ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航

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第三章 秘匿ダンジョン

第91話 新たな技

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 「いくよ」

 おじいちゃんの影が百体現れ、俺は再び屈伸する。
 若い頃とはいえ、さっきの一体だけでは正直物足りなかった。
 それに、家を出ていく直前のおじいちゃんはもっと強かった・・・・・・・

 だったら──。

「百体ぐらい倒せないと、今のおじいちゃんも認めてくれないよね!」
「な、生意気ねぇ~!」

 俺の言葉に、アマテラスさんはぐぬぬと眉をひそめる。
 現した本性のままに、アマテラスさんは号令した。

「ギンガ! あなたの力、思い知らせてあげなさい!」
「「「いくぞい」」」

 その瞬間、おじいちゃんの影が一斉に向かってくる。
 一瞬回避ルートを考えるも、四方八方をふさがれている。
 ならば、逃げ道は一つ。

「とうっ!」
「「「……!」」」

 俺は真上に飛び立った。
 囲い込むように迫ってきた影を避け、そのまま空中におどり出る。
 すると、それに反応した他の影も次々に追随ついずいしてきた。
 
 さすがはおじいちゃんの影だ。
 予測能力も高い。
 それでも、俺はひらりと追手をかわしていく。

「たのしい…‥!」

 俺の動きは常に手が伸びてくる一歩先へ。
 自分でも分かる。
 体も温まってきて、動きはどんどん良くなっている。

《玉依家の時より速くねえか!?》
《なんかホシ君生き生きしてる!》
《全力でやれてる感じ!》
《相手が影だから遠慮がなくなってる!》
《これが本来のホシ君か!》
《なんでこの相手で楽しんでるんだwww》

 でも、逃げるばかりでは追い詰められるのみ。
 
「さすがにきつくなってきたなー」

 事実、周りを見れば逃げ場も少なくなってきていた。
 正面は潰され、後ろは壁が近い。
 追い込み漁のように徐々に道を塞いでいたみたいだ。

「「「そろそろじゃな」」」

《いつの間にか囲まれてる!?》
《逃げ道を制御していたのか》
《さすがおじいちゃん……》
《やばい頭を使われたか!》
《ホシ君の一番の弱点を突きやがって!》
《こういうのに一番向いてないのに!》

 厄介な展開だ。
 今までならノリと勢いで何とかしてきたけど、そんなのが通用する相手じゃない。
 それに、俺は対多数への攻撃手段は持ち合わせていない。

 でもそれは、今までの俺だったらの話。

「お披露目するにはちょうどいい機会かな」

 ニヤリとした俺は、再び飛び立つ。
 宙からおじいちゃんの影たちを眺めながら、両手を上に広げた。

「流転くんから教わったんだ」

 玉依家との対決から、一週間。
 京都旅行から帰った俺は、普段通りペットとたわむれていた。
 家で預かることになった流転くんも交えて。

 流転くんの能力は、“魔素を操る”。
 魔素の圧力で相手をぶっとばしたり、魔素の壁で防御をしたり、俺もあまり意識したことがなかった面白い能力だ。
 それを間近で見聞きして、最近コツを覚えた。

「うおーっ!」

 掲げた両手に力を込めると、辺りから魔素が集まってくる。
 普段は目に見えない魔素が、巨大な球として可視化されるほど濃く。
 そして、やがて──。

「こんな感じだよね」
「「「……!」」」

 俺の頭上には、大きな魔素のかたまりが出来上がった。
 塊は速く渦巻き、大量のエネルギーを持っている。
 俺はそれを一気に地上へ放出した。

 秘めておいたネーミングも付け加えながら。

「【お星さまバースト】!」
「「「のわあああああああああっ!」」」

 巨大な球から、星型の魔素が降り注ぐ。
 まるで夜空に輝く流星群のように。
 その威力はすさまじく、星に当たった影から準に消失していく。

《すげええええええ!》
《お星さまバーストだって!?》
《お星さまシリーズか!!》
《きれいだ……》
《めっちゃ輝いてる!!》
《流転くんの能力か!》
《この前友達になったばかりなのに!?》
《やっぱ吸収の天才だ》

「こんなところかな」 
「……っ!」

 集めた魔素を放ち切り、俺は両手をぶらんと下げる。
 すると、広がった光景にアマテラスさんは顔を青ざめさせた。
 その引きつった表情で、力なくつぶやく。

「ぜ、全滅……?」
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