(完結)主人公の当て馬幼なじみの俺は、出番がなくなったので自分の領地でのんびりしたいと思います。

濃子

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当て馬王子 アディオン 編

第19話 与一、危ない展開だぞ。

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 いつも読んでいただき、本当に本当にありがとうございます😊

 たくさんの方に見ていただき、感謝しかありません。
 
 それでは、続きをどうぞ~~。


ーーーーーーーーーーーーーーーー






「アディは生まれつき魔法が使えるのか?」
 俺達はひとのいない村で、きれいな家を借りて休憩をすることにした。魔ドラゴンが退治されたことを知ったら、村人も大喜びで帰ってくるだろう。

 エドアルドが抜いた牙を布に包んだり、魔ドラゴンから取り出した肝を瓶に入れるのをルーカスに指示する。
 
 ルーカスがせっかく魔ドラゴンを倒したのに、勝利に酔いしれる暇もない。エドアルドにとっては当たり前のことかもしれないけど、ルーカスは初勝利だぜ。もっと褒めないとさーー。

「気づいたときには使えた」
「そうかーー」
 眉を寄せたエドアルドが、突然俺の額の髪をはらった。

「?」
「アザ花種でもないのに、魔法が使えるとはなーー」  
 額の触り方すらセクハラだ。髪を生え際から撫でるな。 

 そうだーー、アザ花種なら花びらみたいな3つの痣があるんだろ?俺にはないよ、そんなの。


「アザ花種は魔法が使えるんですか?」
 ルーカスの問いに、エドアルドが頷く。
「ーーアザ花種は妊娠中に、子がアザ花種になる薬を飲む」
「はい」

「その薬が、生まれてくるアザ花種に魔法が使えるような作用を起こす、と魔法研究では言うのだがなーー。まあ、何事も例外はあるのだろうーー」
「では、妊娠前のアザ花種の方々も、魔法が使えるのですか?」
「使える者は多い」
「……」

 ふうん、もしかしてそれがあるからアディオンはまわりに黙ってたのかな……。悪いことしちゃったかなーー。薬で魔法使いになれるとはーー、ロマンのない世界だ。

「では、サキナ殿も?」
「何事にも例外はある」
「イリス様からも聞いたことがありませんねーー」

 たしかに、イリスが魔法を使えるって話ーー、したことないな……。

 ーーん!?
   
 あれ?俺の身近な奴に魔法が使える奴がいたような……、誰だっけ?んーーー、ここまできてるんだけど……。
 額を押さえる俺を、ルーカスが変な目で見る。エドアルドに触られたからか、ムズムズするんだよ。

「ルーカス、湯を沸かすぞ」
「はい」
「服が駄目になったな」
 上着がボロ切れのようになっている。鎧のような材質でできた騎士服なのに、魔ドラゴンたらすごいわね。

「ーー今頃、震えがきました……」
 ルーカスが震えている自分の太腿を叩いた。
「いや、はじめてにしてはよくやった」
「大師匠……」
「もっとも、私の一番弟子は、もっと楽に斬ったがな」
「……」

 あんた、本当にひとこと余計なんだよーー。だいたい、前に弟子はひとりって言ってたよな?一番も二番もなく、オンリーワンだよな!?このボッチ師匠が!!




 ーーさて、ボッチ師匠なんか放っといて、ルーカスに食事の準備をしてやろう、何が残ってたかなーー。干しキノコがあれば、スープでも作ってやるんだけどな。















 調理場を借りて干しキノコのスープを作っている最中に、エドアルドが話しかけてきた。
「アディ、湯で顔を拭け」
 絞った手拭いを渡され、俺は驚いた。

「私はいい」
 ほんとはホカホカした手拭いで、早く顔を拭きたくてしょうがない。だけど、何もしていない俺が真っ先に使うのはおかしいだろ?

「王子のくせに遠慮深いな……。そんな奥ゆかしさも愛らしい」
 何いってんのよ。昼間なのに寝てるのか?
「ルーカスは?」
「井戸で身体を洗っている」

 何で俺にはお湯で、あいつは水なんだよ。可哀想すぎるだろう。
「私も井戸を使ってくる」
「あ……」
 
 パタンっ。

 気を利かせたのか、エドアルドは俺をひとりにしてくれた。俺は手拭いを見て、そこに顔を突っ込む勢いで拭きだす。



 はぁーーーーーーーー!


 あったかくて最高だなーー!しかも、俺の顔、かなり汚れてるじゃないかーー。

 ゴシゴシ擦るように顔を拭き、上着を脱いで身体も拭きはじめる。お湯を張った桶をふたつ用意してくれたので、とてもありがたい。

 ひとつは汚れ拭きに使い、もうひとつは仕上げ用にしよう。昔、俺ん家の風呂が壊れたときも、近くに銭湯なんかないから、こうやって拭けって母ちゃんがいったけーー。



 母ちゃんーー……。

 俺は涙を拭う。
 ちょうど低い椅子があったので、そこに座って全身も拭いた。お湯が良い温度なのがありがたいーー。最後にきれいな方のお湯で足湯をしようかな……。

 いや、俺も水でもいいから髪の毛を洗いたい……。アディオンの自慢のキューティクルが、砂ぼこりで死滅してんぜ。







「アディ」
 開けるなら、「開ける」、ぐらい言ってよ。下着姿でアホじゃねえか。
「……」
 きゃー、とか言って身体隠すのも違うし、なんて言うのが正解なのかーー。

「髪を洗うのにちょうどいい」
 エドアルドの一言に、俺の目は輝いた。

 マジ?気が利いてるなーー。

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