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第一部 出会い編
第10話 騎士様とのデートは甘い
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珍しくニコラの仕事が休みなこともあり、二人は歩いて森へと向かっていた。
ここらの森はリーズが捨てられた森とは違い、リスやうさぎなどの比較的小動物しかいない危険が少ない森で、村の皆もよく散歩している。
そんな村の庭のような場所に、一件の小さなカフェがある。
「こんなカフェが……」
「ああ、村のみんなの憩いの場所の一つだよ」
そう言いながらニコラはカフェのドアを開けて中へと案内する。
木の香りが漂う店内に、紅茶の香りがふわっとリーズの鼻をくすぐった。
木の板で作られた椅子に毛糸で作られたお手製の座布団が敷かれており、二人はそこに腰かける。
「マスター、ベリーティーは今日ある?」
「ああ、あるよ。ちょうど採れたてさ」
「じゃあ、それ二つ! あと、おすすめのケーキも二つお願いできるかな?」
「ああ、了解。ちょっと待ってな」
慣れた様子でマスターに注文をするニコラをじーっと見つめるリーズ。
ぽやりとした様子でニコラを見つめるものだから、さすがの彼も少し照れて顔を逸らす。
「その顔は反則……」
「……?」
甘い雰囲気を悟ったのか、マスターは何も言わずに黙々と紅茶とケーキの用意をする。
マスターはここのカフェ経営をして17年目になるベテランで、カフェ経営の他にも村の建設業を手伝っている。
村の自治に関わっている二コラとは顔見知りであり、仲も良かった。
身体はごついが繊細な作業が得意であるため、カフェの経営もなんなくこなす。
彼が留守の時は、彼の妻がキッチンに立ってマスター代理として働いている。
「はい、ベリーティーとシフォンケーキ」
「わあ!」
「おお、いい焼き色!!」
ベリーティーはかなり深い色合いをしており、一見するとコーヒーのようにも見えるが、なんとも甘酸っぱい味と香りを漂わせる。
そしてシフォンケーキはこのカフェの名物であり、村の皆がこぞって注文する一品。
焼き加減もさることながら、そのふわふわ具合は自宅のオーブンでは再現できないと評判だった。
「いただきます。──っ!!!」
「おいしいでしょ?」
「(ふんふん!!)」
リーズはあまりの美味しさに驚き、目を丸くする。
そしてすぐさま二口目をほおばると、顔をくしゃくしゃにしながら幸せを表現した。
そんな彼女の幸せそうな表情を見て、ああ、連れてきてよかったなとニコラは思う。
「よかった、少しずつ村に慣れてきてたとはいえ、疲れもたまってるだろうし、美味しいものでも食べてほしかったんだ」
「もう、すごく美味しいです!!」
「んぐっ!」
ニコラはリーズの破壊力抜群のきらきらの笑顔をまともに食らって、ケーキをのどに詰まらせる。
紅茶を一気に飲み干すと、目をぱちぱちとさせながら言う。
「死ぬかと思った(いろんな意味で)」
「よかったです、マスター紅茶のおかわりありますか?」
「ああ、今持っていくよ」
そんなことすら楽しくて甘くて、そしてリーズには新鮮で嬉しい日に感じられた。
二コラが自分を見てくれている、それだけで嬉しくて、こうして二人でなんでもない日常を過ごせることが幸せだった。
「ニコラ」
「ん?」
「また来ましょうね!」
「ああ、いつでもリーズとなら来たいよ」
ああ、若いな。
なんてマスターは心の中で思いながら二人のことを見守っていた──
ここらの森はリーズが捨てられた森とは違い、リスやうさぎなどの比較的小動物しかいない危険が少ない森で、村の皆もよく散歩している。
そんな村の庭のような場所に、一件の小さなカフェがある。
「こんなカフェが……」
「ああ、村のみんなの憩いの場所の一つだよ」
そう言いながらニコラはカフェのドアを開けて中へと案内する。
木の香りが漂う店内に、紅茶の香りがふわっとリーズの鼻をくすぐった。
木の板で作られた椅子に毛糸で作られたお手製の座布団が敷かれており、二人はそこに腰かける。
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「ああ、あるよ。ちょうど採れたてさ」
「じゃあ、それ二つ! あと、おすすめのケーキも二つお願いできるかな?」
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ぽやりとした様子でニコラを見つめるものだから、さすがの彼も少し照れて顔を逸らす。
「その顔は反則……」
「……?」
甘い雰囲気を悟ったのか、マスターは何も言わずに黙々と紅茶とケーキの用意をする。
マスターはここのカフェ経営をして17年目になるベテランで、カフェ経営の他にも村の建設業を手伝っている。
村の自治に関わっている二コラとは顔見知りであり、仲も良かった。
身体はごついが繊細な作業が得意であるため、カフェの経営もなんなくこなす。
彼が留守の時は、彼の妻がキッチンに立ってマスター代理として働いている。
「はい、ベリーティーとシフォンケーキ」
「わあ!」
「おお、いい焼き色!!」
ベリーティーはかなり深い色合いをしており、一見するとコーヒーのようにも見えるが、なんとも甘酸っぱい味と香りを漂わせる。
そしてシフォンケーキはこのカフェの名物であり、村の皆がこぞって注文する一品。
焼き加減もさることながら、そのふわふわ具合は自宅のオーブンでは再現できないと評判だった。
「いただきます。──っ!!!」
「おいしいでしょ?」
「(ふんふん!!)」
リーズはあまりの美味しさに驚き、目を丸くする。
そしてすぐさま二口目をほおばると、顔をくしゃくしゃにしながら幸せを表現した。
そんな彼女の幸せそうな表情を見て、ああ、連れてきてよかったなとニコラは思う。
「よかった、少しずつ村に慣れてきてたとはいえ、疲れもたまってるだろうし、美味しいものでも食べてほしかったんだ」
「もう、すごく美味しいです!!」
「んぐっ!」
ニコラはリーズの破壊力抜群のきらきらの笑顔をまともに食らって、ケーキをのどに詰まらせる。
紅茶を一気に飲み干すと、目をぱちぱちとさせながら言う。
「死ぬかと思った(いろんな意味で)」
「よかったです、マスター紅茶のおかわりありますか?」
「ああ、今持っていくよ」
そんなことすら楽しくて甘くて、そしてリーズには新鮮で嬉しい日に感じられた。
二コラが自分を見てくれている、それだけで嬉しくて、こうして二人でなんでもない日常を過ごせることが幸せだった。
「ニコラ」
「ん?」
「また来ましょうね!」
「ああ、いつでもリーズとなら来たいよ」
ああ、若いな。
なんてマスターは心の中で思いながら二人のことを見守っていた──
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