎しみを持っている。俺も亜人に親しい者を殺されている」

「だからって…… だからって亜人の人達全員が悪いわけじゃないだろう!!!」

 ウートゴが懐に手をやり、ムツヤは剣を抜く。

 しかし、ウートゴが取り出したのは武器ではなく、タバコだった。

 人差し指から火を出してふぅーっと一服やる。

「復讐なんてのは、ほとんどが生き残ったものの自己満足だ」

 そのままタバコを吸いながら言う。

「憎しみのため、仇を討つため、怨みを晴らすため、まぁ、おおかたそんな所だ」

「でも、災厄の壺を使って亜人の人達を殺すなんて間違っている!!」

「間違ってなんか無いさ、いや、間違いようが無いんだ。正解が無いからな」

 ムツヤは剣を抜いて構えた。やれやれとウートゴも裏の道具の巨大手裏剣を取り出す。

「お前は亜人を守りたい、裏の道具を取り返したい、その気持だけで戦っているのか?」

「そうだ!!」

「そうかな? 戦いの理由ってのは徐々にブレていくもんだ」

 ウートゴはムツヤに向かって手裏剣を投げた。剣で軽々と弾くとそれは持ち主の手に戻っていく。

「最初は確かにそうだったかもしれない。でも、時間とともにお前も生まれたはずだ」

 今度は手裏剣片手にムツヤの元へ走り始める。

「キエーウという組織や、俺に対する憎しみがな!!!」

 剣と手裏剣がぶつかり合い、キイイインといった金属音が辺りに響き渡った。
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