婚約破棄が破滅への始まりだった~私の本当の幸せって何ですか?~

八重

文字の大きさ
7 / 11

第7話 オレア祭(2)

しおりを挟む
 私が出演するショーは日の落ちた夜に開催されるのが通例となっており、ステージは炎の柱が燃え上がって私を照らし出している。
 その自然の光も相まって幻想的で美しい舞を皆に披露することができる。
 大きな声が飛び交って応援するようなそんな雰囲気ではなく、どちらかといえば神聖で厳かな雰囲気が漂うショーになっていた。

 私は大きく腕を伸ばしてそしてくるりと身を翻して回る。
 飛び跳ねた足はピンと伸びており、着地した時には一切の音が出ない。
 そんな私の舞は『オレアの妖精の舞』と言われており、人々から愛されていると聞いている。

 実際に舞を舞いながら見える皆の顔は、ぼうっと恍惚な表情を浮かべている顔、祈るように見ている顔、そして憧れの気持ちを持ったような子供の顔。
 たくさんの顔があって、私は皆に今年も幸せが訪れますようにという気持ちで舞を舞う。
 少し離れたところの木の下でリオネル様は私を見ていた。

 あ、目があった──

 優しい微笑みをした後でゆっくりと頷く彼の姿を見て、彼に見守られている、そんな安心感を覚えた。

 舞が無事に終わるが、皆はじっとこちらを見たまま何も動かず、そして何も発しない。
 あれ、私何か舞を間違えただろうか。
 そんな風に思った直後、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が沸いた。

「オレアの妖精姫~!!」
「やはりすごいですわ!!」
「今年もすごかったです!」

 歓声が大きく広がる中、感動してくれているのか涙を流している人もいる。
 去年も感動してくれた人が多かったけど、今年は段違いでそれがすごい。

 自分自身の中でやはり、国のためにこれから尽くしたいと思う気持ちが強くなったからかもしれない。
 そう私は思ってステージを降りた──


 オレア祭の目玉はショーの外にもあって、最後に用意されている行事が花火だ。
 ここ数年の催し物で、花火自体は異国から持ち込まれたもので最初は爆発するから危ないものとして扱われた。
 個人輸入をして売ったりすることは今も禁止されており、異国で技術を学んだ国家技術師のみが使用することができる。
 そんな危険な花火だけど、打ちあがったときの綺麗さは抜群!

 最初にオレア祭で花火の打ち上げがされたときはみんなびっくりして腰を抜かした人もかなりいたみたい。
 そりゃそうよね、大きな音に火花だもん……

 でも私はこの花火がすごく好きなの。
 あ、ほら、もう打ち上がり始めた!


 街中に広がる大きな音と、その音の少し後に空に咲く大輪の花。
 何色もあって形もいろいろあって、毎年技術師のみなさんが趣向を凝らして打ち上げてくれる。
 今はもうみんな大好きな催し物の一つとなっていて、祭の最後を飾る大切な存在。

 そんな花火を空を見上げてみていると、そっとリオネル様がやって来た。

「クラリス様は花火がお好きなんですか?」
「ええ、だって綺麗じゃないかしら? こんな大きな光の花が空に咲くなんて、まるで夢みたい」
「昔から変わりませんね」
「あら、夢見がちって言いたいのかしら?」
「そうではありません、俺は素敵だと思いますよ」
「──っ!!」

 どうしてかしら、リオネル様の言葉にドキリとはねる心臓。
 いつも彼は真っすぐで、直球で、だからこそ心に刺さる。
 素敵、なんて言葉、まるで私の全てを肯定されたような気がして、嬉しかった。

 彼はそんな風に女性を口説くのだろうか、なんて不躾なことを思ってしまった──
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア 姉の婚約者は第三王子 お茶会をすると一緒に来てと言われる アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる ある日姉が父に言った。 アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね? バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~

葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」 男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。 ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。 それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。 とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。 あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。 力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。 そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が…… ※小説家になろうにも掲載しています

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

婚約者は妹の御下がりでした?~妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡~

tartan321
恋愛
私よりも美しく、そして、貴族社会の華ともいえる妹のローズが、私に紹介してくれた婚約者は、田舎貴族の伯爵、ロンメルだった。 正直言って、公爵家の令嬢である私マリアが田舎貴族と婚約するのは、問題があると思ったが、ロンメルは素朴でいい人間だった。  ところが、このロンメル、単なる田舎貴族ではなくて……。

シスコン婚約者の最愛の妹が婚約解消されました。

ねーさん
恋愛
リネットは自身の婚約者セドリックが実の妹リリアをかわいがり過ぎていて、若干引き気味。 シスコンって極めるとどうなるのかしら…? と考えていた時、王太子殿下が男爵令嬢との「真実の愛」に目覚め、公爵令嬢との婚約を破棄するという事件が勃発! リネット自身には関係のない事件と思っていたのに、リリアの婚約者である第二王子がリネットに…

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。 瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。 そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。 その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。 そして……。 本編全79話 番外編全34話 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

処理中です...