千年夜行 裏

真澄鏡月

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序章 邂逅編

不思議な夢

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「……あれ?ここはどこ?」


見渡すとそこは濃霧に包まれた草原でした。



私は駆け出し、


「お母さん!おじいちゃん!おばあちゃん!晃樹!誰かいないの?」


しかし、私の問いかけには風の音すらない無音という名の答えが帰ってくる。自然に目から涙が溢れ頬をつたいます。


「みんなどこに行ったの……私もう疲れたよ……」


足の力が抜け…座り込み私は溢れる涙を腕で拭っていました。ふと前方から視線を感じ視線を上げると目の前に黒い影が立っており、見ているとスっと濃霧の中に消えていきました。


「誰……?」


私は影が消えた方向に走り出す。
いつの間にか草の丈が私の身長を越えており、

ガサガサ……ガサ……ガサッ……

草をかき分け5分程度走った所で霧が晴れてきました。辿り着いた先.そこは広場になっており…周りには崩れた古めかしい建物が並んび、そしてその中心には黒い巫女服を着た高校生ぐらいの女性が立っていました。巫女は私の存在に気付いたのか、ゆっくりこちらを振り向きましたが、その顔は黒いモヤに包まれており私の体は硬直しました。

「………貴方は………」

その声聞いた瞬間、私の脳内に様々な映像が流れ込んできました。ただその全てにノイズがかかっておりほとんど何か分かりません……しかし痛みは本物です……。

‎「あぁ……うぁ……」

「今貴方に流れ込んだ記憶は私には過去の出来事……しかし貴方には未来の出来事でもある…」

どういうこと?っと尋ねる私に踵を返すと足の先からサラサラと砂山が風で崩れるように巫女の姿が崩れていく。待ってという私の呼びかけよりも早く

「また何処かで会えるよ……儚い儚い私の██……」


私の意識は遠くなっていき、プツンと途切れる。

はっと気がつくと私は自宅の居間の天井を見ていました。

カチャカチャ……

と言う音を立てながら祖母が隣の台所で皿を洗っており…母はいつも通りテレビを見ている……

いつの間にか眠ってしまっていたのか……変な夢を見た気がする…頭を抱え夢の内容を思い出そうとするも全く思い出せない……ふと時計を見ると20時半…祖父とカブトムシ取りに行く時間だ。私はすぐに虫かごとライトを用意し、弟の部屋に向かいました。


次回 第一章 邂逅編
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