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meishino

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43 すべての真相

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 教官のPCでエリアの地図を表示した。このPCがマスターユーザ登録されてるのか、各所のパスコードが丁寧に表示されている。


 それからすぐに奥の部屋のロックを解除する方法が書いてあって、私達はその手順通りにボタンを押して操作をした。すると扉の上の赤いランプが緑のランプに切り替わり、解除されたことが分かった。


 よし行くぞ、と意気込んだヴァルガに、私は待ったをかけた。コピーしたデータカードを入れたことで、教官のシークレットな日記が出現したのだ。


「シークレットファイルがあるよ。日記だ。」


「まあそれは、帰ってからでもいいのでは?」とヴァルガが首を傾げた。私は首を振って、ガラス扉を指差した。


「あれが有毒だったら大変だ。念のため、奥の部屋が何の部屋なのか、もう少し情報を探るべき。ね、ヴァルガ。」


 クラースさんはどちらでもいいみたいで、私とヴァルガを交互に見ている。ヴァルガは顎を触って少し考えた後に、「まあ先輩には逆らえないか」と、私の隣に戻ってきてくれた。


 私は三つあるうち一つ目の、『a 予期せぬ開放』という名の書類を開いた。時は教官が爆発で亡くなったとされる日の翌日だった。私は声に出して読んだ。


「『昨日、ベティ・ビリー・ヴァレンタインは死んだ。それは私のことだ。志半ばで消えたこと、陛下、私をお許し下さい。あの爆発で私は敵拠点と共に粉塵と化した……それは事実ではありません。


 私は生き残った。私は、完全に人類を超えた。爆発では物足りなくて死ねない。皮膚を焦がしながらもこの爆発を利用しない手はないと考えた私は、現場から離れて、誰にも見つからないようにサングラスを掛けて、タバコを吸いながら歩いて、セクターへと戻ってきた。


 ここにいると安心する。

 このセクターR1も、セレスティウムも、全て私一人が作り上げたものだ。


 昼も夜も、私には関係ない。寝ずに作業すれば、意外と短時間で建てれらた。夜の帝国研究所は侵入するに容易かったし、誰も気付きやしない。


 私は男勝り?私はパワーモンスター?誰もが私をそう呼んだ。不満だった。私は男と、人間と比べて欲しくはない。だって、私は人間ではない。人間は眠る。睡眠など、体力の無い生物の証拠だ。それを私は必要としない。


 私の蹴りはミサイル、私の拳はダイヤモンド。この体にたぎる血潮、全てが愛おしい。私は強い、私は死なない、私は食物連鎖の頂点にいる。


 だがドッグフードは好きだ。あれは何物にも代えがたい。勿論、セクターに戻ってから頂いた。これが自由の味か。人間社会から解放された、その記念としては最高だと思えた。』……か。これで終わりみたい。……うん。」


 やばい。感想が口から出てこない。一体、成長期に何を食べればそこまでなれるんだと疑問が湧いて止まらないし、思ったよりも人間離れしてるし、やっぱりドッグフード食べるし……何も言葉が出ない。


 彼はどうだろうかと思って、隣のヴァルガを見てみた。思ったよりも引きつった顔で、絶句していた。そうだよね、私は仲間を得ることが出来て、ちょっと笑った。


「はは……本当に教官が全部作ったんだね、何もかも。」


「あ、ああ……。」ヴァルガは目をパチパチとさせた。「俄かに信じ難い気持ちと、教官の日記による事実の板挟みで、俺は今にも押しつぶされそうだ……。つ、次のを見てみようか。この日記には真相が書いてあるようだから、目の前にある部屋の説明もあるかもしれない。」


「う、うん。」


 私は次のを開いた。先程のから時が飛んで、半年後だった。


「えっと、タイトルは『セレスティウムは栄養』だって。読みます……『合計十五個、今まで私が摂取した、セレスティウムの総量だ。』……あああああああ!?」


 いやいやいやいや……どういうこと!?私は先を読んだ。


「『セレスティウム計画は私の自宅から始まった。あの家で生まれた死神の第一号も、私の身体の中にある。


 セレスティウムは闇属性の人間が使えば暴走を食い止められるが、他の属性の人間が使えば、強力な筋肉増強剤となる。今までの興奮剤なんか比較にならない。あれを摂取してから私は眠れなくなった。身体中の全ての能力が覚醒した。そう、脳みそさえも。


 セレスティウムの改良、漏洩しては水の泡になるので、それ以上は海底庭園で行うことに決めた。笑いが止まらないほどに、私の頭の中を知識やアイデアが駆け巡って、すぐにそれは実現した。私はセクターに篭り、セレスティウムの増産を試みた。


 しかし騎士団から去ったことで、あの材料が手に入らなくなった。それでもすぐに手に入ると思っていた、手に入らないなら代替品を探せばいいと思っていた。

 しかしやはり、それはあの材料でなくてはいけない。代替品ではうまくいかない。私の頭がセレスティウムを持ってしても足りないのかもしれない。


 そしてもう一つ、問題が発生した。セレスティウムを摂取してから数ヶ月経った時のこと、私はまた、セレスティウムを欲してしまった。もうあの物質のことしか考えられなくなった。もう一つ飲めば治るだろうと飲んだが、逆効果で、段々と摂取したいと思う感覚が狭まった。


 ギルバートからは中毒性があるとは聞いていない。それもそうか、闇属性の人間に与えられるのはただの健康で、我々に与えられるのは身体の覚醒。


 中毒性があるとは、誤算だった。あの死神が、私を支配している。あれは死神なのに、私はあれを摂取し続けないと生きていけない。


 セレスティウムは飲めば飲むほど、私の身体を強化した。今の私は……騎士の頃よりも、遥かに人間ではない。


 先程飲んだが、この安息は長続きしない。すぐに死神が戻ってきて、私に拳銃を突きつけるだろう。そして死神をまた呑み込む時まで。』……そっか、死神はセレスティウムのことだったんだ。ね、クラースさん。」


「……。」


 クラースさんは怯えたような苦い顔をしていた。私は少し笑って、彼の腕をどついた。すると彼はふっと笑ってくれた。そして言った。


「もう俺は決めたぞ。ここからしれっと帰ろう。盗人と称されてもいい、何と呼ばれてもいいから、PCを盗んで、教官に会うのはやめよう。何も言わずに静かにここを出るんだ。教官に会ったら確実に人生が終わる。お前はソーライ研究所の崖っぷちから海に飛び降りたいのか?確実に死ぬ未来を敢えて選択する必要はないんだ。俺は、決めたんだからな?お前らもそうしろ。」


 と、クラースさんは私とヴァルガを交互に指差した。私がヴァルガを見ると、彼は「ま、まあな……。」と肯定的だった。私も確かに生きてはいたいので、何回か頷いた。


 しかし……セレスティウムはこういう力があったんだ。


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