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第7話 1日の終わり
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「…けど、王様にはとめられてんだ?」
「ーーそうだな」
「それは体裁が悪いからか?」
「……いや、ーー父や、王太子からはそういったものは感じない」
「ふうん。良いお父さんじゃん。おれの毒親父なんか、超がつくほど外面重視だったぜ?」
できるだけ、重くならないような言い方をしてみた。なんか、おれの額の傷を気にしてるっぽかったからさ。
「……傷が……、新しいものだな」
傷に触れないように髪の毛を撫でられる。その手がひんやりしてるんだけど、すごく優しいんだ。
「あーー、そうそう。ちょうどぶん殴られた後にこっちに来たんだよ。ーーどうせなら殴られる前に飛ばしてくれよな」
ははっ、と笑ってみたけど、ちょっとうまく笑えなかった。
「ーーこちらでできた傷ならすぐに治せたんだが…」
「魔法で?」
「あぁ。ーーすまない、痛かっただろう……」
いきなりアレクの手がほんわか光って、おれの額を何度も撫でた。あーー、なんかあったかくてリラックスできる光だ……。
手が冷たいひとって心があたたかいっていうけど、あれマジの話なのかな。ずっとこうされてたいって、……思っちまうじゃんか……。
「……」
「あちらでできたものには干渉できないのか……」
「たいしたことないよ……」
えっと……。ーーまさか他人にこんなに心配してもらえるとは思ってなかったおれは、ちょっと困った。おれが女だったらな……、こんな優良物件なにがなんでも離さないんだけどさーー……。
ーーおれ、こいつとマジで結婚すんのかな…?男同士で結婚って、アレクはいいのか……?そもそも結婚生活がよくわからないんだけど、おれはアレクのこと大事にできるのかなーー?
ーーまともな家庭で育ってないのに……?
「……」
「ルート……、傷の理由は聞かないほうがいいか?」
「……あ…、うん。まっ、そのうちにな……」
「そうか…。ルートに信用してもらえるように、精進しなければならないな」
「う、うん…」
そんな照れること言わないで欲しい……、なんかほら、なんかさ、ーー期待しちまいそうになるだろ?
「なあ、朝は普通に起きたらいいのか?」
ダラダラ昼まで寝てたら怒られるのか?この世界、時計とかあるの?いま、何時なんだろーー。
「そうだな……。支度がすめば神殿に送って行こう」
「じいちゃんのところか?」
「何もなければ聖女は昼間、神殿にいる」
「ふうん。……魔蝕は浄化しにいかないのか?アレクが結界に封じ込めたやつも、浄化しないとダメなんだろう?」
「ーーあぁ…」
「ーーおれじゃ、無理なのか?」
「いや……、結界をもっと強めてみよう」
ダメみたいだな……。はーー、やっぱりヤんないと力の全開放は難しいのか?なんじゃそれ、だよな……。
「はあ……」
「どうした?」
「あのさ……、おれもできるだけはがんばるよ」
「ルート。すまない……、こちらの都合で召喚したのにーー」
おっと、優しい奴だな……、それおれが聞きたかった言葉だよ。
「ーーまあ、心残りがひとつだけある……、けど、そこはとりあえず置いとく」
「?」
「だ、だからな……」
「……?」
「……あー、なんだ。その、……『はじめて』ってやつは、アレクにやるよ。だから、そんな悲しそうな顔すんな」
いらないなら別にいいんだけど。
「け、けど。あ、あんまり急かさないでいてくれると、助かる……ぜっ!」
うわ、激はずいーー。でも、ほら、変にぎくしゃくした関係になると、お互いに困るだろ?
「ーーわかった。ありがとう、ルート。その日が来るのを、楽しみにしている……」
花が開くように微笑まれてしまったんだけど、……必要に迫られたらヤんなきゃいけないのか……。どうしよう……、本当にできるのかなーー?
「ーーけどさ、あんなのすぐには入らないって聞いたことあるけど、どうするつもりだったのかね?」
「……か……ぅ」
「ん?アレク、小声すぎてわかんないんだけど」
「拡張や弛緩の魔法を使う……」
「魔法ありきか。ムードも何もあったもんじゃないなーー、やっぱり儀式的な意味が強いんだ」
「……あぁ」
「ふふ~ん。でも、アレクはヤキモチ妬いちゃったのか?」
「……」
おやおや、ちょっとすねた顔がかわいいですやん。う~ん、おれもこいつが嫌いじゃないから困るよ……。話はちゃんと聞いてくれるし、ノリもいいしさーー。
「まっ。仲良くやろうぜ、旦那様」
おれは拳を前につきだす。ノリがいい旦那様はすぐに理解して、自分の拳をそこにこつんと当ててくれた。
「あぁーー。君のその言葉にふさわしい男になると誓おう。愛している、ルート」
ーーあ、愛しているっ!?
おれは生まれてはじめて言われた愛の言葉に、心臓がドキドキして、その夜はなかなか眠ることができなかった。異世界初日だし、神経が昂ぶってたのもあったんだけどさ……。
ーーマジなのか?こいつは本当に本気でおれのこと、……愛してくれるのか……?
ふかふかの毛布に包まり、「落ち着け、落ち着け」と心臓に念じる。けどーー……、
「眠れないのか?」
隣がしっかり起きてるんですよ。アレク、そこは頼むから寝といてくれ~~~!
「ーーなんか、興奮してんのかな?」
寝返りをうってアレクの方に身体を向けた。視界のなかの美青年は、どの角度から見てもイケメン過ぎて、正直……慣れるまで大変だな、こりゃ。
「そうだな……。私も胸が高鳴りすぎて、今夜は眠れそうにない……」
そう言っておれの頬に手を添えて、妙に熱っぽい目で見てくるんだけど……、ヤラれないよな?おれーー。
「……ルート」
「んっ?」
声がひっくり返ってしまった。何を焦ってんだよ、アレクが変に思うだろ?
「………」
あきらかに動揺しているおれの態度には触れずに、アレクが手をこっちに伸ばしてきた。うっ、うわぁ、何をする気だ?さっき、まだしないって話でまとまったよなーー?
「ーーこんなに愛しいものがあるとは……、思ってもみなかった……」
ひんやりとした手で優しく頬を撫でられ、おれは目を瞬いた。こういうのって、きっと特別な関係でしかできないことだよな……。それこそ、恋人同士とかーー……。
アレクの手がすごく気持ち良くて、その声からも温かいものが感じられてーー、おれはそれに安心感を覚えちまった。
ーーあっ、寝苦しいときって冷やすもんな。ーーとか、色気のないことを考えたりしたけど、おれは、たぶんドキドキしている。
自分の気持ちをごまかせないぐらい、アレクセイって男に、ドキドキしてるんだーー。
その心地良さのなか、いつの間にか寝ていたおれは、これからのことも、アレクとどうなるのかも、まったく予想していなかった。
――最悪だと思った異世界が、今は少しだけ、……イイ感じかもって思える…。
……まっ、今日はもう終わりだ。また、明日ーー………。
「ーーそうだな」
「それは体裁が悪いからか?」
「……いや、ーー父や、王太子からはそういったものは感じない」
「ふうん。良いお父さんじゃん。おれの毒親父なんか、超がつくほど外面重視だったぜ?」
できるだけ、重くならないような言い方をしてみた。なんか、おれの額の傷を気にしてるっぽかったからさ。
「……傷が……、新しいものだな」
傷に触れないように髪の毛を撫でられる。その手がひんやりしてるんだけど、すごく優しいんだ。
「あーー、そうそう。ちょうどぶん殴られた後にこっちに来たんだよ。ーーどうせなら殴られる前に飛ばしてくれよな」
ははっ、と笑ってみたけど、ちょっとうまく笑えなかった。
「ーーこちらでできた傷ならすぐに治せたんだが…」
「魔法で?」
「あぁ。ーーすまない、痛かっただろう……」
いきなりアレクの手がほんわか光って、おれの額を何度も撫でた。あーー、なんかあったかくてリラックスできる光だ……。
手が冷たいひとって心があたたかいっていうけど、あれマジの話なのかな。ずっとこうされてたいって、……思っちまうじゃんか……。
「……」
「あちらでできたものには干渉できないのか……」
「たいしたことないよ……」
えっと……。ーーまさか他人にこんなに心配してもらえるとは思ってなかったおれは、ちょっと困った。おれが女だったらな……、こんな優良物件なにがなんでも離さないんだけどさーー……。
ーーおれ、こいつとマジで結婚すんのかな…?男同士で結婚って、アレクはいいのか……?そもそも結婚生活がよくわからないんだけど、おれはアレクのこと大事にできるのかなーー?
ーーまともな家庭で育ってないのに……?
「……」
「ルート……、傷の理由は聞かないほうがいいか?」
「……あ…、うん。まっ、そのうちにな……」
「そうか…。ルートに信用してもらえるように、精進しなければならないな」
「う、うん…」
そんな照れること言わないで欲しい……、なんかほら、なんかさ、ーー期待しちまいそうになるだろ?
「なあ、朝は普通に起きたらいいのか?」
ダラダラ昼まで寝てたら怒られるのか?この世界、時計とかあるの?いま、何時なんだろーー。
「そうだな……。支度がすめば神殿に送って行こう」
「じいちゃんのところか?」
「何もなければ聖女は昼間、神殿にいる」
「ふうん。……魔蝕は浄化しにいかないのか?アレクが結界に封じ込めたやつも、浄化しないとダメなんだろう?」
「ーーあぁ…」
「ーーおれじゃ、無理なのか?」
「いや……、結界をもっと強めてみよう」
ダメみたいだな……。はーー、やっぱりヤんないと力の全開放は難しいのか?なんじゃそれ、だよな……。
「はあ……」
「どうした?」
「あのさ……、おれもできるだけはがんばるよ」
「ルート。すまない……、こちらの都合で召喚したのにーー」
おっと、優しい奴だな……、それおれが聞きたかった言葉だよ。
「ーーまあ、心残りがひとつだけある……、けど、そこはとりあえず置いとく」
「?」
「だ、だからな……」
「……?」
「……あー、なんだ。その、……『はじめて』ってやつは、アレクにやるよ。だから、そんな悲しそうな顔すんな」
いらないなら別にいいんだけど。
「け、けど。あ、あんまり急かさないでいてくれると、助かる……ぜっ!」
うわ、激はずいーー。でも、ほら、変にぎくしゃくした関係になると、お互いに困るだろ?
「ーーわかった。ありがとう、ルート。その日が来るのを、楽しみにしている……」
花が開くように微笑まれてしまったんだけど、……必要に迫られたらヤんなきゃいけないのか……。どうしよう……、本当にできるのかなーー?
「ーーけどさ、あんなのすぐには入らないって聞いたことあるけど、どうするつもりだったのかね?」
「……か……ぅ」
「ん?アレク、小声すぎてわかんないんだけど」
「拡張や弛緩の魔法を使う……」
「魔法ありきか。ムードも何もあったもんじゃないなーー、やっぱり儀式的な意味が強いんだ」
「……あぁ」
「ふふ~ん。でも、アレクはヤキモチ妬いちゃったのか?」
「……」
おやおや、ちょっとすねた顔がかわいいですやん。う~ん、おれもこいつが嫌いじゃないから困るよ……。話はちゃんと聞いてくれるし、ノリもいいしさーー。
「まっ。仲良くやろうぜ、旦那様」
おれは拳を前につきだす。ノリがいい旦那様はすぐに理解して、自分の拳をそこにこつんと当ててくれた。
「あぁーー。君のその言葉にふさわしい男になると誓おう。愛している、ルート」
ーーあ、愛しているっ!?
おれは生まれてはじめて言われた愛の言葉に、心臓がドキドキして、その夜はなかなか眠ることができなかった。異世界初日だし、神経が昂ぶってたのもあったんだけどさ……。
ーーマジなのか?こいつは本当に本気でおれのこと、……愛してくれるのか……?
ふかふかの毛布に包まり、「落ち着け、落ち着け」と心臓に念じる。けどーー……、
「眠れないのか?」
隣がしっかり起きてるんですよ。アレク、そこは頼むから寝といてくれ~~~!
「ーーなんか、興奮してんのかな?」
寝返りをうってアレクの方に身体を向けた。視界のなかの美青年は、どの角度から見てもイケメン過ぎて、正直……慣れるまで大変だな、こりゃ。
「そうだな……。私も胸が高鳴りすぎて、今夜は眠れそうにない……」
そう言っておれの頬に手を添えて、妙に熱っぽい目で見てくるんだけど……、ヤラれないよな?おれーー。
「……ルート」
「んっ?」
声がひっくり返ってしまった。何を焦ってんだよ、アレクが変に思うだろ?
「………」
あきらかに動揺しているおれの態度には触れずに、アレクが手をこっちに伸ばしてきた。うっ、うわぁ、何をする気だ?さっき、まだしないって話でまとまったよなーー?
「ーーこんなに愛しいものがあるとは……、思ってもみなかった……」
ひんやりとした手で優しく頬を撫でられ、おれは目を瞬いた。こういうのって、きっと特別な関係でしかできないことだよな……。それこそ、恋人同士とかーー……。
アレクの手がすごく気持ち良くて、その声からも温かいものが感じられてーー、おれはそれに安心感を覚えちまった。
ーーあっ、寝苦しいときって冷やすもんな。ーーとか、色気のないことを考えたりしたけど、おれは、たぶんドキドキしている。
自分の気持ちをごまかせないぐらい、アレクセイって男に、ドキドキしてるんだーー。
その心地良さのなか、いつの間にか寝ていたおれは、これからのことも、アレクとどうなるのかも、まったく予想していなかった。
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……まっ、今日はもう終わりだ。また、明日ーー………。
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