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24 キルディア作戦、第二弾
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なぜキャンディとID交換をしたのか、それは彼女のセクシーな私服を参考に、私もそれっぽいセクシーな服装をしたかったからだ。
早速彼女に教えてもらった服屋へ向かって歩いていると、ウォッフォンが震えた。立ち止まってメッセージを確認するとジェーンからだった。
『もう十九時になります。あなたの帰りが遅いので、私は心配しております。お迎えにあがりますから、その場で待っていなさい。全く、定時前に研究所を後にしたのに、どうしてまだポレポレ通りにいるのでしょうか。移動しない様、願います。A.Jane.S』
私はウォッフォンでポータルの位置情報共有の許可を外した。私にはまだやることが残っているのだ。ジェーンには悪いが、一言メッセージを送って、あとは無視をすることに決めた。
『心配しないで!そのうち帰るから、家にいて!ちょっとやることがあるから、あと一時間ぐらいかかる。先にご飯食べててね!Kildia.G.K』
すぐに返事がきた。
『位置測定を外しましたね?全く、再設定をこちらから実行するのは、骨の折れる作業ですのに。そこで何をしているのでしょうか?今夜は、少しあなたとお話をしたいと願っておりました。ご飯は、あなたの帰りを待ちます。オムレツを作って、待っております。A.Jane.S』
げっ、待ってるつもりだ、と私は顔を引きつらせて、『待ってなくていいって!食べてて!kgk』と軽く返事をした。だって待ってなくていいもん。さてさて、私はこの店に入るんだ。
この……黒いメタルな外壁で、看板は紫の、ちょっと怪しげな洋服店。
ウィンドウのマネキンを見ると、ゴールドのピカピカした大きい鎖のペンダントを首から下げて、パープルのオーバーオール(丈がとても短いし、それ以外何も着ていない)を召したアフロヘアの女性が、決めポーズを取っていた。彼女の黒いテカテカのショートブーツのハイヒールをつい見つめてしまった。
頑張ってここまで来たんだ、私だってキャンディの様になれる。そして私の姿を見たジェーンが喜んで、そのまま私をいじめたくなるだろう……。
鞭で叩かれ、私は演技でもいいから、喜ぶ。そうしよう。それしかない。私は意を決して、中に入った。
中には数人の女の子がいて、皆私を見ると怪訝な顔をした。まあサングラスにマスクだから、そうだよね、と早速キャンディに通話をかけた。
するとキャンディがすぐに出てくれた。今日はお客さんいないからって、一緒に選ぶのを許可してくれたのだ。
ホログラムの画面を映すと、キャンディが私に手を振ってくれた。
『はあい、キリー。どんなのを探しているの?』
「どんなのって、キャンディみたいなの。」
『ふふっ……じゃあそうだね、ショートパンツを買ったら何でも合わせやすいよ?それからへそ出しのキャミと、網タイツ。それから細身のパーカーとかもあると便利。キリーは結構細いから、腰が強調されるのがいいかも。リブ素材のカットソーを選んで。胸元が開いてるやつね。』
「えっ、えっ、ああ、はいはい!」
私はキャンディに言われるままにカゴに服を放り込んだ。デニムのショートパンツ、へそ出しのぺらぺらしたパープル色のキャミと、網タイツ、細身のパーカー、リブ素材の胸開きカットソーなど、本当に言われるがままに買った。
黒くてテカテカした紙袋を担いで、私は満足げな顔で外に出た。キャンディにはお礼を言って、私は漸く帰路に就いた。
大きな紙袋を両肩にぶら下げている、一度にこんなにたくさんの買い物をしたことはない。
今日の夜はジェーンとパーティだ。いや、でもリンが途中でバーから帰ってきたら大変だから、やっぱり後日にしよう。
確実に言えるのは、これでジェーンが私で満足してくれることだ!私に足りないのはセクシーさだったから、それがクリア出来たとなれば、我々の関係は安泰だ。
サンセット通りを大股で歩いていると、ウォッフォンが震えた。ホログラムの画面を表示させると、メッセージがジェーンから届いたとの知らせだった。なんかやばい気がするけど、一応確認した。
『あれから一時間、もうオムレツは温かさを失いました。しかし私は待っております。何故なら、あなたとお話したいからです。どこにいて、何をしているのか、存じ上げておりません。しかしそうですね、そろそろあなたのウォッフォンをハッキングしてもいい頃合いかと考えました。A.Jane.S』
やばい、ちょっと怒ってるっぽい。確かに遅くなったもんなぁ。でももう少しで自宅なので返事はせずに、歩みの速度をあげた。ハッキングしたってサンセット通りにいるから別にいいけど。
その時に、またウォッフォンが震えた。私は急ぎつつホログラムを出したが、今度は通話だった。私は黄緑色のボタンを押した。
「もしもしジェーン、今急いで帰ってる!」
『あ、ごめん、僕でした。チェイスだよ!』
「あ、ああ……。」
なんだ、陛下でしたか。
「どうしたんです?」
『いや、ちょっと君のことが気になってさ。ジェーンが酷い人間だから、僕は君が心配だったんだ。』
「酷い人間?って、ああ……あの件は確かに驚きでしたけど、でも乗り越えようと思って。」
『ええ?でも君は、そういうのはあまり好きじゃないって、言っていたじゃないか。ジェーンに合わせなくていいんだよ?』
「ああ、まあそうですけど。もういいんです。私は私なりに、やってみるから。」
『でも、』と彼にしては真剣な声色だった。『僕は、君が心配だ。僕に出来ることはない?キルディア。』
「……たまに、昼にしてくれた様に話を聞いてくれたらいいかなって。はは、チェイスは優しいから。私はそれで助かる。」
『分かった、いつでもお話を聞くよ。それじゃあね。』
「また、」と通話を終了させた。そして小走りで家へと向かった。
早速彼女に教えてもらった服屋へ向かって歩いていると、ウォッフォンが震えた。立ち止まってメッセージを確認するとジェーンからだった。
『もう十九時になります。あなたの帰りが遅いので、私は心配しております。お迎えにあがりますから、その場で待っていなさい。全く、定時前に研究所を後にしたのに、どうしてまだポレポレ通りにいるのでしょうか。移動しない様、願います。A.Jane.S』
私はウォッフォンでポータルの位置情報共有の許可を外した。私にはまだやることが残っているのだ。ジェーンには悪いが、一言メッセージを送って、あとは無視をすることに決めた。
『心配しないで!そのうち帰るから、家にいて!ちょっとやることがあるから、あと一時間ぐらいかかる。先にご飯食べててね!Kildia.G.K』
すぐに返事がきた。
『位置測定を外しましたね?全く、再設定をこちらから実行するのは、骨の折れる作業ですのに。そこで何をしているのでしょうか?今夜は、少しあなたとお話をしたいと願っておりました。ご飯は、あなたの帰りを待ちます。オムレツを作って、待っております。A.Jane.S』
げっ、待ってるつもりだ、と私は顔を引きつらせて、『待ってなくていいって!食べてて!kgk』と軽く返事をした。だって待ってなくていいもん。さてさて、私はこの店に入るんだ。
この……黒いメタルな外壁で、看板は紫の、ちょっと怪しげな洋服店。
ウィンドウのマネキンを見ると、ゴールドのピカピカした大きい鎖のペンダントを首から下げて、パープルのオーバーオール(丈がとても短いし、それ以外何も着ていない)を召したアフロヘアの女性が、決めポーズを取っていた。彼女の黒いテカテカのショートブーツのハイヒールをつい見つめてしまった。
頑張ってここまで来たんだ、私だってキャンディの様になれる。そして私の姿を見たジェーンが喜んで、そのまま私をいじめたくなるだろう……。
鞭で叩かれ、私は演技でもいいから、喜ぶ。そうしよう。それしかない。私は意を決して、中に入った。
中には数人の女の子がいて、皆私を見ると怪訝な顔をした。まあサングラスにマスクだから、そうだよね、と早速キャンディに通話をかけた。
するとキャンディがすぐに出てくれた。今日はお客さんいないからって、一緒に選ぶのを許可してくれたのだ。
ホログラムの画面を映すと、キャンディが私に手を振ってくれた。
『はあい、キリー。どんなのを探しているの?』
「どんなのって、キャンディみたいなの。」
『ふふっ……じゃあそうだね、ショートパンツを買ったら何でも合わせやすいよ?それからへそ出しのキャミと、網タイツ。それから細身のパーカーとかもあると便利。キリーは結構細いから、腰が強調されるのがいいかも。リブ素材のカットソーを選んで。胸元が開いてるやつね。』
「えっ、えっ、ああ、はいはい!」
私はキャンディに言われるままにカゴに服を放り込んだ。デニムのショートパンツ、へそ出しのぺらぺらしたパープル色のキャミと、網タイツ、細身のパーカー、リブ素材の胸開きカットソーなど、本当に言われるがままに買った。
黒くてテカテカした紙袋を担いで、私は満足げな顔で外に出た。キャンディにはお礼を言って、私は漸く帰路に就いた。
大きな紙袋を両肩にぶら下げている、一度にこんなにたくさんの買い物をしたことはない。
今日の夜はジェーンとパーティだ。いや、でもリンが途中でバーから帰ってきたら大変だから、やっぱり後日にしよう。
確実に言えるのは、これでジェーンが私で満足してくれることだ!私に足りないのはセクシーさだったから、それがクリア出来たとなれば、我々の関係は安泰だ。
サンセット通りを大股で歩いていると、ウォッフォンが震えた。ホログラムの画面を表示させると、メッセージがジェーンから届いたとの知らせだった。なんかやばい気がするけど、一応確認した。
『あれから一時間、もうオムレツは温かさを失いました。しかし私は待っております。何故なら、あなたとお話したいからです。どこにいて、何をしているのか、存じ上げておりません。しかしそうですね、そろそろあなたのウォッフォンをハッキングしてもいい頃合いかと考えました。A.Jane.S』
やばい、ちょっと怒ってるっぽい。確かに遅くなったもんなぁ。でももう少しで自宅なので返事はせずに、歩みの速度をあげた。ハッキングしたってサンセット通りにいるから別にいいけど。
その時に、またウォッフォンが震えた。私は急ぎつつホログラムを出したが、今度は通話だった。私は黄緑色のボタンを押した。
「もしもしジェーン、今急いで帰ってる!」
『あ、ごめん、僕でした。チェイスだよ!』
「あ、ああ……。」
なんだ、陛下でしたか。
「どうしたんです?」
『いや、ちょっと君のことが気になってさ。ジェーンが酷い人間だから、僕は君が心配だったんだ。』
「酷い人間?って、ああ……あの件は確かに驚きでしたけど、でも乗り越えようと思って。」
『ええ?でも君は、そういうのはあまり好きじゃないって、言っていたじゃないか。ジェーンに合わせなくていいんだよ?』
「ああ、まあそうですけど。もういいんです。私は私なりに、やってみるから。」
『でも、』と彼にしては真剣な声色だった。『僕は、君が心配だ。僕に出来ることはない?キルディア。』
「……たまに、昼にしてくれた様に話を聞いてくれたらいいかなって。はは、チェイスは優しいから。私はそれで助かる。」
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