魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第67話 祝賀会にて

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 その日の晩。

「「「あっはっはっは!」」」

 アケア領の中心、迎賓げいひん館では盛大なパーティーが開かれていた。
 ゲストはセレティア一行、参加者はアケア領のみんなだ。

「みんな元気だなあ」

 パーティーも後半に差し掛かり、僕は一休みしている。
 先程まで、挨拶やらお話やらが結構あったからだ。
 ちょっと慣れなかったけど、みんなの楽しそうな顔は嬉しかった。

 すると、隣にそっと立つ人が現れる。

「ここにおられましたか、アケア様」
「ちょっと休憩だよ」

 セレティアだ。
 彼女も色々とお話をしていたので、二人で話すタイミングは無かった。
 すると、セレティアは口を開く。
 
「アケア様はすごいですね」
「え?」
「初めてお会いした時から、あっという間に領主になられて」
「なったというか、させられたというか……」
 
 僕の答えに、セレティアは首を横に振る。

「いいえ。全部アケア様の力です」
「そうかな?」
「はい。そんなアケア様とご縁を頂けたことは、わたしの誇りです」
「……っ!」

 窓からの夜風が、セレティアの金髪を撫でる。
 軽く横髪を抑えながら笑ったセレティアの表情には、少しドキドキしてしまった。
 だけど、むーっと目を細めたセレティアは、ふいにたずねてくる。

「それはそうと、フィル様とはどういうお関係なんですか?」
「関係って、ただの冒険者仲間だよ。テイマー同士で仲良くしてるだけで」
「……! それは良かったです!」
「うん?」
 
 良かったの意味は分からないけど、セレティアの顔は晴れた。
 もし変な事を言っていたらと思うと、ちょっと恐ろしい。
 すると、セレティアはすっと手を差し伸ばしてくる。

「それでは、わたしと踊っていただけませんか?」
「踊りを? ……あ」

 周りを見渡せば、二人組でダンスをしている人達がたくさんいた。
 祝いの場ではダンスをするんだっけ。
 でも、養子出身の僕はしたことがない。

「あの、やり方が分からなくて……」
「ふふっ。アケア様にも弱点があったのですね」
「だから他の人と──」
「いいえ、アケア様と踊ります!」

 そうして、セレティアは僕の手を引っ張る。

「たまには私からリードさせてくださいね」
「わわっ!」

 そのまま僕たちは中央に躍り出た。
 すると、周りがわっと湧き上がった。

「おお、みんなあれを!」
「アケア様とセレティア様だ!」
「主役の登場ですな!」
「これは素晴らしい!」

「うっ……」

 ダンスをしたことがないのに真ん中に出るなんて。
 恥ずかしさで顔を覆いたくなるも、セレティアはふっと微笑んでくれた。

「周りは関係ありません。わたしたちなりに踊りましょう」
「わ、わかった」
「ではいきますよ」
「……うん!」

 セレティアがリードしてくれる中、見よう見まねで合わせてみる。
 自分でもぎこちないのが分かるけど、なんとなく踊れている気がした。

「上手くできてるかな?」
「ええ、お上手ですよ。アケア様らしくて素敵です」
「それって褒めてる!?」
「もちろんですっ」

 セレティアの動きを見ていると、段々と緊張もほぐれてくる。
 というより、周りがあまり気にならくなった。
 今はセレティアと楽しみたいと思ったんだ。

「合ってきましたね」
「なんとか!」

 すると、僕たちのダンスはみ合う。
 まだリードはできないけど、セレティアと呼吸を合わせられるようになってきた。
 徐々に視線が合う回数も増え、胸が高鳴っていた。

 また、隅っこではスライム達もおててを繋いで踊っている。

『ららら~』
『るるる~』

「あははっ」
「ふふっ、かわいいですね」

 そうして、ついに演奏が終幕を迎える。

「アケア様、ポーズを」
「う、うん!」

 セレティアと対照的になるよう手を広げた。
 周囲の人達は大きな拍手を送ってくれる。

「アケア様ー!」
「セレティア様、ご立派になられて……!」
「これでアケア領は安泰ですな」
「ええ、お相手があのヒルナーデ家であれば」

「ん?」

 でも、時々不思議な会話が聞こえてきていた。
 その意味については、僕はに知る事になる。
 この国では、ダンスは“親しき男女の仲”でするものということを。

 こうして、アケア領の祝賀会は終えたのだった──。





 数日後。

「恥ずかしい……」

 僕は旧フォーロス家屋敷である“スライム殿てん”で、赤い顔を抑えていた。
 ダンスについての意味・・を聞いたからだ。
 ただ、恥ずかしさもだけど、申し訳なさもある。

「セレティアは僕なんかで良かったのかな」

 でも、セレティアから誘ってくれたしなあ。
 もしかしたらセレティアも深い意味を知らなかったのかも。
 
 と、そんな事を考えている所に、魔境の森から念話が入る。

『アケアよ!』
「ん、どうしたの?」

 長老スライムさんからだ。
 声色はどこか緊急性を思わせる。
 すると、長老スライムさんは口にした。

『ついにあれ・・が動き出した』
「……!」

 ──あれ。
 それは僕が魔族の存在を知るきっかけになった、森での一件に関わるものだ。
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