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第7話 オレア祭(2)
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私が出演するショーは日の落ちた夜に開催されるのが通例となっており、ステージは炎の柱が燃え上がって私を照らし出している。
その自然の光も相まって幻想的で美しい舞を皆に披露することができる。
大きな声が飛び交って応援するようなそんな雰囲気ではなく、どちらかといえば神聖で厳かな雰囲気が漂うショーになっていた。
私は大きく腕を伸ばしてそしてくるりと身を翻して回る。
飛び跳ねた足はピンと伸びており、着地した時には一切の音が出ない。
そんな私の舞は『オレアの妖精の舞』と言われており、人々から愛されていると聞いている。
実際に舞を舞いながら見える皆の顔は、ぼうっと恍惚な表情を浮かべている顔、祈るように見ている顔、そして憧れの気持ちを持ったような子供の顔。
たくさんの顔があって、私は皆に今年も幸せが訪れますようにという気持ちで舞を舞う。
少し離れたところの木の下でリオネル様は私を見ていた。
あ、目があった──
優しい微笑みをした後でゆっくりと頷く彼の姿を見て、彼に見守られている、そんな安心感を覚えた。
舞が無事に終わるが、皆はじっとこちらを見たまま何も動かず、そして何も発しない。
あれ、私何か舞を間違えただろうか。
そんな風に思った直後、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が沸いた。
「オレアの妖精姫~!!」
「やはりすごいですわ!!」
「今年もすごかったです!」
歓声が大きく広がる中、感動してくれているのか涙を流している人もいる。
去年も感動してくれた人が多かったけど、今年は段違いでそれがすごい。
自分自身の中でやはり、国のためにこれから尽くしたいと思う気持ちが強くなったからかもしれない。
そう私は思ってステージを降りた──
オレア祭の目玉はショーの外にもあって、最後に用意されている行事が花火だ。
ここ数年の催し物で、花火自体は異国から持ち込まれたもので最初は爆発するから危ないものとして扱われた。
個人輸入をして売ったりすることは今も禁止されており、異国で技術を学んだ国家技術師のみが使用することができる。
そんな危険な花火だけど、打ちあがったときの綺麗さは抜群!
最初にオレア祭で花火の打ち上げがされたときはみんなびっくりして腰を抜かした人もかなりいたみたい。
そりゃそうよね、大きな音に火花だもん……
でも私はこの花火がすごく好きなの。
あ、ほら、もう打ち上がり始めた!
街中に広がる大きな音と、その音の少し後に空に咲く大輪の花。
何色もあって形もいろいろあって、毎年技術師のみなさんが趣向を凝らして打ち上げてくれる。
今はもうみんな大好きな催し物の一つとなっていて、祭の最後を飾る大切な存在。
そんな花火を空を見上げてみていると、そっとリオネル様がやって来た。
「クラリス様は花火がお好きなんですか?」
「ええ、だって綺麗じゃないかしら? こんな大きな光の花が空に咲くなんて、まるで夢みたい」
「昔から変わりませんね」
「あら、夢見がちって言いたいのかしら?」
「そうではありません、俺は素敵だと思いますよ」
「──っ!!」
どうしてかしら、リオネル様の言葉にドキリとはねる心臓。
いつも彼は真っすぐで、直球で、だからこそ心に刺さる。
素敵、なんて言葉、まるで私の全てを肯定されたような気がして、嬉しかった。
彼はそんな風に女性を口説くのだろうか、なんて不躾なことを思ってしまった──
その自然の光も相まって幻想的で美しい舞を皆に披露することができる。
大きな声が飛び交って応援するようなそんな雰囲気ではなく、どちらかといえば神聖で厳かな雰囲気が漂うショーになっていた。
私は大きく腕を伸ばしてそしてくるりと身を翻して回る。
飛び跳ねた足はピンと伸びており、着地した時には一切の音が出ない。
そんな私の舞は『オレアの妖精の舞』と言われており、人々から愛されていると聞いている。
実際に舞を舞いながら見える皆の顔は、ぼうっと恍惚な表情を浮かべている顔、祈るように見ている顔、そして憧れの気持ちを持ったような子供の顔。
たくさんの顔があって、私は皆に今年も幸せが訪れますようにという気持ちで舞を舞う。
少し離れたところの木の下でリオネル様は私を見ていた。
あ、目があった──
優しい微笑みをした後でゆっくりと頷く彼の姿を見て、彼に見守られている、そんな安心感を覚えた。
舞が無事に終わるが、皆はじっとこちらを見たまま何も動かず、そして何も発しない。
あれ、私何か舞を間違えただろうか。
そんな風に思った直後、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が沸いた。
「オレアの妖精姫~!!」
「やはりすごいですわ!!」
「今年もすごかったです!」
歓声が大きく広がる中、感動してくれているのか涙を流している人もいる。
去年も感動してくれた人が多かったけど、今年は段違いでそれがすごい。
自分自身の中でやはり、国のためにこれから尽くしたいと思う気持ちが強くなったからかもしれない。
そう私は思ってステージを降りた──
オレア祭の目玉はショーの外にもあって、最後に用意されている行事が花火だ。
ここ数年の催し物で、花火自体は異国から持ち込まれたもので最初は爆発するから危ないものとして扱われた。
個人輸入をして売ったりすることは今も禁止されており、異国で技術を学んだ国家技術師のみが使用することができる。
そんな危険な花火だけど、打ちあがったときの綺麗さは抜群!
最初にオレア祭で花火の打ち上げがされたときはみんなびっくりして腰を抜かした人もかなりいたみたい。
そりゃそうよね、大きな音に火花だもん……
でも私はこの花火がすごく好きなの。
あ、ほら、もう打ち上がり始めた!
街中に広がる大きな音と、その音の少し後に空に咲く大輪の花。
何色もあって形もいろいろあって、毎年技術師のみなさんが趣向を凝らして打ち上げてくれる。
今はもうみんな大好きな催し物の一つとなっていて、祭の最後を飾る大切な存在。
そんな花火を空を見上げてみていると、そっとリオネル様がやって来た。
「クラリス様は花火がお好きなんですか?」
「ええ、だって綺麗じゃないかしら? こんな大きな光の花が空に咲くなんて、まるで夢みたい」
「昔から変わりませんね」
「あら、夢見がちって言いたいのかしら?」
「そうではありません、俺は素敵だと思いますよ」
「──っ!!」
どうしてかしら、リオネル様の言葉にドキリとはねる心臓。
いつも彼は真っすぐで、直球で、だからこそ心に刺さる。
素敵、なんて言葉、まるで私の全てを肯定されたような気がして、嬉しかった。
彼はそんな風に女性を口説くのだろうか、なんて不躾なことを思ってしまった──
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