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第8話 団長と付き合える?
おれは今日の当番のビスタと一緒に湖に行き、ユニコーンの歯みがきをした。35頭もいるが、きれいに歯が磨けてるのは3頭しかいない。忙しくてもこういうとこはしっかりしないとなー。
「おまえ、そんなマメだったのか?いや、おまえがどうだったのかイマイチ覚えてないな」
ビスタは首を傾げた。
「平平凡凡なんでね」
「いやいや、そんな特徴があるならもっと噂されててもよさそうだけど」
そうなんだよ、おれ最近来たのよ。とは言えないが、たしかにおれ目立ってるかもな。
それにしても、ユニコーン達のおれを見る目。何だよこのうっとり感。おれは本当に人間か?運命の愛の神、設定を間違えてねえか。
馬にもててどうする。どうせなら人間にもてさせてくれ。その方が団長も勝手におれに惚れて、話は終わりなはずだ。
「うーん、片思いってめんどくさいかも」
「何の話だよ」
「いや、好きな人がいるとするだろ?」
「ああ」
「そいつに好きになってもらうか、そいつを好きな奴を好きになってもらうかしたいんだが、どうすれば進展があると思う?」
「何だ?どういう事だ?そいつに好きになってもらうだけではだめなのか?」
「どうしてもってわけじゃないんだ。そいつをもっと好きな奴がいるのなら、そっちとくっつけたいんだよ」
「うーん。そんなふらふらした考えじゃ、何もうまくいかないんじゃないか?自分が1番好きなんだ!って強い気持ちがないと、相手にも伝わらないだろうし」
そりゃあそうだーー。
おれはビスタに言われてドキッとした。
ミッションをこなせばいいだけと思ってるおれの薄っぺらい気持ちなんか、誰の心に響くんだ?
これは、やばいな。
真剣に何とかしないと。
けど、おれ、団長のことそんなに好きじゃないんだよなー。イケメンだし、優しいけど、それだけっつうか。
なのに運命の愛を指南て、終わってんなおれ。
「イツキ、ちょっと来てくれ」
なんだか呼び出しが多いなあ。
「なんですか団長。おれはこれから風呂なんですが」
ユニコーンの歯みがきの後、湖に落とされてしまったので、ずぶ濡れのおれ。ほら、シャツが透けてますけどどうですか?
「急ぎだ」
目が真剣だ。うん、おれのシャツが透けてようが何の意味もないらしい。
「なんです?まさか、団長までおれに交際宣言を!」
「ありえない、さっさと来てくれ」
ぎゃあ、玉砕したぞおれ!ちょっとは悩んでくれよ!
ブーブー言うおれに気づき、団長は笑った。
「すまないイツキ。私は、他人に恋愛感情がもてないんだ」
「え?」
あー、そうだっけ。運命の愛の神は運命の恋に落ちないって言ってたけどーー。いや、『自力でがんばるか他力でなんとかするしかないんですけど、彼、どっちもダメだったんですよ』っとも言ってたな。自分でがんばれないって、そもそも恋愛できない性質ってことかーー。
この人、友達以上は進めないのかー。
おれは青ざめた。こんなん、どうしたらいいんだよ。他力もだめってことは、告白されてもダメなんだろ?
「イツキ?傷つけたか?」
「……………」
「イツキーー?」
「……………」
「早く来てくれないか?」
色々最低な団長だ。だが、おれはひとつ前に進むことにした。
「団長」
「うん?」
「ーー好きです。団長」
「え?」
「おれ、デネブと付き合いますから、団長はおれの事を好きになってください!」
団長は目を見開いた。
しばらくおれ達は、お互いの顔を見たまま動かなかった。
「ーーだから、私は」
「おれにだけ無理強いしないでください」
脅しのようだが、痛いところを突いたんだろう、団長は黙った。
「おれと付き合う、それが条件です」
真剣な目で見ると団長が視線を外した。
この際、当て馬でも悪役でもいい、できることは何でもやってやる。
「ーーなんて、団長を困らせちゃだめですよね……」
おれはあっさり引いた。
退くも勇気だ。
「けど、知っておいて欲しかった。おれが団長のこと好きだって」
気持ちを込めて話す。気分はヒロインだよ。
「いや、それはありがたいが……。おまえ、騎士団内は恋愛禁止だぞ」
なんじゃそりゃーー!
「え?そうでしたっけ?」
「そうだ。まわりには言わないほうがいいぞ」
まじか、えっ?おれここまで言っちゃって、今さら実は団長に勧めたい村娘がいるんです、って言うのはなしだよな。かっちょわりいー、おれー。
「ま、まあ、おれ人参係だから、いいですよね?」
苦しい言い訳だがそれで通そう。
「あー、まあ秘密にしておこうか……」
え?
うそだろ。
「付き合って、ーーくれるんですか?」
「デネブの事では迷惑をかけてるしー」
迷惑料でもなんでもいい。おいおいやったぞ、おれ!後はこいつをおれにベタ惚れさせればミッションコンプリート。夢にまで見たキャンパスライフだよーー。
おれは団長のイケメンな顔を見た。
その涼やかな面は勇猛な男達を束ねる、騎士団の団長にはあるまじき優しい風貌。凄まじいイケメン。
うん、こいつがどうやったらおれに惚れるのよー。誰か教えてくれよ、マジやばいなー。
ともかく、成功か失敗かわからないが、おれは団長と付き合える事になった。
「おまえ、そんなマメだったのか?いや、おまえがどうだったのかイマイチ覚えてないな」
ビスタは首を傾げた。
「平平凡凡なんでね」
「いやいや、そんな特徴があるならもっと噂されててもよさそうだけど」
そうなんだよ、おれ最近来たのよ。とは言えないが、たしかにおれ目立ってるかもな。
それにしても、ユニコーン達のおれを見る目。何だよこのうっとり感。おれは本当に人間か?運命の愛の神、設定を間違えてねえか。
馬にもててどうする。どうせなら人間にもてさせてくれ。その方が団長も勝手におれに惚れて、話は終わりなはずだ。
「うーん、片思いってめんどくさいかも」
「何の話だよ」
「いや、好きな人がいるとするだろ?」
「ああ」
「そいつに好きになってもらうか、そいつを好きな奴を好きになってもらうかしたいんだが、どうすれば進展があると思う?」
「何だ?どういう事だ?そいつに好きになってもらうだけではだめなのか?」
「どうしてもってわけじゃないんだ。そいつをもっと好きな奴がいるのなら、そっちとくっつけたいんだよ」
「うーん。そんなふらふらした考えじゃ、何もうまくいかないんじゃないか?自分が1番好きなんだ!って強い気持ちがないと、相手にも伝わらないだろうし」
そりゃあそうだーー。
おれはビスタに言われてドキッとした。
ミッションをこなせばいいだけと思ってるおれの薄っぺらい気持ちなんか、誰の心に響くんだ?
これは、やばいな。
真剣に何とかしないと。
けど、おれ、団長のことそんなに好きじゃないんだよなー。イケメンだし、優しいけど、それだけっつうか。
なのに運命の愛を指南て、終わってんなおれ。
「イツキ、ちょっと来てくれ」
なんだか呼び出しが多いなあ。
「なんですか団長。おれはこれから風呂なんですが」
ユニコーンの歯みがきの後、湖に落とされてしまったので、ずぶ濡れのおれ。ほら、シャツが透けてますけどどうですか?
「急ぎだ」
目が真剣だ。うん、おれのシャツが透けてようが何の意味もないらしい。
「なんです?まさか、団長までおれに交際宣言を!」
「ありえない、さっさと来てくれ」
ぎゃあ、玉砕したぞおれ!ちょっとは悩んでくれよ!
ブーブー言うおれに気づき、団長は笑った。
「すまないイツキ。私は、他人に恋愛感情がもてないんだ」
「え?」
あー、そうだっけ。運命の愛の神は運命の恋に落ちないって言ってたけどーー。いや、『自力でがんばるか他力でなんとかするしかないんですけど、彼、どっちもダメだったんですよ』っとも言ってたな。自分でがんばれないって、そもそも恋愛できない性質ってことかーー。
この人、友達以上は進めないのかー。
おれは青ざめた。こんなん、どうしたらいいんだよ。他力もだめってことは、告白されてもダメなんだろ?
「イツキ?傷つけたか?」
「……………」
「イツキーー?」
「……………」
「早く来てくれないか?」
色々最低な団長だ。だが、おれはひとつ前に進むことにした。
「団長」
「うん?」
「ーー好きです。団長」
「え?」
「おれ、デネブと付き合いますから、団長はおれの事を好きになってください!」
団長は目を見開いた。
しばらくおれ達は、お互いの顔を見たまま動かなかった。
「ーーだから、私は」
「おれにだけ無理強いしないでください」
脅しのようだが、痛いところを突いたんだろう、団長は黙った。
「おれと付き合う、それが条件です」
真剣な目で見ると団長が視線を外した。
この際、当て馬でも悪役でもいい、できることは何でもやってやる。
「ーーなんて、団長を困らせちゃだめですよね……」
おれはあっさり引いた。
退くも勇気だ。
「けど、知っておいて欲しかった。おれが団長のこと好きだって」
気持ちを込めて話す。気分はヒロインだよ。
「いや、それはありがたいが……。おまえ、騎士団内は恋愛禁止だぞ」
なんじゃそりゃーー!
「え?そうでしたっけ?」
「そうだ。まわりには言わないほうがいいぞ」
まじか、えっ?おれここまで言っちゃって、今さら実は団長に勧めたい村娘がいるんです、って言うのはなしだよな。かっちょわりいー、おれー。
「ま、まあ、おれ人参係だから、いいですよね?」
苦しい言い訳だがそれで通そう。
「あー、まあ秘密にしておこうか……」
え?
うそだろ。
「付き合って、ーーくれるんですか?」
「デネブの事では迷惑をかけてるしー」
迷惑料でもなんでもいい。おいおいやったぞ、おれ!後はこいつをおれにベタ惚れさせればミッションコンプリート。夢にまで見たキャンパスライフだよーー。
おれは団長のイケメンな顔を見た。
その涼やかな面は勇猛な男達を束ねる、騎士団の団長にはあるまじき優しい風貌。凄まじいイケメン。
うん、こいつがどうやったらおれに惚れるのよー。誰か教えてくれよ、マジやばいなー。
ともかく、成功か失敗かわからないが、おれは団長と付き合える事になった。
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