ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航

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第38話 里のもふもふ達と

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 《では仲間と共についてくるがよい》

 戦闘を通してエアルを認め、エアルの仲間達を認めた、フェニックスのおさ
 彼らへそう告げると、先導するように里を進み始めた。
 また、他のフェニックス達に対しても声をかける。

《皆の者、心配をかけた。だがもう大丈夫だ》

 里の中でも一際大きい長が戦うなど、よっぽどのことだったのだろう。
 様子を見に来ていた多くのフェニックスは、その言葉にようやく安堵あんどの表情を浮かべる。

 そして長は、エアル達へバサっと片翼を向けた。

《彼らは客人である》

 その言葉に、フェニックス達は声を上げる。

「ボォッ!」
「ボオォッ!」
「ボオオオオオオッ!」

 彼らはそれぞれ炎の翼を収め、薄黄色のひよこのような本来の姿へと戻った。
 それから一斉にエアル達へ近づいてきた。

「「「ボォ~っ!」」」
「ふわあー!」

 そんな光景に、エアルは思わず目をキラキラさせる。
 
 今のフェニックス達は、フレイと同じく可愛らしい小鳥の姿。
 そんな“もふもふ”達がたくさん迫ってきたのだ。
 こうなってしまうのも仕方がない。 

 そしてそれは、仲間達も同じのようだ。

「こ、これは……!」

 普段はもふもふを「別に好きじゃない」アピールをしているレリアだが、思わずだらしない表情を浮かべてしまう。

「わふ~!」
 
 また、フレイとすぐに仲良しになったラフィも、ぴょんぴょんと跳ねながらフェニックスと触れ合っている。
 “頂上種”同士、何か惹かれ合うものがあるのかもしれない。

 だが一方で──

「ひやあああああっ!」

 リザだけは、フェニックス達と反対方向へ走り出そうとしていた。
 しかし、膝がガクガクと震えているのか、思うように動けていない。
 そんな様子はどのフェニックスよりも鳥らしく見える。

「リザ、なにやってるの?」
「まだ一気には無理なのよー!」

 フレイに対してはすでに何ともないリザだが、こうも一斉に来られるとまだ体が反応してしまう。
 トラウマが完全に消え去ったわけではないようだ。
 
「えー、みんなかわいいのになあ」
「「「ぼぉ……」」」
「その顔で見ないで!」

 エアル同様、ぷくっとほおふくらませたフェニックス達に、リザは声を上げる。
 フレイを通して、鳥の少し可愛さも理解できたからこそ、かえって心苦しいのかもしれない。
 リザがフェニックス達に慣れるのは、もう少し後のことだった。

《ふっ、面白い連中だ》

 そうこうしながらも、のどかなフェニックスの里を案内してもらうエアル達であった。




「そういえば、長さんは人と何かあったの?」

 穏やかな里でフェニックス達とのんびりする中、エアルが長へたずねた。
 ゆっくりと振り返った長は、不思議そうに聞き返した。

《なぜそう思う》
「“人はみにくい”とか言ってたから、もしかしたらそうなのかなって」
《ふっ、そうか》

 相変わらず曖昧あいまいに答えるエアルだが、彼の直感は当たる。
 図星のような表情で長は話し始める。

《我もかつては、フレイそやつのように外へ出ておった》
「僕たちが来た『マグメル火山』とか?」
《うむ。人が醜いと言ったのは、その当時の見聞からだ》

 ダンジョン『マグメル火山』は、ラビリンス全体でも中~上級と言える。
 その辺りに来る者ならば、きれいな探索者ばかりではない。
 長はそんな者たちを見たのだろう。

《だが一つ、我が人を信じられなくなったことがあったのだ》
「聞いても、いいの?」
《……》

 少し遠慮気味にたずねるエアルに対して、長は口を閉じる。
 やはりあまり話す気にはなれない内容なのだろう。

 しかし──

《……!》

 とある物を視界に入れた瞬間、長はバッと目を見開く。
 その先にいたのは、リザだ。

《お主、それをどこで!》
「え、これのこと?」
《そうだ!》

 長が大きな反応を示したのは、リザが手に持っていたもの。
 彼女のペンダントから出てきた、“一枚の羽根”だ。

 この羽根は、フェニックスのそれと同じ見た目をしている。
 だが、小さめの個体であるフレイとはサイズが合わなかったのだ。
 
「……あ」

 そこでようやくリザは気づく。
 里の中でも一際大きなおさは、炎をまとっていない本来の姿も少し大きい。
 だからこそ、いま手に持っている羽根がぴったり同じサイズではないかと。

《まさか》

 対して、長もサイズが合うことを自覚しているようだ。
 それどころか、何かを思い出すように空を見上げている。

 そして話す気になったのか、長は再びエアル達へ顔を向けた。

《その羽根は……とある人物にあげた物だ》
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