【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜

むらくも航

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第30話 モフモフパークで乾杯!

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 「『やすひろのモフモフパーク』を作りたい!」

 俺は声高らかに宣言した。

「「やすひろのモフモフパーク!?」」

 目銅佐めどうさオーナーとえりとは期待通りのリアクションをしてくれる。

 それだよそれ!
 それが聞きたくてそれっぽい名前を即興で付けたんだよ!

「一応聞くぞ? なんだそれは」
「これは──」

 俺は意気いき揚々ようようと説明する。

 『やすひろのモフモフパーク』。
 一言で言えば、モフモフ達と遊ぶところだ。

 木をまるごと商業化……なんて考えてもいいけど、一先ひとまずは、うちのペット達と元気に遊べるところを作れたらなあと思う。

 その為のミニコテージだったり、巨大ブランコや巨大滑り台、あとは安全を確保しながら走り回ったり、寝転がったりする場を作りたい。

「とにかく、あの木でモフモフ達と目一杯遊べないかなあと思って!」

 俺は思い付いたままに話した。

「やすひろ……」
「やすひろさん……」

 二人は途中から静かだったな。
 イマイチ伝わらなかったかな?

「いや、まあ出来たらなってだけで──」
「すげえよ!」
「すごいです!」
「へ?」

 急いで訂正しようとしたけど、それをさえぎって二人が声を上げた。
 どっちも目がキラキラして見える。

「それは面白いぞ!」
「そう?」
「ああ、バカっぽくて良いというか、バカゆえの発想というか!」
「……」

 って、おいおい。

「そうですよ!」
「本当ですか?」
「はい! 何も考えてないやすひろさんだからこそというか、やすひろさんにしか出せないアイデアだと思います!」
「……」

 二人とも、それってめてるの?
 俺にはそうは受け取れないんだけど。

「とにかく、これは俺も手伝うぜ」
「えりと!」
「私も! 出来ることなら手伝います!」
「目銅佐オーナー!」

 それでも、俺の話は二人をきつけたよう。
 年甲斐としがいにもなく、食卓の上で三人、手を重ねた。

「やるぞー!」
「「「おー!」」」

 なんか青春してる。
 そう思った二十七歳の三人でした。





 

「で、こうなったんだよ」
「へえ、なるほど~……とはなりませんよ!!」

 夕焼けで空が赤く染まった頃。

 学校帰りに美月ちゃんが家に来て、ちょうどここまでの経緯を簡単に説明した。
 今盛大にノリツッコミしたのも彼女だ。

 まあ、そう言いたくなるのも分かる。
 だって……と思いながら、俺は木を見上げた。

「フクマロ君! あはは~!」
「ワフッ!」

「モンブラン! 手伝ってくれ!」
「ムニャッ!」

 なんかもう「空中庭園」みたいになってるしな。
 
 ちなみに我らがこの木は『世界樹』と名付けた。
 はしゃいだ二十七歳達による、叡智えいちの結晶ネーミングだ。
 
 木の上にいるのは、目銅佐オーナーとえりと。
 オーナーは、フクマロと巨大ブランコに。
 えりとは、引き続きモンブランと作業をしている。
 
 今日だけで「安全を確保するための階段・柵」、「ペット達や人が寝転がれるミニコテージ」、「巨大ブランコ」、「巨大滑り台」までが完成した。
 気分は『自然で出来たスカイツリー』とか、そんなイメージだ。

 巨大ブランコのすぐ下には安全を考慮したマットが敷いてあるし、落ちたりしても全然平気。

「すごいよなあ……」

 改めて、半日でよくここまで出来たものだ。
 最強ペット達が働きっぷりはすごくて、人の何十倍・何百倍ものスピードで作業が進むからな。

 フクマロは魔物界最速のフットワークを生かして釘を打っていくし、モンブランは華麗かれいな“かまいたち”で一瞬で施設を作り上げる。
 ココアは意外性というか、二匹とは違った感性で工夫をしてくれた。

「本当に頼りになるよ」
 
 けど、それもこれも、三匹と一緒に頑張るあの子・・・がいてこそだ。

「ぽよー!」

 あの子というのは、ぽよちゃんのこと。
 昼休みに美月ちゃんから許可が返ってきたので、彼女の事務所に預けられたぽよちゃんの力を借りた。

 ぽよちゃんの「栄養のある水を放出する」能力を使うためだ。
 能力の効果は覿面てきめんで、ぽよちゃんが水をぶっ掛けたところからは強靭きょうじんな枝がにょきにょきと生えてくる。

 その枝を結集させて、その上に施設を作る。
 今日は安全確保とそれをひたすらやってきた。
 
 その結果がこれだ。

「美月ちゃんも登る?」
「わたしは……」

 安全対策はバッチリとはいえ、高い場所が怖い人もいる。
 その為に、マンション二階ぐらいの高さにもミニコテージを設置したり、そういった人向けの場所も作ってみた。

「てっぺんまで登りたいです!」
「おおっ!」
 
 だけど心配は無かったよう。
 考えてみれば、ダンジョンにも挑戦するような子だもんな。

「桜井さん!」
「ワフッ!」
「オーナーさん! フクマロ君!」

 それを聞いたのか、フクマロと一緒に階段を下りてくる目銅佐オーナー。

「一緒に行きましょう!」
「ワッフー!」
「はい!」

 みんなが集まり出して、すでに趣味の領域に入っていたえりとも声を上げた。

「俺たちも行くか」
「ニャフッ!」

「ぽよよっ!」
「キュルッ!」

 作業を続けていたえりと・モンブラン、相変わらず仲良しのぽよちゃん・ココアも俺たちに合流。
 四人に四匹という大所帯で、作り上げた木の階段を登っていく。

「すごいです……」
「それは照れるなあ」
「幻想的が過ぎますよ!」

 上へと登りながら、横を見渡せば、綺麗な夕焼けとすっかり遠くなった地面。

 今日も木は成長を続け、頂点はすでに30メートルに及ぶ。
 ビル8階相当の高さだ。

 実際に『世界樹』で作業をする自分たちでも、まだ現実なのかはっきりしない。
 それほどに非現実的な現象だった。

 ダンジョンがあるという、ファンタジーな世界のシンボルみたいにすら思える。

「ここだよ」
「わあ……!」

 横の景色に見惚みとれていると、やがて頂上に辿り着く。
 
「こんな素敵な場所が!」
「ここは特に気合を入れたよ」

 頂上にあるのは「展望台」。
 この高さ・この場所ならではの雰囲気を作りたいと思って作った施設だ。

 一面ガラスに囲まれたテラスのような四方は、地上の景色を鮮明に映し出す。

 また中心部には、京風の大きな赤い傘と長椅子。
 団子屋みたいなイメージだ。

 和洋わよう折衷せっちゅうってやつ? 違うかな。

 膨大なガラスは、気合いの入りまくった目銅佐オーナーが子会社から持ってこさせた。
 中心部の茶室みたいなのはえりとの趣味だ。

「というか目銅佐オーナー」
「どうしました?」
「今日は本当に良かったんです?」
「……」

 俺の質問にふいっと目をらしたオーナーはすたすたと歩いて行き、近くの冷蔵ボックスからビール缶を取り出した。
 
「まさか……」

 プシュッ!
 オーナーは勢いよくビールを開け、ごくっごくっといった。

「ぷはー! たまにはこんなことしないと、会社なんてやってられませんよ!」
「でも社員は働いて……」
「じゃあ明日、社員全員休みぃ!」

 今のですぐに酔っ払ってるオーナーを見て、俺たちも笑いがこみ上げてきた。

「はははっ!」
「そりゃあいい!」
「オーナーさん!?」

 この人も良い意味で狂ってるよなあ。
 これで雑誌の「ホワイト企業50社」にも複数選ばれてるわけだから、よっぽど効率が良いんだろう。

「やすひろ」
「ああ!」

 彼女に続いて、抑えられなくなったえりとと共にビール缶をプシュッと開けた。

「美月ちゃんはこっちでお願いします」
「……分かってますよーだ」

 美月ちゃんにはオレンジジュースを渡した。
 ちょっと寂しそうにしたが、さすがに勢いだけで飲ませるわけにはいかない。

「みんなも飲むか?」

「ワフッ!」
「ニャフッ!」
「キュルッ!」
「ぽよっ!」

 四匹にはそれぞれ好きな物を取ってもらう。

 これで全員、四人四匹が飲み物を持った。
 ならばやることは一つだろう!

「「「かんぱーい!」」」

「「「ニャンパーイ!」」」

 今ペット達がしゃべった!?
 いや、久しぶりのビールですでに酔っているだけだな!

 こうして、目銅佐オーナーの勢いから急遽きゅうきょ打ち上げが始まった。

 作業の後の気持ち良いビール!
 これがもうたまらない!
 



 勢いのままに会は進んでいった。

「めどさんは途中から遊んでたよな」
「えりとすぁん? 何言ってるんれすかもう~」
「オーナーさん酔うのはっや!」

 えりと、目銅佐オーナー、美月ちゃん、

「ワフフ~♪」
「ムニャニャニャ~♪」
「キュルルッ!」
「ぽよ!」

 フクマロ、モンブラン、ココア、ぽよちゃん。

 みんなを見渡してみて、改めて思う。
 俺は本当に周りに恵まれたなあ。

 ブラック企業の社畜だった俺が、今はこんなに良い仲間たちを持つなんて思いもしなかったよ。

「ワフッ!」
「お、遊んで欲しいのかフクマロ」
「クゥン!」
「お~よしよし」

 こうしてフクマロとたわむれると思い出してしまうな。
 今の俺があるのは全部、あの時フクマロと出会ったおかげだ。

「ニャフッ!」
「キュル!」
「ははっ、お前たちもか。よし来い!」

 そしてモンブランにココア。
 癒しのモフモフは増えていった。
 
 三匹のおかげで、俺は今とっても充実したスローライフを送っている。

「やすひろ?」
「「やすひろさん?」」
「え?」

 そんなことをふと考えていると、みんなの視線が集まっていた。

「どうした? ニヤニヤして気持ちわりい」
「気持ち悪い!?」

 そしていきなり悪口が飛んできた。

「ちょっと、えりとすぁん」
「言い過ぎですよ」
「じゃあ二人も思ってたってこと!?」

 あれ、みんなひどい!
 仲間だと思ってたのに!

「ま、それもやすひろっぽいけどな」
「どういう意味だよ!」
「あっはっは!」
「ふふっ」

 まったくみんなしてさ~。
 まあ、なんとなく意味は伝わるけど。

 モフモフ達と戯れている時は、ついニヤニヤしてしまう。
 それだけ可愛がっているし、こいつらも懐いてくれている。
 俺はこの先もみんなをずっと大切にするだろう。

 その為にも、この『やすひろのモフモフパーク』にはもっと手を加えたい。
 
「スローライフを送りながらね」

 俺たちの打ち上げは夜まで続いた。
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