裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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水面下

水面下 7

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「アシノ様、ようこそお越し下さいました。そして、突然申し訳ありません」

 この街のギルドマスターが言う。

「いえ、何かご要件があるのでしょうか?」

 アシノが返すと、ギルドマスターは少し言いにくそうに話す。

「レイード地方に魔人が現れました名をナツヤと言います。国からの命令で、アシノ様には魔人ナツヤの討伐をお願いしたいのですが」

 アシノは初めて聞いたとばかりに、目を丸くする。

「魔人ですか……。分かりました。レイード地方へと向かいます」

 その後、数回会話をはさみ、正式にアシノが魔人ナツヤを討伐することになった。

 出発してから、すっかり夜になり、ムツヤ達は野営の準備を始める。

 街道無を視してレイーど地方へと向かっている為、宿は無かった。

 定期連絡の時間だ。アシノは他の勇者に連絡を入れる。

「アシノせんぱーい!!」

 手を振るサツキを無視してアシノは話し始めた。

「私は正式に魔人討伐の依頼を受けました。イタヤさんはどうですか?」

「あぁ、俺もだ。足並みを合わせますか?」

 イタヤの言葉にアシノは答える。

「えぇ、その方が良いでしょう。あとどのぐらいでレイード地方に着きますか?」

「頑張れば4日って所かな」

「分かりました。私達の方が先に着きそうなので、周辺の街で情報を集めます」

「よろしくお願いします。アシノさん」

 そんな会話をしていると、トチノハが話し始めた。

「私達も陰ながら加勢させて頂きますよ」

「分かりました。よろしくお願いします」


 アシノ達がナツヤを倒すために、馬車でレイード地方へ向かい始めた頃。その敵達は最初に襲った貴族の城へと向かって行った。

 襲われた痕跡や、黎明の呼び手の情報を集めるために数十人軍隊が居たが。

「進めー!!!」

 デュラハンや魔物達の行軍により、簡単に壊滅してしまった。

 静まり返った城内へ入ると、フユミトは城門を確認する。

「うん、城門は大丈夫みたいだ。他の防壁もそんなに傷が付いていない。籠城にはもってこいだね」

 その報告を聞いてナツヤは頷く。

「よし、勇者が何だ!! 全部迎え撃ってやる!!」

 仲間達は歓声を上げていた。ナツヤは手始めに城の周りに魔物達を配置する。

 夜になり、ナツヤとフユミトは同じ部屋で過ごしていた。ナツヤはここ数日で初めて知ったビールを飲んで機嫌が良い。

「酒ってやつは良いな。フユミトも飲んだらどうだ?」

「いいや、僕は大丈夫だよ。お酒弱いんだ」

 そうなのかと、つまみのサラミを食べて一気にビールで流し込んだ。

「勇者を倒したら、俺はどうすれば良いと思う?」

「うーん、そうだね」

 フユミトは少し間を置いて話し始める。

「やっぱり王都を襲って、ナツヤのやりたいようにすれば良いと思うよ」

「そっか」

 やりたい事は決まっている。二度と自分のような人間が生まれないために、平等な国を作ることだ。

「まずはこの国を変えて、いずれ世界も変えたい。弱者なんて居ない、平等で、みんなが幸せに暮らせる世界が」

「ナツヤならきっと出来るよ」
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