ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航

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第三章 秘匿ダンジョン

第92話 ギンガの行方

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 「ぜ、全滅……?」

 魔素を操った俺の新たな技【お星さまバースト】で、おじいちゃんの影は全滅した。
 その光景にぜんとしたのか、座り込んだアマテラスさんは口をあんぐりと開けている。
 対して、俺は思わずガッツポーズをした。

「よーしっ!」

 これは流転君と遊ぶ中で身に付けた技だ。
 もしこれで結果が得られないと、とても顔向けできないよ。
 すると、ようやくエリカ姉さんが口を挟んでくる。

「ふふっ。これはさすがにホシ君を認めざるを得ないでしょう」
「エリカさん……。こうなることが分かって黙って見てたんですか?」
「さあ、それはどうかしら」
「ぐむむぅ」

 思い通りにならず、アマテラスさんはぶーたれる。

「……わかりました」
「!」

 だけど、ようやく納得してくれたみたいだ。
 アマテラスさんは一つ息をつくと、力なく立ち上がった。

「……まあ、ギンガの孫がこんなに強いのは喜ばしいことですよね」
「あら珍しく素直じゃない」
「え?」

 アマテラスさんに感心した姉さんだったけど、一瞬怖~い笑顔を覗かせる。

「もしまだ駄々をこねるようなら、どうなっていたか分からないわ」
「ひょえっ!」
「姉さん……」

 それにはアマテラスさんがびくついた。
 神様(?)にまで威圧するなんて、姉さんって一体どういう立ち位置なんだ。
 と、そんなことはありつつも、アマテラスさんが話を進めてくれた。

「で、では約束通り、ギンガの行方について答えます」
「お願いします」

 体裁を整えると、アマテラスさんは真剣な眼差しで語り始めた。
 
「ギンガは秘密裏に依頼を受けて、ある場所へ向かったの」
「ある場所?」
「はい。それが──」

 アマテラスさんは少し溜めて答える。

「“秘匿ダンジョン”」
「ひとく……ダンジョン?」
「そこは意図的に隠されたダンジョンなのです。公的な資料には載っていないそうです」
「そんなところが……」

 発見されたダンジョンは、全てギルドのページに載っていると思っていた。
 意図的に隠すということは何か理由があるのかな。
 少し疑問が浮かびつつも、話は進む。

「ギンガが姿を消したのは一年前ですが、その前にも偶に数日家を空ける時がありませんでしたか?」
「あー、あったかも」
「その時も密かに秘匿ダンジョンへ行っていたのです。そして、一年前のあの日、正式に遠征することを決めた」
「そうなんだ……」

 アマテラスさんの言う通り、おじいちゃんは以前から数日帰らないことがあった。
 俺が中学生だったからか長くても一週間だったけど、そんな事情があったなんて。
 今思えば、たしかに不思議だったかもしれない。

「そういえば、お土産はいつも見たことない物ばかりだったなあ」
「ホシ君はいつも嬉しそうにしてたわよね」
「うん」

 改めて思い出せば、色々と出てくる。

いたら一瞬で木が生える種とかー、巨大な虹が出来る水鉄砲とか」
「一つだけでホシ君を持ち上げる風船とかもあったわね」
「あったあった! あれはよく遊んだなあ」

《!?》
《やばすぎて草》
《お土産ってレベルじゃねえぞwww》
《やっぱ片鱗見えてるじゃねえかw》
《ちょっとぐらい疑問持って笑》
《遊びの規模違いすぎるww》

 エリカ姉さんと思い返す内に、ようやく気づく。
 俺はアマテラスさんに尋ねてみた。

「あれって、秘匿ダンジョンから持ち帰ってきた物なんですか?」
「そうだと思われます」
「へーすっげえ!」

 ダンジョンを多少知った今なら分かる。
 あの時のお土産は、普通のダンジョンではまず手に入らない代物だ。
 つまり──。

「秘匿ダンジョンは特別なんですね」
「はい。それゆえ、ギンガが指名されて一人で調査しているのです」
「そっかあ」

 さすがはおじいちゃんだ。
 夢が広がると同時に、やっぱり一つの思いが沸いてくる。

「俺も行ってみたいです! 秘匿ダンジョンはどこにあるんですか!」
「そう言うと思いました……ですが、私からは答えられません」
「え?」

 アマテラスさんはこちらをじっと見つめた。

「私からの試験は合格しました。あとはからの連絡を待ってください」
「上?」

 含みのある答えが返ってくる。
 それと同時に、俺のスマホに電話がかかってきた。
 
「配信を見ていたのでしょうか。どうやら来たみたいですね」
「……!」

 アマテラスさんは頷く。
 でも、俺は一度スルーした。

「知らない番号だから一旦切ろ」
「んなあっ!」

 アマテラスさんが盛大にひっくり返る──かと思えば、すぐに起き上がって大声で言ってきた。

「今の流れはどう考えてもその“上”でしょうがー!」
「でも、姉さんに知らない番号は出るなって……」
「偉いわホシ君」
「なにこのおバカ達……」

《さすがホシ君》
《姉さんの言いつけ守ってえらい》
《こんな時までw》
《アマテラスさん本音漏れてるってw》
《どこまでも素直なんだよなあ》

 番号を姉さんに見せて安全そうだったので、今度はこちらからかけた。

「もしもし、彦根です」
「お、折り返し助かります。さすがは噂に聞く彦根ホシ君、電話を切られたのは初めての経験でしたよ」
「それは……すみません」
「いやいや、気にすることはない」
 
 印象は優しそうな年配の男性だ。
 コホンと一つ咳払いをすると、通話相手は名乗った。

「申し遅れましたが、私はギルド会長」
「え、会長さん!?」
「はい。突然で悪いが、ちょうど君の配信を見ていてね」
「それは光栄です……」

 相手はまさかのギルド会長さんだった。
 だけど、一旦気になったことを尋ねる。

「あの、責野さんと比べるとどれぐらい偉いのでしょうか?」
「え? うーん……役職としては五つぐらい上かの。一応トップなわけで」
「それはそれは! 大変失礼しました!」
「会長をご存じでない?」

 危なかった、思ったよりすごい人だった。
 でも、そうなると確認しておかなければ。

「まだ配信をつけたままですが……」
「大丈夫。伝えたいことは一つだけです」

 すると、会長は鋭めに続けた。

「君と一度話がしたい」
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