57 / 57
57.花見
しおりを挟む
「ーーう………、頭痛い……」
熱がですぎてヤバい状態に似てる、頭を動かして苦しさから逃げようとしてみるけど効果がない。
「もう少ししたら、解毒に必要な薬が届く。それまでは、できるだけ魔法薬を凍らせるしかないのだが、どうしても魔法が使えない部分があるーー」
ベッドの上に寝かされ、そこから動けない俺の身体を、ルイリが優しく撫でる。アレもばっちり触られるんだけど、こうしないと熱が引かないなんてーー、あんまりだよ~~~。
「……俺が考えなしだったんだ……。でも、……」
「どうした?」
「俺……、本当に皇妃になるの?」
「ああ」
「……冗談だよね?」
国民の皆さんを騙すことになっちゃうよ?
「いや、私はおまえ以外を皇妃にはしないーー」
「ルイリ……、なんで?なんで俺なんかを……?」
身体が彼を欲しがってる、正確には彼のアレをだーー。俺の身体はどうしちゃったんだろ?下腹部がギュンギュンして、アレが来るのを待ってるんだ。
なんで俺は知らないのに、身体は知ってるのーー?
記憶はぼんやりとある……。熱を吐かなきゃ治まらない身体を、ルイリが何度も慰めてくれる記憶だーー。
「ーー色のない皇帝の間に花吹雪が舞ったあの日、ーー花びらを見るおまえの瞳を見た瞬間、この長らく凍りついていた自分の心臓が、激しく動きだすのを感じた」
「……ルイ、リ」
「ーーおまえは、まるで春を告げる女神だ……。寒く凍えそうな場所に、穏やかな日が差すような優しい女神ーー……」
愛を囁かれるのって、こんなにむず痒いものなんだな……。顔が赤いのがわかるほど熱くて、目もうるんで涙がこぼれそうになる。
恥ずかしいのか、うれしいのか……。このまま彼を信じようって、根拠もないのに思ってしまうよ。
「ーー庭が見えるか?」
「庭……」
ルイリが指差す方向を、重たい頭を持ち上げて見て、俺は言葉を失った。そこには庭一面、見渡す限りに黄色い花が咲き乱れている。どこかで見たような花だけど……、ああ、そうだ、梅に似てるんだ。
ーーあっ、もしかしてこれがーー………、
「ロウバイ?」
「そうだ。身体が治まれば花見をしよう」
「ーーきれいだな……」
優しい花が心を癒してくれる。セラフィナ姫様がいらないっていった木を、全部ここに植えてくれたのか……。
「ありがとう……」
眠いから眠るよ。
俺が目覚めても、必ずいてくれるんだよなーー?
※※※
「おかえり、ディール」
「よっ、ノウス。ひさびさだな、元気にしてたか?」
薬がはいった瓶をいくつか渡しながら、その美青年が頭をかいた。赤メッシュがはいった金髪に切れ長の赤い目、背も高く肩幅も広い、カランコエ公爵家の令息ディールだ。
「かなり苦労したぜ」
「だろうね。ミスカントスは?」
瓶の中身を確認しながらノウスが友に笑顔を見せる。
「向こうはそんな気配がまったくない」
「じゃあ、やっぱりアルドール国は、フリーギドゥムを狙ってやってるんだね」
幼なじみの魔導師の顔にちらりと目をやり、ディールがため息を吐きながら小声で言う。
「ーー特使隊が結成された」
「特使隊?」
「あの女が来るらしい。父親の重追放を解かせるためになーー。カメリアがいないだろ?国境まで迎えに行ったはずだ」
「それはまた、タイミングがいいのか悪いのか……」
「?」
「なんとか、しないとねーー………」
ーー俺が魔法薬で苦しんでる間にも、フリーギドゥム城ではいろんなことが起こり、いろんな問題がでてくる。俺は男だってばれたのに、殺されもせずに皇帝のマジの奥さんにされそうになってるしーー……、この先どうなるんだろう?
これがグランドじいちゃんが言ってた、「この国で幸せになる」、ってこのことなのかな………?
不安しかないーー、それでも俺はルイリについていく。それしかないからーー………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも最後まで読んでくださり、ありがとうございます🙇
今作品は、構想の練り直しのためしばらくおやすみさせていただきます。いままでお付き合いいただき、本当にありがとうございました😊
熱がですぎてヤバい状態に似てる、頭を動かして苦しさから逃げようとしてみるけど効果がない。
「もう少ししたら、解毒に必要な薬が届く。それまでは、できるだけ魔法薬を凍らせるしかないのだが、どうしても魔法が使えない部分があるーー」
ベッドの上に寝かされ、そこから動けない俺の身体を、ルイリが優しく撫でる。アレもばっちり触られるんだけど、こうしないと熱が引かないなんてーー、あんまりだよ~~~。
「……俺が考えなしだったんだ……。でも、……」
「どうした?」
「俺……、本当に皇妃になるの?」
「ああ」
「……冗談だよね?」
国民の皆さんを騙すことになっちゃうよ?
「いや、私はおまえ以外を皇妃にはしないーー」
「ルイリ……、なんで?なんで俺なんかを……?」
身体が彼を欲しがってる、正確には彼のアレをだーー。俺の身体はどうしちゃったんだろ?下腹部がギュンギュンして、アレが来るのを待ってるんだ。
なんで俺は知らないのに、身体は知ってるのーー?
記憶はぼんやりとある……。熱を吐かなきゃ治まらない身体を、ルイリが何度も慰めてくれる記憶だーー。
「ーー色のない皇帝の間に花吹雪が舞ったあの日、ーー花びらを見るおまえの瞳を見た瞬間、この長らく凍りついていた自分の心臓が、激しく動きだすのを感じた」
「……ルイ、リ」
「ーーおまえは、まるで春を告げる女神だ……。寒く凍えそうな場所に、穏やかな日が差すような優しい女神ーー……」
愛を囁かれるのって、こんなにむず痒いものなんだな……。顔が赤いのがわかるほど熱くて、目もうるんで涙がこぼれそうになる。
恥ずかしいのか、うれしいのか……。このまま彼を信じようって、根拠もないのに思ってしまうよ。
「ーー庭が見えるか?」
「庭……」
ルイリが指差す方向を、重たい頭を持ち上げて見て、俺は言葉を失った。そこには庭一面、見渡す限りに黄色い花が咲き乱れている。どこかで見たような花だけど……、ああ、そうだ、梅に似てるんだ。
ーーあっ、もしかしてこれがーー………、
「ロウバイ?」
「そうだ。身体が治まれば花見をしよう」
「ーーきれいだな……」
優しい花が心を癒してくれる。セラフィナ姫様がいらないっていった木を、全部ここに植えてくれたのか……。
「ありがとう……」
眠いから眠るよ。
俺が目覚めても、必ずいてくれるんだよなーー?
※※※
「おかえり、ディール」
「よっ、ノウス。ひさびさだな、元気にしてたか?」
薬がはいった瓶をいくつか渡しながら、その美青年が頭をかいた。赤メッシュがはいった金髪に切れ長の赤い目、背も高く肩幅も広い、カランコエ公爵家の令息ディールだ。
「かなり苦労したぜ」
「だろうね。ミスカントスは?」
瓶の中身を確認しながらノウスが友に笑顔を見せる。
「向こうはそんな気配がまったくない」
「じゃあ、やっぱりアルドール国は、フリーギドゥムを狙ってやってるんだね」
幼なじみの魔導師の顔にちらりと目をやり、ディールがため息を吐きながら小声で言う。
「ーー特使隊が結成された」
「特使隊?」
「あの女が来るらしい。父親の重追放を解かせるためになーー。カメリアがいないだろ?国境まで迎えに行ったはずだ」
「それはまた、タイミングがいいのか悪いのか……」
「?」
「なんとか、しないとねーー………」
ーー俺が魔法薬で苦しんでる間にも、フリーギドゥム城ではいろんなことが起こり、いろんな問題がでてくる。俺は男だってばれたのに、殺されもせずに皇帝のマジの奥さんにされそうになってるしーー……、この先どうなるんだろう?
これがグランドじいちゃんが言ってた、「この国で幸せになる」、ってこのことなのかな………?
不安しかないーー、それでも俺はルイリについていく。それしかないからーー………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも最後まで読んでくださり、ありがとうございます🙇
今作品は、構想の練り直しのためしばらくおやすみさせていただきます。いままでお付き合いいただき、本当にありがとうございました😊
44
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(12件)
あなたにおすすめの小説
30歳まで独身だったので男と結婚することになった
あかべこ
BL
※未完
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。
キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。校正も自力です!(笑)
悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される
木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
セラフィナざまぁ😊
スッキリしました。
ホントイライラさせる姫様でしたね。
ツキリ、えらい!
なちゅ様、感想くださりありがとうございます🙇
スッキリしていただいて、よかったです😆ホントに嫌な姫様でした😓
皇帝アンポンタン。。。(´・ω・`)
この対応に皇帝推せなぃ…凹〇 コテッ
他のスパダリ居ませんかね(´・ω・`)?
りる様、感想くださりありがとうございます🙇
皇帝、推せませんよね……すみません😓本当にすみません😭
落ちた!
誰が、どう助けてくれるのでしょう…?
そして、多分わざと手を離した衛兵は、誰だったんでしょう。
ハラハラしつつ、続きをお待ちしています💦
はな様、いつも感想くださりありがとうございます😊
落ちましたね。寒いのに、なんてこったいです。
この作品、あちこちに伏線を残していますが、最終的にちゃんと回収できるのか、自分でも不安です😅
伏線回収、カッコいいですけどね😁