3 / 18
第3話 王の婚約者
しおりを挟む
「僕の婚約者になってほしい」
頬をなでられプロポーズされたエリーゼは、脳内で処理しきれずに支離滅裂な反応をする。
「えっ! あ、えっ……私が結婚で……えっと目の前にはグラーツ公爵が……え……?」
そのあまりにしどろもどろな様子にラインハルトはくすっと笑いながら、エリーゼに告げる。
「そんなに焦らなくていい……落ち着いて」
「で、でも、あの……グラーツ公爵は数多の女性から求婚があったけど、ずっと断り続けているって……」
「確かに女性からはよくアピールはされるけど、でもそれは僕自身じゃない『ヴァンパイアの王』という肩書きしか見ていない」
ラインハルトは少し目を伏せて、哀愁漂う顔をエリーゼに見せる。
そして、ゆっくりとガーネット色の深い瞳でエリーゼを見つめると、そっと告げる。
「君のことが昔から好きだった、といったら信じるかい?」
「え……?」
「君は幼い頃にヴァンパイアに変異して以降も権力争いに交わろうとはしなかった。なぜだい?」
エリーゼは虚を突かれたように言葉に詰まるが、落ち着いてラインハルトに返答した。
「……私は爵位や権力なんてものはいまいちわかりません。欲しいとも思いません……それで答えになっているでしょうか?」
「ああ、十分だよ。僕も君と同じだよ、権力争いに嫌気がさした」
(ああ……この人も同じなのね……)
エリーゼは自分と同じ思いのラインハルトに寄り添うように、優しい目で見つめる。
「少しずつでいい、僕を婚約者として見てくれるようになるまで待つよ」
ラインハルトは静かで囁くように言葉を紡ぐ。
その声色や雰囲気、話すペースがエリーゼは心地よく、そしてなんだか懐かしさを覚えた。
「僕はずっと君を見ていた……僕は君を愛してる……それは忘れないで」
儚げな表情を浮かべるラインハルトは、エリーゼの頬をもう一度なでる。
(なんでこんなに真っすぐにこの方は愛を伝えてくるの……? でも悲しそうなのはどうして……?)
ラインハルトの愛情に少しでも応えようと、彼が頬を撫でる手をエリーゼの手が包み込む。
「私もあなたを愛する努力をします。あなたを知っていきたいので、またあなたのことを教えていただけますか?」
「……ああ、なんでも教えてあげるよ」
そう言って優しく微笑むラインハルトは頬をなでる指でエリーゼの唇をなぞる。
「今日はもうゆっくりお休み」
「ええ……」
ベッドで寝た様子を見届けると、ラインハルトは明かりを消してそっと部屋を後にした──
頬をなでられプロポーズされたエリーゼは、脳内で処理しきれずに支離滅裂な反応をする。
「えっ! あ、えっ……私が結婚で……えっと目の前にはグラーツ公爵が……え……?」
そのあまりにしどろもどろな様子にラインハルトはくすっと笑いながら、エリーゼに告げる。
「そんなに焦らなくていい……落ち着いて」
「で、でも、あの……グラーツ公爵は数多の女性から求婚があったけど、ずっと断り続けているって……」
「確かに女性からはよくアピールはされるけど、でもそれは僕自身じゃない『ヴァンパイアの王』という肩書きしか見ていない」
ラインハルトは少し目を伏せて、哀愁漂う顔をエリーゼに見せる。
そして、ゆっくりとガーネット色の深い瞳でエリーゼを見つめると、そっと告げる。
「君のことが昔から好きだった、といったら信じるかい?」
「え……?」
「君は幼い頃にヴァンパイアに変異して以降も権力争いに交わろうとはしなかった。なぜだい?」
エリーゼは虚を突かれたように言葉に詰まるが、落ち着いてラインハルトに返答した。
「……私は爵位や権力なんてものはいまいちわかりません。欲しいとも思いません……それで答えになっているでしょうか?」
「ああ、十分だよ。僕も君と同じだよ、権力争いに嫌気がさした」
(ああ……この人も同じなのね……)
エリーゼは自分と同じ思いのラインハルトに寄り添うように、優しい目で見つめる。
「少しずつでいい、僕を婚約者として見てくれるようになるまで待つよ」
ラインハルトは静かで囁くように言葉を紡ぐ。
その声色や雰囲気、話すペースがエリーゼは心地よく、そしてなんだか懐かしさを覚えた。
「僕はずっと君を見ていた……僕は君を愛してる……それは忘れないで」
儚げな表情を浮かべるラインハルトは、エリーゼの頬をもう一度なでる。
(なんでこんなに真っすぐにこの方は愛を伝えてくるの……? でも悲しそうなのはどうして……?)
ラインハルトの愛情に少しでも応えようと、彼が頬を撫でる手をエリーゼの手が包み込む。
「私もあなたを愛する努力をします。あなたを知っていきたいので、またあなたのことを教えていただけますか?」
「……ああ、なんでも教えてあげるよ」
そう言って優しく微笑むラインハルトは頬をなでる指でエリーゼの唇をなぞる。
「今日はもうゆっくりお休み」
「ええ……」
ベッドで寝た様子を見届けると、ラインハルトは明かりを消してそっと部屋を後にした──
28
あなたにおすすめの小説
地味令嬢の私が婚約破棄された結果、なぜか最強王子に溺愛されてます
白米
恋愛
侯爵家の三女・ミレイアは、控えめで目立たない“地味令嬢”。
特に取り柄もなく、華やかな社交界ではいつも壁の花。だが幼いころに交わされた約束で、彼女は王弟・レオンハルト殿下との婚約者となっていた。
だがある日、突然の婚約破棄通告――。
「やはり君とは釣り合わない」
そう言い放ったのは、表向きには完璧な王弟殿下。そしてその横には、社交界の華と呼ばれる公爵令嬢の姿が。
悲しみも怒りも感じる間もなく、あっさりと手放されたミレイア。
しかしその瞬間を見ていたのが、王家随一の武闘派にして“最強”と噂される第一王子・ユリウスだった。
「……くだらん。お前を手放すなんて、あいつは見る目がないな」
「よければ、俺が貰ってやろうか?」
冗談かと思いきや、なぜか本気のご様子!?
次の日には「俺の婚約者として紹介する」と言われ、さらには
「笑った顔が見たい」「他の男の前で泣くな」
――溺愛モードが止まらない!
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@アンジェリカ書籍化決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる