裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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覚醒する少女

覚醒する少女 6

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 いつの間にかモモとユモトは眠ってしまった。ルーも大の字になって爆睡している。

 ムツヤはヨーリィの手を握り、魔力を送っていた。アシノは毛布をまとい物思いにふけっている。

 そろそろ夜明けが近い、動きがないかと思った時だ。

「こちらギルス!! 裏の道具が物凄い速さでそちらに向かっている!!」

「来たか」

 アシノはワインボトルを手に持って立ち上がった。



「お前ら起きろ」

 アシノは皆を起こして回る。ルーでさえも一気に眠気が吹き飛び、立ち上がった。

「来たのかしら?」

「あぁ、私達は外に出るぞ。ムツヤ、鎧に着替えて準備だ」

「わがりまじだ!!」

 テントの外へ出ると、思わず寒さで身が震える。

「うー……。真っ暗だし寒い」

 ルーはそんな事を言っていた。モモやユモトも同じ気持ちだ。ムツヤは着替えを終えるとテントから出てくる。

「それじゃ、杖とカバンを」

 カバンをヨーリィに、四方を囲むと人間を眠らせる杖をその他の皆に渡すと、ムツヤは空を見上げた。

「気配を感じるか?」

「そうでずね」

 アシノは無言で頷いて言葉を出す。

「それじゃお前達、やるぞ!!」 

 それぞれ返事をして配置場所へ向かう。ムツヤはミシロの気配を感じた方角へ走った。





 ふわりふわりと雪が舞う中で、ムツヤは暗闇に一人立っている。

「ふーん、ちゃんと来たんだ」

 空から声が聞こえた。見間違えようもない、魔人と化した少女ミシロだ。

「カバン持ってたら先に街の人全部殺すから」

 ミシロはそう言ってムツヤを観察する。どうやらカバンを持っていない様だ。

「ふふっ、持ってないみたいだね。それじゃ正々堂々……」

 剣を抜きながら急降下。

「殺し合おうか!!!」

 ガキイィンと魔剣同士がぶつかり合う。そのまま弾かれてムツヤとミシロは距離を取った。

「ははは!!」

 高く笑いながらミシロは地面に剣を突き刺す。水の柱が刃となってムツヤへと襲いかかった。

 ムツヤは軽やかなステップでそれらを避けると、ミシロに向かって雷の矢を放つ。

「無駄だよ!!」

 防御壁を展開して弾き、宙を飛びながらムツヤ目掛けて一直線に迫る。

 一般人であれば、目で追うことも出来ないスピードで剣がぶつかり合う。

 ミシロは力を溜め、ムツヤ目掛けて上から重い一撃を振り下ろした。

 魔剣を斜めに構えて受け止めるムツヤ。剣は受け止められたが、そこから水が吹き出してすり抜けるように攻撃を浴びせた。

 間一髪の所で身をよじって躱し、逆に反撃の一打を繰り出す。

 ムツヤもミシロも実力者だが、我流で戦うため型はない。まるで獣の殴り合いのようだった。

 斬り合いが終わると、ミシロは宙に浮かんで剣を天高く掲げる。

「これならどう?」

 水を空に向かって打ち出し、それが高く放物線を描いてムツヤに降り注ぐ。

 落下する頃には矢のような速度になり、地面をえぐる。躱しきれないと思ったムツヤはドーム状の防御壁を展開した。

「スキあり」

 ムツヤの足元から水の刃が吹き出る。右足を貫通させることを許してしまった。

 激痛が走る中、回復薬を飲んで傷を治す。それを見たミシロが激怒した。

「ずるいよ!! それ!!」

 更に激しく水の矢を降らすミシロ、ムツヤと言えど防御壁が保たないレベルだ。
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