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第35話 世界樹の頂上
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世界樹の頂上、雲の上にあるそれを目掛けてフクマロが飛び上がった。
俺たちは勢いのままに雲を突っ切り、頂上の景色が目の前に広がる。
「うおおー!!」
フクマロがスタっと雲の上に着地。
正確には、雲の上の葉の部分に乗った。
そうして見えてくるのは、まさにファンタジー世界の光景。
「なんだこれ……」
陽の光は生きて来た中で一番近い。
太陽なのかは不明だけど、とても気持ちの良い日差しだ。
葉の部分と雲が入り混じって出来る白一面の足元は、子どもの頃に夢見たまんま。
さらに、驚くべきは奥に見える建物。
「まじかよ……!」
遠くに見えるのは豪華な『天空城』。
白を基調として、所々に金の線が混じった高く聳え立つその城は、ロマンそのものだ。
あんなものが現実に存在するのか……!
「ニャフッ」
「キュルッ」
「プクッ」
俺が掴まるフクマロに続いて、三匹も雲を突き抜けて頂上に着地。
「ニャフ!?」
「キュルー!!」
モンブランとココアも頂上の光景に目を見開いて大興奮だ。
ココアはまだしも、色々な場所を巡って来たであろうモンブランがこんなに驚くってことは、ダンジョンの中でも本当にすごい光景なんだろうな。
「プク」
モモンガーディアンは「どうだ」みたいな顔だけど。
それもちょっと可愛い。
ただ、ずっと眺めているのも良いけど、ここはやはり確認しておくべきだろう。
ワクワクのままにモモンガーディアンに尋ねる。
「あれが、あの天空城が、君が守っていたのものなのか!」
何かを守るとされることから、「ガーディアン」の名が付くモモンガーディアン。
俺は期待を寄せて聞いた。
「プク、プク」
「……あれ、違うの?」
「プク」
しかし、答えはNO。
思わず間抜けな返しをしてしまう。
「プククッ!」
「あ!」
モモンガーディアンは皮膜を広げて飛んで行く。
付いてこい、ということか。
「フクマロ、追ってくれ」
「ワフ」
ここはモモンガーディアンの領域だ、素直に従おう。
「おおおーっ!」
そうして歩いて行けばすぐに天空城。
近づけば近づくほどに素晴らしい建物だ。
そして、目の前に迫ったそのとんでもなく立派な天空城を
「プクー」
「……」
軽くスルーし、モモンガーディアンはスイーと飛んでいく。
ちょっと悲しい。
いいもーん!
あとでぜーったい覗いてやるもん!
それにしても、中には誰もいないのかな?
まあそんな疑問に答えてくれるわけもなく、天空城の裏に回った辺り。
「プク!」
「!!」
視界を埋め尽くしたのは、畑。
「なんじゃこりゃあ!」
白くてふわふわな雲の上に、広大な茶色の大地。
加えて、それを埋め尽くすほどのたくさんの作物が生えている。
天空城よりも不思議な光景にすら思える。
だけど、様子がちょっと変だ。
「作物が枯れてる?」
畑から生えた作物は色が悪く、萎んでしまっている。
こう言っちゃ悪いが、とても美味しそうには見えない。
ああいう色の作物……でもなさそうだ。
「プク……」
「!」
そんな枯れた作物を眺めながら、悲し気な表情をするモモンガーディアン。
浮かんできた疑問をそのままぶつけてみる。
「もしかして、君はこれを見てほしかったの?」
「プク」
なるほど、どおりで天空城をスルーしたわけだ。
本当に大事に思っているのは作物の方だったか。
何かを守っていると言われる「モモンガーディアン」。
その正体は……ただの農夫やないかーい!
「プクゥ」
「おっと、ごめんごめん」
のんきに心の中でツッコミをしている場合ではないか。
モモンガーディアンが一刻も早く俺たちを連れて行きたかったのは、この作物が完全に死んでしまう前に、どうにかしてほしかったからなんだな。
「けど……」
どうしよう。
俺には今すぐこの状況を好転させる知識や手段はない。
「えりと、何か分かるか」
『急いでサーチをかけてるが……今のところさっぱりだ。まさかそうくるとはな』
「だよなあ」
えりとは生粋の研究者でありエンジニア。
ある意味、農作とは真反対の人間だ。
「うむむ」
「プクゥ……」
俺が悩んだ素振りを見せると、モモンガーディアンが一層悲しい顔を見せる。
このままじゃダメだ。
せっかく俺たちのことを信用してくれたのに、ここにきて何も解決できないとなると申し訳が立たない。
あとは単純に可哀そう!
俺は全モフモフの味方だからな!
絶対になんとかしてみせる!
そんな時、
「キュル」
「……ん?」
名乗りを上げたのはココア。
「ココア。何か分かるのか!」
「キュルゥ!」
ココアは元気に手を上げた。
さらに、いつも以上に目をキリっとさせる。
三匹の中では末っ子ポジションであるココアがとても頼もしく見える。
「そういえば……」
ふと思い出すのは世界樹のふもとでのこと。
ココアはあの時点でやけに反応を示していた。
モモンガーディアンに付いて行く決め手となったのも、ココアだ。
もしかして、登る前から何かを察知していた?
種に関連する魔物だし、ココアならもしかしてもしかするのか?
「ココア。任せていいか」
「キュルー!」
頼られたことで嬉しそうな顔を浮かべるココア。
だけど、その表情の中には確かな決意も感じられる。
『任せるしかないな』
「ああ。ココアはなんだかんだでやってくれるからな」
えりともここは頼ることを選んだよう。
さあココア、君の力を見せてくれ。
「キュルルル……」
ココアは両手をこねこねし始める。
持っているのは俺があげた種か。
ココアが覚醒した時、なぜか種まで大きくなったんだよな。
そして、満を持してその種を
「キュルー!」
『ん?』
「え?」
ぽいっと畑に投げつけた──。
俺たちは勢いのままに雲を突っ切り、頂上の景色が目の前に広がる。
「うおおー!!」
フクマロがスタっと雲の上に着地。
正確には、雲の上の葉の部分に乗った。
そうして見えてくるのは、まさにファンタジー世界の光景。
「なんだこれ……」
陽の光は生きて来た中で一番近い。
太陽なのかは不明だけど、とても気持ちの良い日差しだ。
葉の部分と雲が入り混じって出来る白一面の足元は、子どもの頃に夢見たまんま。
さらに、驚くべきは奥に見える建物。
「まじかよ……!」
遠くに見えるのは豪華な『天空城』。
白を基調として、所々に金の線が混じった高く聳え立つその城は、ロマンそのものだ。
あんなものが現実に存在するのか……!
「ニャフッ」
「キュルッ」
「プクッ」
俺が掴まるフクマロに続いて、三匹も雲を突き抜けて頂上に着地。
「ニャフ!?」
「キュルー!!」
モンブランとココアも頂上の光景に目を見開いて大興奮だ。
ココアはまだしも、色々な場所を巡って来たであろうモンブランがこんなに驚くってことは、ダンジョンの中でも本当にすごい光景なんだろうな。
「プク」
モモンガーディアンは「どうだ」みたいな顔だけど。
それもちょっと可愛い。
ただ、ずっと眺めているのも良いけど、ここはやはり確認しておくべきだろう。
ワクワクのままにモモンガーディアンに尋ねる。
「あれが、あの天空城が、君が守っていたのものなのか!」
何かを守るとされることから、「ガーディアン」の名が付くモモンガーディアン。
俺は期待を寄せて聞いた。
「プク、プク」
「……あれ、違うの?」
「プク」
しかし、答えはNO。
思わず間抜けな返しをしてしまう。
「プククッ!」
「あ!」
モモンガーディアンは皮膜を広げて飛んで行く。
付いてこい、ということか。
「フクマロ、追ってくれ」
「ワフ」
ここはモモンガーディアンの領域だ、素直に従おう。
「おおおーっ!」
そうして歩いて行けばすぐに天空城。
近づけば近づくほどに素晴らしい建物だ。
そして、目の前に迫ったそのとんでもなく立派な天空城を
「プクー」
「……」
軽くスルーし、モモンガーディアンはスイーと飛んでいく。
ちょっと悲しい。
いいもーん!
あとでぜーったい覗いてやるもん!
それにしても、中には誰もいないのかな?
まあそんな疑問に答えてくれるわけもなく、天空城の裏に回った辺り。
「プク!」
「!!」
視界を埋め尽くしたのは、畑。
「なんじゃこりゃあ!」
白くてふわふわな雲の上に、広大な茶色の大地。
加えて、それを埋め尽くすほどのたくさんの作物が生えている。
天空城よりも不思議な光景にすら思える。
だけど、様子がちょっと変だ。
「作物が枯れてる?」
畑から生えた作物は色が悪く、萎んでしまっている。
こう言っちゃ悪いが、とても美味しそうには見えない。
ああいう色の作物……でもなさそうだ。
「プク……」
「!」
そんな枯れた作物を眺めながら、悲し気な表情をするモモンガーディアン。
浮かんできた疑問をそのままぶつけてみる。
「もしかして、君はこれを見てほしかったの?」
「プク」
なるほど、どおりで天空城をスルーしたわけだ。
本当に大事に思っているのは作物の方だったか。
何かを守っていると言われる「モモンガーディアン」。
その正体は……ただの農夫やないかーい!
「プクゥ」
「おっと、ごめんごめん」
のんきに心の中でツッコミをしている場合ではないか。
モモンガーディアンが一刻も早く俺たちを連れて行きたかったのは、この作物が完全に死んでしまう前に、どうにかしてほしかったからなんだな。
「けど……」
どうしよう。
俺には今すぐこの状況を好転させる知識や手段はない。
「えりと、何か分かるか」
『急いでサーチをかけてるが……今のところさっぱりだ。まさかそうくるとはな』
「だよなあ」
えりとは生粋の研究者でありエンジニア。
ある意味、農作とは真反対の人間だ。
「うむむ」
「プクゥ……」
俺が悩んだ素振りを見せると、モモンガーディアンが一層悲しい顔を見せる。
このままじゃダメだ。
せっかく俺たちのことを信用してくれたのに、ここにきて何も解決できないとなると申し訳が立たない。
あとは単純に可哀そう!
俺は全モフモフの味方だからな!
絶対になんとかしてみせる!
そんな時、
「キュル」
「……ん?」
名乗りを上げたのはココア。
「ココア。何か分かるのか!」
「キュルゥ!」
ココアは元気に手を上げた。
さらに、いつも以上に目をキリっとさせる。
三匹の中では末っ子ポジションであるココアがとても頼もしく見える。
「そういえば……」
ふと思い出すのは世界樹のふもとでのこと。
ココアはあの時点でやけに反応を示していた。
モモンガーディアンに付いて行く決め手となったのも、ココアだ。
もしかして、登る前から何かを察知していた?
種に関連する魔物だし、ココアならもしかしてもしかするのか?
「ココア。任せていいか」
「キュルー!」
頼られたことで嬉しそうな顔を浮かべるココア。
だけど、その表情の中には確かな決意も感じられる。
『任せるしかないな』
「ああ。ココアはなんだかんだでやってくれるからな」
えりともここは頼ることを選んだよう。
さあココア、君の力を見せてくれ。
「キュルルル……」
ココアは両手をこねこねし始める。
持っているのは俺があげた種か。
ココアが覚醒した時、なぜか種まで大きくなったんだよな。
そして、満を持してその種を
「キュルー!」
『ん?』
「え?」
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