(完結)主人公の当て馬幼なじみの俺は、出番がなくなったので自分の領地でのんびりしたいと思います。

濃子

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当て馬王子 アディオン 編

第16話 与一、ルーカスを見守る(エドアルドのセクハラあり)。

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 では、続きをどうぞ♥


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 




「ひとを見ないなーー」
 村に入ったのに、ひとの姿がない。
「魔ドラゴンが近くにいるのなら、避難するしかないのだろう」
 エドアルドが剣を構えた。

 なんでもない仕草だ、他のひとならばーー。なぜ、このひとだとこうも違うのかーー。むしろ顔は優しいのに、空気がひとじゃない。御者のおじさんがこわごわとこちらを振り返るが、気持ちはわかる。

「ふふっ、明るいうちは襲ってはこないかーー」
「敵が?」
 ルーカスが顔色を変えた。
「無人の村を根城にしている盗賊だろう。ーー気配は20人ほど、たいした奴はいないな」

 嘘だろーー、と俺とルーカスは顔を見合わせた。
「ーーなぜ、大師匠はそんなに強いんですか?」
 うん、ほんとそう。なんでなの?実は中身が100年以上修行した仙人とかなの?

「さあ?剣しか取り柄がない男に、その質問は愚問でしかない」
 言うが早いか、エドアルドがルーカスの顔の前に剣を向けた。
「え!?」
 剣に矢が当たる。

 パキッ、と割れた矢の破片を、エドアルドが俺にあたらないように剣ではらった。
 男前だよなーー。
 ちょっと、紳士すぎて照れるよ。

「……」
「ご挨拶かーー」
 いやー、こいつ連れてきてよかったーー。俺とルーカスだけじゃ、即死ぬルートだったな~~~。

 連なった古い家の影を、エドアルドは注意深く見ている。
「来るぞ。ルーカス、アディの身はーー」
「大師匠!おれが行きます!」
 ルーカスが荷台から飛び降りると同時に、茶色のマントをはおった男達が家の裏からでてきた。

「ほぅ……。惜しい男を亡くした」
「まだ、何もないだろうーー」
 予言じゃないよな?何をルーカスはムキになってんだよ。エドアルドにまかせときゃいいのにーー。

 向かってくる盗賊をうまくかわして足で蹴り飛ばし、ルーカスは盗賊に斬りつけていく。
「はっ!」
 囲まれても相手の剣を必死にさばきながら、彼は何度も剣を振った。上段からロングソードを振り落とされ、力を込めて受ける。ルーカスもかなり腕が立つほうだろう。

「ーー気合いだけでは勝てん」
 いや、そうなんだけどさーー。
「エドアルド、私は自分の身ぐらい自分で守れる」

 だから、助太刀に行ってくれ、と言いかけた俺をエドアルドが手でとめる。
「心配ではあろうが、ひとりで20人ぐらい相手にできないようでは、魔ドラゴンは到底斬れるものではない」

「……」
 言いたいことはわかる。ルーカスのために必要なことをしているのもーー。
 だけど、だけどさ……、
「ーーエドアルド、、、。胸をさわるな」

 服の上からとはいえ、ボインもないのに何やってんだよこいつは!
「小さな乳首だ……」
 言い方が、ひたすらやらしいな。
「ーーいじられたことがない、清楚な乳首……」

 おまえが今がっつりいじってるけどな。カリカリ乳首を引っかいて何やってんだかーー。だいたい、乳首に清楚もビッチもねえだろ、ルーカスに集中してくれよーー!


 泣きそうになりながら、ルーカスの戦闘を見守る。彼は息があがっているものの、確実に敵の数を減らし、勝利に近いところまで来ていた。

「クソッ!」
「ひとりに何を手間取ってる!」
 言葉の訛りがひどい、エウローペーのひとじゃないのかな。

 そのとき、ルーカスがぬかるみに足をとられ、尻もちをついた。
「死ね!ガキが!」
 盗賊の渾身の一刀に、なんとか自身の剣をぶつける。右足で盗賊の脛を蹴り、体勢をくずした敵の剣をはね飛ばし、形勢を逆転した。

「はっ!」
 腹筋の力で跳ねるように起き上がり、盗賊を斬っていく。致命傷にならないようにしているみたいだが、あいつ、すごい強いじゃないかーー。

 しなやかな豹を思わせるような動きを、俺は食い入るようにして見た。その横で、つまらなさそうにエドアルドがため息をつく。

「ーー時間がかかり過ぎだな……」
 おい、褒めてやろうな。人間の大半は褒めて伸ばすんだよ。

 ルーカスが最後の敵を地に沈め、ぜーぜーと肩で息を繰り返す。


 すっげー、カッコいいじゃん!戦闘後のボロボロの姿だって、絵になるなんてーー。さすがはヒーローだよな!
 
「ーーよくやった」
 俺はもちろん褒めるぞ。
 ルーカスが汗を拭きながら笑顔で馬車に近付いてきてーー、
「!」
 なぜか、顔を真っ赤にした。

「怪我は?」
 深い傷はなさそうだが、なんだろう…、様子が変だ。
「で、あ、アディ……」
 ん?何か俺がおかしいのか?

 もしかして、エドアルドの奴が俺の上着のボタンを外したからかーー?まったく信じられねえよな。
「エドアルドーー」
「邪魔が入ったか」
 いま、そんな状況だったっけ?エロマスターの頭の中はよくわかんねえわ。

 エドアルドの手をはらいのけ、俺はボタンをきちんととめる。いつもマルスにやってもらってるから、自分でやるのが新鮮だよ。

「……」
「ルーカス?早く乗れ」
「……あっ!は、はひっ!」
 舌を噛みながら、ルーカスが返事をした。

 俺は平静でいるようにつとめた。だけど、内心は動揺しまくりだぜ。

 ーーなんでルーカスが、俺の胸見て顔を赤くしてんだよーー。

 ???

 ほんとになんでなの?
 
 急いで衣服を整えると、馬車が動き出した。今晩は野宿だろうけど、また盗賊が襲ってくるのかなーー。

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