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聖女への道(ルート)
第1話 聖女の日課
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穏やかな光がはいるサンルーム。白い神殿風の柱が並ぶ、格調高いお部屋ってやつね。
「ーーそのため、我が国は聖女を召喚するのでございます。……これ、聖女様!聞いておいでですか?」
こんな睡眠との戦いが必要な場所で、じいちゃんの話がまともに聞けるわけがない。たまに、何言ってるかわからないし、気づいたらじいちゃんの後ろにいる神官達は寝ているし。
「ーーようは、魔蝕を浄化すりゃいんでしょ。ミハエルじいちゃん?」
白いカソックコートを着せられたおれは、欠伸をしながら講義を受ける。歩きづらいから膝丈サイズで勘弁してもらったけど、これ内側のポケットの数がすごいんだよ。何をこんなに入れるんだろうな?
「その通りですが、そうはじめからうまくはいかないでしょうね……」
「……はいはい、魔蝕ってアレクからでてた黒いもやみたいなやつだろ?おれ、普通にいけそうだけどなぁ」
それよりも、ずっと座ってると腰が痛いぜ。この椅子、学校の椅子より座り心地が悪いな……、なんでだ?
「ーーそうか!背もたれだよ!ここちょっとカーブにしよう!」
「なるほど……。では、次のページに……」
相手にする気がないな。
しかし、じいちゃんは朝から立ちっぱなしで、椅子があるのに腰を下ろす気配もない。ーーもしかして、法衣で見えないだけで足の筋肉バキバキか?
「だから~。ワーツの村だっけ?そこ連れてってよ」
先代も使っていたらしい貴重な書物を机に置かれてるんだけど、どれもきれいな状態で書き込みひとつない。ーーさては、先代…読んでないな?
「ーー聖女様、あんな最高位の結界で拘束されたものなど、初歩ですらありません。ーー神々の負の感情ですよ?」
「実際どんなのか見ないと、イメージわかないよ」
論より証拠じゃね?
「焦る必要などありません。村人はみな隣村に避難しておりますし……」
そう言ってミハエルじいちゃんは相手にしてくれないんだけどさーー、
「焦っているわけじゃないよ。ただ、自分の目で見たいだけだ」
「いくら、聖女様でも危険な事です。もっと魔蝕についての知識を学んでからーー」
「免許皆伝まで、何年かかんだ?」
おまえに教えるものはないーー、ってとこまでか?
ふぅ……、とミハエルじいちゃんが息を吐いた。なんだよ、そのあきれたような顔は?
「ーー聖女様、時空竜の女神様の御声は聞こえましたか?」
はい?ーーなんだかきょとんとするようなこと言われたぞ。
「え?」
女神様の、お声?
「神力器官に神力が充分ある場合のみ、時空竜の女神様の御声を聞くことができるそうですが……」
「……」
ーーほーん。そうか、そうか………、おれってば神様の声を聞けちゃうようになるんだーー……。神力が満タンだった場合ね、ほお~~~ん。
「満タンって、自分でわかるの?」
器官があるところはわかるんだよ、心臓にはりついているってのが。ただ、機能しているかまではわからないな……。
「慣れではありますが、わかるはずです」
「そっか……。なぁ、じいちゃん」
「はい?」
聞きたくないないけど、聞いておこう。
「やっぱ、ーーヤんなきゃダメなわけ?」
「ぶっ!」
何人かの神官が吹きだしたぜ、あいつらこそ修行が足りないんじゃないか?
「その通りで」
「ーーそりゃないよ……」
おれはがっくりと肩を落とした。なんで、そこなんだ……、なんでこの世界はおれの身体をきれいなままでいさせてくれないんだ?
「神力は回復にも時間がかかりますから……」
「え?ちょっとまってよ。魔蝕を浄化したらそのつどがんばらなきゃならないのか!?」
「ええ。その日のうちに何度も起こることもございますからーー。先代も魔蝕のよく起こる年がありましたが、最大で1日5件というときもーー……」
「そ、そ、それはまさか、エッチも5回っ!」
やりすぎだろ?アレクだって、そこまでがんばりたくはないはずだ。
「ーー単純に考えればそうですね」
「単純にって……。いや……、そんなの……、年取ったらどうしたらいいんだよ!」
「いまから考えることじゃありませんが……」
「なんで、聖女なのに煩悩まみれなんだ!」
清らかな存在を聖女っていうんじゃないのか!なんでエロで世界を救わなきゃならないんだ!
「おやおや、真面目な聖女様でございますね。大丈夫ですよ、アレクセイ殿下は魔力量が異常なほどございますから、あの方だけでよろしいでしょう」
「は?ーー足りなきゃクリスともヤんなきゃいけないのか!?」
「唾液でもいただいたらよろしいかと……」
「キッモ~~~!」
あーー、考えるだけで背筋が寒くなってきた。無理無理無理無理、まだカブトムシの幼虫を食えって言われたほうがマシだ。
「ほほっ、そうでしょうね……」
身体をさするおれを見て、じいちゃんが笑ってる。
「ーー何が?」
何がおかしいんだか。ーーおれは不満たらたらで本を片付けるじいちゃんを睨んだ。
「アレクセイ殿下なら大丈夫なのでしょう?」
「え!?ーーいや、それは……、その……、大丈夫っていうか……」
言われてぎくりとした。脳裏に浮かんだのは昨日の真剣なアレクの顔だ。なんだかかわいいと思って許してしまったあいつの行動ーー……。でも、あいつだからいいってもんでもない……、だろ?
「聖女と護衛の関係はそういうものだと、先代もおっしゃっていました。アレクセイ殿下も言われたときは信じておられませんでしたが、いまは先代の話を深く噛みしめていらっしゃいますでしょう」
「………先代って、予知能力でもあったの?」
尋ねると、ミハエルじいちゃんは心底おかしそうに、クックッと笑ったよ。
「聖女様も時空竜の女神様の御声を聞くことができれば、いずれ次の聖女のことがおわかりになるでしょうね……」
「ああ、そういうことか……」
神託がおりる、ってことなんだ……、神ありきの世界ならではだな。
「ーーここで、聖女様のお世話をするのは主に私ですが、いないときもありますので、そのときは司教のクライスとイワンが付き添います」
「聖女様、よろしくお願い致します」
2人の真面目そうなおっさん達から頭を下げられ、おれも軽く頷いた。
「お茶などの細かい用事は、見習いのカロリンやアステルがいたしますので」
「ーーそれぐらい自分でやりますよ」
きらきらした目をした若い神官さん達には悪いと思うけど、かえって気を使うな。
「そういうわけにはいきません。聖女様はソラリス教の最高位であられるのですから、誰もが世話をしたくて仕方がないのですよ?」
そういうもんなのかーー?いままでの生活と違いすぎて笑うしかないな。…おれってば、『自分のことはなんでも自分でやれ』、って環境で育ってるから、ほっといても生きていけると思うんだけどさ。
「いたりませんが、よろしくお願いします!」
あらら、ふたりともおれと同じぐらいの歳かな……、素直そうだし、さすが聖職者って感じだよ。
「ーーアレクセイ殿下が護衛だなんて、うらやましいです!」
アステルって青年が、ぽ~っと頬を赤らめて言うんだけど、なんでなの?
「ーー推しか?」
そういう言葉があるのかわからないけど、聞いてみよう。
「ファンといえば、そうかもしれませんね。きゃっ」
恥ずかしそうにするアステルを、カロリンが肘でつついている。アステルがミーハーっぽくて、カロリンはしっかりしたやつなんだろうな……。
「っていうかこの世界、同性同士でも問題ないの?」
いまさらな疑問を口にだしたんだけど、ほんとにいまさらだったのか、全員から首をかしげられたよ。
「聖女様の国では同性だからという理由で、愛するひとと一緒になれないのですか?」
カロリンが不思議そうな顔をする。あれ?神官でも恋愛オッケーなの?
「ーーなれない、ってことはないか……。自分の趣向の問題だよな……」
でも、おれにはロードリンゲン王族の魔力が必要なわけで、そんなおれと普通に恋愛をしてくれるやつなんか、誰もいないんだろうな……。
「ーーおれもそうだけど、向こうにも他に好きなひとができたら、ーー公認セフレになるしかない……」
「遊び相手…ですか……。聖女様は貞操観念が固いんだが緩いんだかーー」
「誰がゆるゆるだよーー、ん?」
ーーあれ?もしかして、言葉は自動で訳されてるのか?
「じいちゃん、おれの言葉ってどうなってるの?」
「ソラリス語で聞こえますよ」
「おれ、話せないのに?」
「これは、女神様の特典みたいなものです。ただし、文字は書けないはず」
「あーー。だから、この本もきれいなままなんだ……。たしかに、何書いてるかわかんねえわ」
ミハエルじいちゃんが読んでるときはイメージできたのに……、不思議な感覚だな。
「ーーはあ……、当分は暇なのか……」
「早く契ってください」
「……セックスにロマンを求めちゃおかしいか?」
いけない、いけない、殺意はひっこめないとな。
「お若いですなーー。所詮は性欲のぶつかり合いですよ?」
「………」
「早いほうが私どもも安心なのですがね……。いつ各国から魔蝕通信が入らないか、ヒヤヒヤいたします」
「魔蝕、通信?」
また新たなワードがでてきたな。覚えることが多すぎるぜ。
「魔導具です。魔蝕が発生すれば魔蝕通信室に連絡がきます。そして、アレクセイ殿下が結界を張りに向かわれる」
「ーーアレク、ひとりでか?」
おれの目は驚きで丸くなってるだろうな。危険だってわかってるものに、なんでアレクひとりで行かなきゃならないんだよ。
「先に各国の結界師が対応しておりますが……、やはり殿下でなくては魔蝕の動きを完全にとめることは難しいですね……」
「……」
「殿下が動けるようになり、国王陛下もひと安心でしょう」
目の前にカロリンが紅茶がはいったカップを置いた。おれはコーヒー派なんだけどなーー……。
ゆらゆらとあがる湯気を見ながら、生気もなく横たわっていたアレクを思い出す。聖女がいなくても行かなきゃならないから、あんな状態になったのに。それでも他にできるやつがいないから、仕方がないみたいな言い方をされるのかーー。
……おれがちゃんとしなきゃ、アレクをまたボロボロの姿にしちまうのか……?
そりゃこの世界のことはこの世界のやつがなんとかしろとは思うけど、できるやつひとりに責任を負わすのは違うだろ……?
ーー国王陛下……あいつの父親は、アレクを道具みたいな使い方してるのか?アレクは良いお父さんみたいな言い方してたけど、実際のとこどうなんだろうな……。
ーーそういや、昨日、見ていないけど……。聖女召喚とかって、王様が見学に来るようなイベントじゃねえの?
「ーーそのため、我が国は聖女を召喚するのでございます。……これ、聖女様!聞いておいでですか?」
こんな睡眠との戦いが必要な場所で、じいちゃんの話がまともに聞けるわけがない。たまに、何言ってるかわからないし、気づいたらじいちゃんの後ろにいる神官達は寝ているし。
「ーーようは、魔蝕を浄化すりゃいんでしょ。ミハエルじいちゃん?」
白いカソックコートを着せられたおれは、欠伸をしながら講義を受ける。歩きづらいから膝丈サイズで勘弁してもらったけど、これ内側のポケットの数がすごいんだよ。何をこんなに入れるんだろうな?
「その通りですが、そうはじめからうまくはいかないでしょうね……」
「……はいはい、魔蝕ってアレクからでてた黒いもやみたいなやつだろ?おれ、普通にいけそうだけどなぁ」
それよりも、ずっと座ってると腰が痛いぜ。この椅子、学校の椅子より座り心地が悪いな……、なんでだ?
「ーーそうか!背もたれだよ!ここちょっとカーブにしよう!」
「なるほど……。では、次のページに……」
相手にする気がないな。
しかし、じいちゃんは朝から立ちっぱなしで、椅子があるのに腰を下ろす気配もない。ーーもしかして、法衣で見えないだけで足の筋肉バキバキか?
「だから~。ワーツの村だっけ?そこ連れてってよ」
先代も使っていたらしい貴重な書物を机に置かれてるんだけど、どれもきれいな状態で書き込みひとつない。ーーさては、先代…読んでないな?
「ーー聖女様、あんな最高位の結界で拘束されたものなど、初歩ですらありません。ーー神々の負の感情ですよ?」
「実際どんなのか見ないと、イメージわかないよ」
論より証拠じゃね?
「焦る必要などありません。村人はみな隣村に避難しておりますし……」
そう言ってミハエルじいちゃんは相手にしてくれないんだけどさーー、
「焦っているわけじゃないよ。ただ、自分の目で見たいだけだ」
「いくら、聖女様でも危険な事です。もっと魔蝕についての知識を学んでからーー」
「免許皆伝まで、何年かかんだ?」
おまえに教えるものはないーー、ってとこまでか?
ふぅ……、とミハエルじいちゃんが息を吐いた。なんだよ、そのあきれたような顔は?
「ーー聖女様、時空竜の女神様の御声は聞こえましたか?」
はい?ーーなんだかきょとんとするようなこと言われたぞ。
「え?」
女神様の、お声?
「神力器官に神力が充分ある場合のみ、時空竜の女神様の御声を聞くことができるそうですが……」
「……」
ーーほーん。そうか、そうか………、おれってば神様の声を聞けちゃうようになるんだーー……。神力が満タンだった場合ね、ほお~~~ん。
「満タンって、自分でわかるの?」
器官があるところはわかるんだよ、心臓にはりついているってのが。ただ、機能しているかまではわからないな……。
「慣れではありますが、わかるはずです」
「そっか……。なぁ、じいちゃん」
「はい?」
聞きたくないないけど、聞いておこう。
「やっぱ、ーーヤんなきゃダメなわけ?」
「ぶっ!」
何人かの神官が吹きだしたぜ、あいつらこそ修行が足りないんじゃないか?
「その通りで」
「ーーそりゃないよ……」
おれはがっくりと肩を落とした。なんで、そこなんだ……、なんでこの世界はおれの身体をきれいなままでいさせてくれないんだ?
「神力は回復にも時間がかかりますから……」
「え?ちょっとまってよ。魔蝕を浄化したらそのつどがんばらなきゃならないのか!?」
「ええ。その日のうちに何度も起こることもございますからーー。先代も魔蝕のよく起こる年がありましたが、最大で1日5件というときもーー……」
「そ、そ、それはまさか、エッチも5回っ!」
やりすぎだろ?アレクだって、そこまでがんばりたくはないはずだ。
「ーー単純に考えればそうですね」
「単純にって……。いや……、そんなの……、年取ったらどうしたらいいんだよ!」
「いまから考えることじゃありませんが……」
「なんで、聖女なのに煩悩まみれなんだ!」
清らかな存在を聖女っていうんじゃないのか!なんでエロで世界を救わなきゃならないんだ!
「おやおや、真面目な聖女様でございますね。大丈夫ですよ、アレクセイ殿下は魔力量が異常なほどございますから、あの方だけでよろしいでしょう」
「は?ーー足りなきゃクリスともヤんなきゃいけないのか!?」
「唾液でもいただいたらよろしいかと……」
「キッモ~~~!」
あーー、考えるだけで背筋が寒くなってきた。無理無理無理無理、まだカブトムシの幼虫を食えって言われたほうがマシだ。
「ほほっ、そうでしょうね……」
身体をさするおれを見て、じいちゃんが笑ってる。
「ーー何が?」
何がおかしいんだか。ーーおれは不満たらたらで本を片付けるじいちゃんを睨んだ。
「アレクセイ殿下なら大丈夫なのでしょう?」
「え!?ーーいや、それは……、その……、大丈夫っていうか……」
言われてぎくりとした。脳裏に浮かんだのは昨日の真剣なアレクの顔だ。なんだかかわいいと思って許してしまったあいつの行動ーー……。でも、あいつだからいいってもんでもない……、だろ?
「聖女と護衛の関係はそういうものだと、先代もおっしゃっていました。アレクセイ殿下も言われたときは信じておられませんでしたが、いまは先代の話を深く噛みしめていらっしゃいますでしょう」
「………先代って、予知能力でもあったの?」
尋ねると、ミハエルじいちゃんは心底おかしそうに、クックッと笑ったよ。
「聖女様も時空竜の女神様の御声を聞くことができれば、いずれ次の聖女のことがおわかりになるでしょうね……」
「ああ、そういうことか……」
神託がおりる、ってことなんだ……、神ありきの世界ならではだな。
「ーーここで、聖女様のお世話をするのは主に私ですが、いないときもありますので、そのときは司教のクライスとイワンが付き添います」
「聖女様、よろしくお願い致します」
2人の真面目そうなおっさん達から頭を下げられ、おれも軽く頷いた。
「お茶などの細かい用事は、見習いのカロリンやアステルがいたしますので」
「ーーそれぐらい自分でやりますよ」
きらきらした目をした若い神官さん達には悪いと思うけど、かえって気を使うな。
「そういうわけにはいきません。聖女様はソラリス教の最高位であられるのですから、誰もが世話をしたくて仕方がないのですよ?」
そういうもんなのかーー?いままでの生活と違いすぎて笑うしかないな。…おれってば、『自分のことはなんでも自分でやれ』、って環境で育ってるから、ほっといても生きていけると思うんだけどさ。
「いたりませんが、よろしくお願いします!」
あらら、ふたりともおれと同じぐらいの歳かな……、素直そうだし、さすが聖職者って感じだよ。
「ーーアレクセイ殿下が護衛だなんて、うらやましいです!」
アステルって青年が、ぽ~っと頬を赤らめて言うんだけど、なんでなの?
「ーー推しか?」
そういう言葉があるのかわからないけど、聞いてみよう。
「ファンといえば、そうかもしれませんね。きゃっ」
恥ずかしそうにするアステルを、カロリンが肘でつついている。アステルがミーハーっぽくて、カロリンはしっかりしたやつなんだろうな……。
「っていうかこの世界、同性同士でも問題ないの?」
いまさらな疑問を口にだしたんだけど、ほんとにいまさらだったのか、全員から首をかしげられたよ。
「聖女様の国では同性だからという理由で、愛するひとと一緒になれないのですか?」
カロリンが不思議そうな顔をする。あれ?神官でも恋愛オッケーなの?
「ーーなれない、ってことはないか……。自分の趣向の問題だよな……」
でも、おれにはロードリンゲン王族の魔力が必要なわけで、そんなおれと普通に恋愛をしてくれるやつなんか、誰もいないんだろうな……。
「ーーおれもそうだけど、向こうにも他に好きなひとができたら、ーー公認セフレになるしかない……」
「遊び相手…ですか……。聖女様は貞操観念が固いんだが緩いんだかーー」
「誰がゆるゆるだよーー、ん?」
ーーあれ?もしかして、言葉は自動で訳されてるのか?
「じいちゃん、おれの言葉ってどうなってるの?」
「ソラリス語で聞こえますよ」
「おれ、話せないのに?」
「これは、女神様の特典みたいなものです。ただし、文字は書けないはず」
「あーー。だから、この本もきれいなままなんだ……。たしかに、何書いてるかわかんねえわ」
ミハエルじいちゃんが読んでるときはイメージできたのに……、不思議な感覚だな。
「ーーはあ……、当分は暇なのか……」
「早く契ってください」
「……セックスにロマンを求めちゃおかしいか?」
いけない、いけない、殺意はひっこめないとな。
「お若いですなーー。所詮は性欲のぶつかり合いですよ?」
「………」
「早いほうが私どもも安心なのですがね……。いつ各国から魔蝕通信が入らないか、ヒヤヒヤいたします」
「魔蝕、通信?」
また新たなワードがでてきたな。覚えることが多すぎるぜ。
「魔導具です。魔蝕が発生すれば魔蝕通信室に連絡がきます。そして、アレクセイ殿下が結界を張りに向かわれる」
「ーーアレク、ひとりでか?」
おれの目は驚きで丸くなってるだろうな。危険だってわかってるものに、なんでアレクひとりで行かなきゃならないんだよ。
「先に各国の結界師が対応しておりますが……、やはり殿下でなくては魔蝕の動きを完全にとめることは難しいですね……」
「……」
「殿下が動けるようになり、国王陛下もひと安心でしょう」
目の前にカロリンが紅茶がはいったカップを置いた。おれはコーヒー派なんだけどなーー……。
ゆらゆらとあがる湯気を見ながら、生気もなく横たわっていたアレクを思い出す。聖女がいなくても行かなきゃならないから、あんな状態になったのに。それでも他にできるやつがいないから、仕方がないみたいな言い方をされるのかーー。
……おれがちゃんとしなきゃ、アレクをまたボロボロの姿にしちまうのか……?
そりゃこの世界のことはこの世界のやつがなんとかしろとは思うけど、できるやつひとりに責任を負わすのは違うだろ……?
ーー国王陛下……あいつの父親は、アレクを道具みたいな使い方してるのか?アレクは良いお父さんみたいな言い方してたけど、実際のとこどうなんだろうな……。
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