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番外編 出産までの長い道
第21話 アートレの挑発
しおりを挟む「ふぅ……」
会議室湖側のインナーバルコニーにでると、湖上の大教会が見える。ああー、もうすぐあそこで式を挙げるんだ……。いや、最高かよ。
良い眺めだ、と景色を楽しむ俺の隣りに、突然そいつは来た。
「ーーあいつ、リディ兄の威厳に押されてビビってんじゃね?」
あれ?こいついま近衛兵じゃないのに、何でここにいるの?会いたくないやつに限って、しょっちゅう会うようになってんのかな……。
「アートレ……、なんでいるんだ?」
あっ、しゃべっちまった、まあ、いまは仕事中だからいいか……(本来は伴侶のいるネコさん側は、プラベではタチさん側を通さないと話ができないんだよ)。
「ああ、兄上が久しぶりに帰ってきたから、この後陛下と食事会なんだぜ」
「ふうん」
パピーも忙しいのに大変だな。バランティ家と食事して何が楽しいんだかーー。
「それよりあいつだよ、義弟になったのにペコペコして、恥ずかしいよな」
「……」
「オレだったら、もっとビシッとしてるぜ」
「…………」
ーーこいつ、貴族学校でてたよな?兄弟だけがいる場所でもないのに、「それ欲しいんだけど」、「りょ、用意しとくわ」、とか言うわけないだろ。兄貴の面子とかわかってんのかね……。
貴族なんていくら親しい間柄でも、『さん、殿、様』付けはあたりまえだろがーー、しかも臣下の前だよ?ーー疲れる……。もう話したくもない、この勘違いヤロー。
「ーーしかし、アディ、デケェ腹だな。この前見たときより超デカくなってんじゃん!何か、ウソみたいだぜーー!」
ーーあたりまえだろ。何言ってんだバ~カ。
「……」
アートレがいるのほうの髪をかき分けて、腕で自分をガードだ。お腹になんかしないだろうな?
「ーー殿下、お身体を冷やしますよ」
ナイスだキサラ、ーー靴音も美しく鳴り、俺とアートレの間にキサラがはいった。
「ありがとうございます、キサラ様」
「ぷっ、夫夫だろ?他人クセーー」
おまえ小声のつもりかもしれないが、こっちはばっちり聞こえてんだよ。
「ーー失礼、バランティ卿。以前にも言ったことだが、殿下と私的な会話をされるのであれば、私を通していただきたい」
「はいはい、細かい奴だな」
やなヤツだぜー、とアートレが舌打ちをした。そんなものを見ても、無礼だな、とも思わない。
ーーあ……、俺のなかじゃ、こいつとはとっくに縁が切れてるんだ……。
頼りになるダチだった。イリスとのことを応援してくれるーー「やめとけよ、あいつはおまえのこと何とも思ってないぜ」、……そんなにしてくれなかったか……。けど、ここまでバカじゃなかったのに……、いや、バカはバカだったか……。
「ーーアディがこんな腹ボテになっちまったら、おまえも抱く気がないだろうーー?普段はどこの娼館使ってんだ?ーー大公令息様のオススメを教えてくれよ」
「!」
アートレの側から去ろうとしていた俺は、目を見開いてその場に立ち止まった。
ーー最低だ。最低すぎる……。なんだよこいつーー……。ぶっ叩いてやりたい……、往復ビンタかましてグーパンしてやりたい……。
「…アディ、寒くないか?」
「あっーー…う、うん。大丈夫だよ」
「ーー少し待っていろ……」
「え?」
小声で俺の耳元に囁き、アートレの方を向く。
「バランティ卿ーー。先程の貴殿の発言、殿下の伴侶としては聞き逃すことができぬがーー」
真正面からアートレを見たキサラに、会議室にいるひと達がざわついた。後ろから見えないけど、なんかおかしいのか?
「ふ~ん。なんだおまえ怒ってんの?人間味のない面してるから、そんな感情ないんだと思ってたぜ」
まわりがざわざわとうるさくなるーー、その中、俺の身を案じた兄貴が、俺の肩をもって後ろに下がらせる。ーー兄貴のこんな真剣な顔、珍しいな……。
「よく言われる」
「だろうな~。つまんなそうだもんな、おまえってーー。アディも満足してないうちに孕まされて、健気なこったーー」
「怒らすべきではないとなーー」
「はあ?」
「アートレ!いい加減にしろ!」
兄貴も止めるなよな!もう、一発殴らなきゃ俺の気が済まんッ!
舐め腐った態度のアートレに、近衛兵達もハラハラしてる。うん、元同僚達、遠巻きに見てないで早く止めてくれーー。
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いつも最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます🙇
いいね、エール、そして票もいれてくださり、重ね重ねありがとうございますーー😀
明日更新予定のお話は、とうとうキサラがやらかします!😂楽しんでいただけたら、うれしいで~す😁
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