裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

文字の大きさ
387 / 574
チェイサー

チェイサー 6

しおりを挟む
「私達も負けてらんないわよー」

 ルーは精霊を大量に召喚して1個小隊を作る。その中にモモも紛れて魔物たちの背後を突いた。

 鋭い刃で次々と魔物を切り裂くモモ。精霊は腕を振り回して魔物をなぎ倒していく。

「氷よ降り注げ!!」

 ユモトは広い範囲に太い氷柱を飛ばして敵の数を削っていった。

 ヨーリィは散らばる敵を各個撃破し、確実に敵の数を減らす。

「流石はアシノ先輩の仲間。やりますね、私達も頑張りましょう!!」

 そうサツキは口に出したが、心の底では別のことを思っていた。

 勇者パーティにしては弱くないかと。

 確か、キエーウはアシノ先輩が殆ど1人で壊滅させたと聞いている。

 あの仲間達はサポート役だった。

 だが、それにしても、もう少し強くて良いのではないかと。

 召喚術師のルーさんと黒髪の少女は確かに強い。しかし、オークの少女と魔法使いの少女は良くて中級の冒険者程度の実力だ。

 そんな事を考えながら戦っていたが、街の外の魔物の群れはほぼ倒し終えた。後は空飛ぶコウモリの化け物だけだ。

「ムツヤ!! そっちの状況はどうだ!?」

「はい、外の魔物は皆さんが倒したみたいです。そしてこのコウモリも大体倒し終えまじだ!!」

「そうか、後は私が片付ける。今の内に引け!!」

「はい!!」

 アシノに言われ外壁に飛び乗ると、ムツヤはそのまま音もなく走り去る。

 城門から離れて戦うサツキ達はそれに気付くことが出来ず、青い鎧の冒険者を取り逃すことになった。

 サツキ達とルー達は街へと戻る。

「おつかれ、私もコウモリを倒し終えた所だ」

「流石はアシノ先輩!!」

 どさくさに紛れてサツキはまたアシノに抱きつこうとするが、軽く避けられる。

「青い鎧の冒険者はどうした?」

 アシノはしらばっくれて自分からその話題に触れた。するとサツキは浮かない顔をする。

「青い鎧の冒険者は見失いました」

「あの人、すっごく速かったですよぉー」

「そうか……」

 残念そうにアシノは振る舞う。

 街の中では戦いが終わった事を知らされた住民たちが勇者と兵士を歓声で出迎える。

「アシノ様、流石のご活躍でしたそうで」

 声がして振り返る。すると、そこには近衛兵長のカミトが居た。

「カミト殿、王の護衛はよろしいのですか?」

「他の者達に任せております。私は攻撃の通じぬ魔物への対抗策を調べておりました」

 能力のことを聞かれるのだろうなとアシノは覚悟をした。

「戦いの後お疲れの所申し訳ありませんが、あの魔物達について、また青い鎧の冒険者についてお話をお伺いしたいのですが」

「えぇ、わかりました」



 勇者アシノパーティと、勇者サツキパーティはまたも会議室へと通された。いつの間にかちゃっかり戻っていたムツヤも一緒だ。

「まずは改めて魔物から王都をお守り下さったことに感謝を申し上げます」

 カミトが深々と礼をするとアシノは小さく頷いた。

「それで、まずはあの攻撃の通じない魔物についてお伺いしたいのですが」

「はい、あの魔物は私の攻撃、または青い鎧の冒険者の攻撃しか通用しない様子でした」

 それを聞いてうーむとトマツリは唸る。

「そこが疑問なのです。何故アシノ様と例の冒険者の攻撃だけが通用するのかが」

「私の能力は『試練の塔』で授かったものです。もしかしたらあの冒険者も……」

 なるほど、とカミトは納得した。

「それならばあの者の強さにも納得がいきます」

「それでしたら、私も試練の塔へ挑みます!!」

 サツキは身を乗り出して言う。

「今、勇者様達に王都を空けて欲しくは無いのですが…… 対抗する手段がそれしか無いと言うのであれば仕方がありません」

「街には私が残りましょう。サツキには私の仲間達を案内役として付けます」

 アシノは思った。これで策は成ったと。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...